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二重の記念日(帝正)

3月、第3日曜日、そろそろお昼でも食べようかとメニューを浮かべているときその訪問者は訪れた。
鳴り響くインターホン。誰だろうかと疑問を抱きながらドアを開けるとそこには友人の顔。

「よう、帝人。」

人なつっこい明るい笑顔を浮かべながら手に持つコンビニの袋を見せて友人、紀田くんは一緒にお昼を食べようと言い、遊びに行きた。
断る理由もないし学校ではクラスが違い休み時間か、休日ぐらいしかゆっくり会えないという理由もあり、彼をすんなり中へ通した。
たわいもない話をしながら紀田くんが買ってきてくれたお菓子やジュースに手をつける。するといきなり視界の端に紙袋が映りその元を辿ると紀田くんが僕に渡そうとしているのが伺えた。

「?紀田くん、これは?」
「誕生日おめでとう。今日だろ?」

あぁそういえば。と彼の言葉でやっと今日が自分の誕生日だと気付く。盛大に祝われる歳でもないしこっちで誕生日を知る人も少ない。だから忘れていた。

「ありがとう、紀田くん。開けてもいい?」
「おう、開けてみろ。今日は帝人が一歩大人に近付いた記念すべきバースデー。俺が365日悩みに悩みきったとっておきのバースデープレゼントだ。」

何か話す紀田くんを軽くスルーしながら紙袋を受け取り中を確認しようとする。なんだろう、紀田くんのことだからあまり期待は出来ないけど。

「つーわけでそんな帝人に大人な本をプレゼント。」

中身を取り出し吹き出した。中から出てきたのは大人の女性のソウイウ本。

「紀田くん!」

顔が真っ赤になっているだろうことを自覚しながらその本を相手へと乱暴に投げ付けた。本当、期待していなかったけど想像以上だ。何を考えているんだと相手を睨みつける。

「あーやっぱ帝人は大胆系より大人しい系か?」
「そういう問題じゃない!」
「んーならこっちもアウトか?」

そう言って更に差し出された袋。袋からして普通じゃないとわかる。青を基調としてアニメイトとロゴが見える。

「何、どうせろくなものじゃないだろうけど。」
「それは俺つーより狩沢さんが選んでくれたやつ。」

なら紀田くんよりマシかなと思いつつ、袋を開ける。
……マシだと期待した自分が馬鹿だった。中から出てきたのは男の子が描かれた漫画。パッと見普通そうに見えるけれど、よくみれば男の子同士の絡み絵。そっちの知識はあまりないけれど、所謂BLと呼ばれるものなんだろうと冷めた頭で考えつく。

「紀田くん、これは?」
「ボーイズラブ。」

飄々と言われてしまえばもう何も言い返す気は失せた。だから、

「正臣。」
「み…かど?」

やべー怒らせたか?と焦る表情を見せる正臣は本当可愛いと思う。
正臣を押し倒してその上に跨ぐ。

「僕が大人になるのを手助けしてくれるんだよね?………だったらプレゼントは正臣がいい。」

そのまま僕は彼に口付けた。


一線を越えるのは怖いけれど、君がその調子なら躊躇いはいらない。
それ程僕は君の事が好きだから。


‐‐‐‐‐
帝人誕生日おめでとう!
帝人の誕生日に正臣は何をあげるか…?が一番書きたかっただけの話。普通男の子同士って誕生日に何をあげるんだろう…相場が分からなくこうなった。
この後正臣は帝人に美味しく頂かれるのでした、めでたしめでたし。





あきゅろす。
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