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だって君を愛してるから(帝正)


「でさ、昨日のクイズ番組見たか?芸人が体張ってクイズのヒント得るアレ!」
「ゴメン、昨日はずっとチャットしてた。」

いつも通り、そのはずなんだがなんだかいつもと違う。俺がギャグを言うと帝人の辛辣なツッコミが返ってくるのはいつものこと何だが、そう、雰囲気がおかしい。
今日は休日。世の中のラブラブカップルは日頃会えない淋しさを埋める為イチャイチャラブラブ愛を深めるのに絶好の日だ。確かに同じ学校で放課後デートもしちゃう俺達がわざわざ休日までイチャイチャラブラブしなくてもいいんじゃないかって言う話もあるが、敢えて言おう。帝人と居たい、離れたくない。
だけど帝人は違うのか?いつも以上に俺の話をつまらなさそうに聞いている。いつもなら空返事で本当に聞いているのかって思うほどそっけな…あれ、いつもと変わらない?いや、でも今日は一段とおかしいんだ!
そう、そうだ。会ってから一度もこっちを見ないんだ。前を見なきゃ歩行の障害になるのは確かだが一度も目が合わない、振り向いた気配すらないんだ。

「帝人。」
「何?」

呼び掛けてもこっちを向かない。向かないだけなら未だしも淡々となんか冷たい。

「…なんか怒ってらっしゃる?」

そう、この雰囲気は帝人を怒らせた時と同じなんだ。違和感はそこだったのか。
だけど帝人を怒らせるような事をした記憶はない。恐る恐る尋ねると変な敬語になってしまった。
とりあえず帝人の様子を見ると大きく、盛大な溜息。それから冷たい視線で俺を見て、冷たーいスマイル。

「別に、怒ってないよ?」

いえ、完璧怒ってらっしゃいます、帝人さん。

「例え正臣が待ち合わせに一時間も遅れたとしても僕は全く怒ってないよ?」

…原因が見付かりました。

「わ、悪い!でもそれは今日俺が奢るって話がついたんじゃ…」

確かに起きたら待ち合わせ30分過ぎた所。急いで用意して、走って来ても気付いたら結構時間が経っていたわけで。非を認め、今日は俺が持つことで話が済んでいたと思っていたのはもしかして俺だけ?

「だから怒ってないって。」

いや、口と表情があってない。いや、ある意味笑顔だから合ってるのか…。あぁ、雰囲気が合ってないんだ。

「ただ…」
「?」
「折角の休みなのに本来一時間は正臣と多く居られるはずだったのに台なしになったから…。だからって怒って」
「帝人!」
「うわぁ!?ま、正臣?」

貼り付けた笑顔を解いて、どこと無くシュンとする帝人。
つまり帝人は遅刻に怒っている訳じゃなく淋しかったってことか?限られた時間しか居られないから、だからその限られた時間、沢山沢山一緒に居たいってことで。
嬉しい事を言う帝人に思わず人目も気にせずに抱き着いた。だってそれは俺のことちゃんと好きで愛していて、想っているってことで。

「帝人、今日泊めろ!」
「へ?」
「俺も帝人とずっと居たい。だから休みの日はお前の迷惑考えずに泊まりに行くからな!」

俺の言葉を聞いて驚いた、と言うよりも拍子抜けしたと言う表情を作り、そしていつもの温かい笑顔で微笑んで、

「迷惑は考えようよ。」

と強く抱きしめ返して来た。

「本気で嫌ならな。」

狡い、と小さな呟きが返ってきて、往来のど真ん中、俺達は周りも見えずにキスをした。


【だって君をしてるから】


「なら正臣。」
「なんだ?」
「ご飯も一緒に食べよう?」
「勿論だ。」
「お風呂も一緒に入ろう。一緒に寝ようね。それで一緒になろうね。」
「……………ん?」

気のせいか帝人が生き生きしているように見える。




‐‐‐‐‐
正臣くんは帝人様の罠にまんまと嵌まりましたとさ。帝人のあの態度は態とです。正臣の気を引くための…演技だったりしますが本気も半分。
黒<甘ですが凄く甘い、ってあったからいいよね?
フリリク22つ目は澪歌様の『黒帝人で甘』でした。
黒さが微妙ですがどうでしょう?アウト?セーフ?
澪歌様のみお持ち帰り、書き直し、苦情等受け付けております。




あきゅろす。
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