[携帯モード] [URL送信]
雨からの恵み(帝正)



しんしんと振る雨。梅雨前線が日本を訪れるこの時期は雨が多く晴れていても油断出来ない。かくして帝人も、一時的に止んだ雨にそこのコンビニまでなら大丈夫だろうと傘も持たずに外出し、突如泣き出した空に軒下に避難を余儀なくされた。
雨宿りから一時間。止むどころか強さを増す雨に帝人は溜息を付いた。いつまで待っていても平行線ならば風邪を引くこと覚悟で濡れて帰ってしまうか。幸い家は目と鼻の先。遠くはない。荷物を抱え直し覚悟を決めて軒下から出ようとした瞬間、こちらに向かって手を振る影に気付いて歩き出すことを躊躇した。

「帝人!雨に降られた憐れなお前を迎えに来てやったぞ。」
「…正臣?」

近付き姿が確認出来る距離、見える姿に入れて貰おうと考えたが正臣の言葉を聞くとどうやらわざわざ迎えに来てくれたらしいと分かり帝人は理由が分からず首を傾げた。何故、自分が傘を持っていないことを知っているのか。何故、自分が出掛けていることを知っているのか。何故、正臣が差している傘が自分が持っている傘と酷似しているのか。
全ての疑問は次の本人からの言葉で解決した。

「暇だから遊びに行ったらお前いないだろ?だからちょーっと中で待ってたらさ、雨降ってきて見たら傘がある。あーこりゃどっかで雨宿りしてるか濡れて帰ってくるかなって思ったわけよ。で、暫くしても帰ってこないから迎えに来た。」
「うん、正臣。何処から突っ込むべき?」

ちなみに俺も傘ねーから相合い傘な!いや、愛愛傘か!と入る様に促されながら聞こえる言葉に正臣らしいと肩を竦めた。

「まぁ、迎えに来てくれたから何も言わないことにする。ありがとう。」
「どういたしまして。ほら、狭いけど濡れるよりましだろ。」

正臣の気遣いや迷惑になることはしないことも分かっている為、帝人は必要以上に何も言わない。素直に正臣の横に入れば一つの傘に二人はやはり狭く、軽く肩に雨が掛かる。しかし気に止めることなく二人はどちらともなく歩きだした。

「ったく、最近雨続きでろくに遊びに行けねーよな。」
「僕は正臣といれればいいけど。」
「惚気かおい。」
「さぁ?」
「ま、俺も帝人と一緒ならいいけどさ。お、帝人。」
「?」

弱まり始めた雨。正臣がその隙間から何かを見付けた様に傘を傾け帝人にも空を見せた。

「虹だ…。」
「雨あとの特権だな。」

空に掛かる淡い七色。太陽がまだ雲に隠れているため鮮明には見えないがしかし確実に存在する七色の現象。
空にひっそりと掛かる虹を眺めて二人は笑顔を作った。


【雨からの恵み】




「三回願い事すると叶うらしいよな!」
「それは流れ星。」
「帝人のいけず!」
「まぁ、正臣のお願い事は僕が叶えてあげるよ。」
「よし、なら一生俺のものだならな!」
「正臣もね。」



‐‐‐‐‐
かなり放置プレイかましていました参萬打フリー小説です。今回はCPを固定でシチュのアンケを取らせていただきました、協力下さりありがとうございます!
結果としては甘々が断トツ1位!詳しくはこちらをご覧下さい。
軽くコメリク無視ってすみません…。でも面白そうなので別機会に書きたいと思ってます!ではこれからもよろしくお願いします!





第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!