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正誕カウントダウン2

6月17日。

放課後、正臣が1−Aに帝人と杏里を尋ねると先に帰るからと彼らのクラスメートから伝言を聞かされる。今日もまた一人なのかと肩を落しながら二人は何か秘め事でもしているのかと頭を過ぎるが直ぐに打ち消した。最近自然と三人で一緒に帰ることになっているだけで特に約束しているわけじゃない。本当に用事があるなら仕方がないことで、自分がとやかく言う必要も権利もない。
今日は何をするかと頭の中で考えながら校門を潜った所で正臣は背後から肩を掴まれた。

「やあ。」
「…臨也…さ、ん。」

一昨日の事を思い出しながら振り返ると一昨日の惨事よりも会いたくない人間と会う。折原臨也。以前正臣に消えぬ癒えぬ傷を烙印した人物だ。過去の事もあり、睨み警戒する態度を見せているとおどけたように臨也は肩を竦めた。

「本当嫌われてるねえ。」
「自業自得でしょ。」
「まあいい。それでいつもの青春カップルはいないの?」
「…帝人と杏里のことなら二人とも用事で今日は居ません。」
「今日『も』だろ?」

帝人か杏里にでも用事なのか、正臣と一緒に居ない二人を問われ答えながら二人に危害を加えるつもりじゃないだろうかと真意を探りながら臨也を見つめる。するとここ数日、見ていた様に正臣が一人だということを言い当てられ正臣は一瞬息を飲んだ。しまい込んだ不安や疑念が顔を覗かせる。

「あいつらも臨也さんみたいに暇じゃないんすよ。」
「果たしてそうかな?」
「…。」
「君も本当は感じているんじゃないかな。『二人でコソコソ何かしている。』『自分を仲間外れにしている。』と。それを無理矢理」
「臨也さん!」

正臣の言葉を合図に正臣が少なからず感じていた感情を淡々と、しかし確実に正臣を煽るように紡いでいく臨也。そのまま聞いていたら臨也の手中に嵌まってしまうと遮るように相手の名前を呼び、帝人や杏里の前では決して見せない表情で臨也を見る。目が合い、いつかのようだと臨也は楽しげに笑みを浮かべた。

「臨也さんには関係ないことでしょ。放っておいて下さい。」
「可愛い恋人が交友関係で悩んでいるのに放っておく彼氏はいないだろ?だからちゃんと忠告に来たんだ。」
「誰が恋人だ。誰が彼氏だ。」

両肩を掴みそっと顔を覗かせる臨也。それを忌ま忌ましく苛立たしい表情で見つめ、だが自然と耳は臨也の言葉に集中していた。

「仲良しごっこはもう終わりにしたらどうだ?君だって彼の気持ちには気付いているはずだ。」

それは、正臣の疑念を大きくする言葉には十分だった。




あきゅろす。
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