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正誕カウントダウン5

6月14日。

帝人、正臣、杏里といつもの仲良しメンバーで帰宅する見慣れた光景。正臣を筆頭にどうでもいい話に花を咲かせていた。学校での話、昨日みたテレビの話、これからどうしようかという話…。
次から次へと話題は変わり、交える正臣のギャグに帝人の容赦ない辛辣なツッコミ。時折杏里からの反撃も受けて凹む正臣と和気藹々と仄々とした風景が見られる。

「そうだ、帝人に杏里よ!昨日の『落とせ!有名人の人気!』って企画見たか?」
「え、有名人の…?」
「あぁ、確か『堕落せし愚民共』って番組内の企画だっけ?」
「そう、それだ!流石腐れ縁!運命の赤い糸で繋がっているのかもな。」
「…√2×√2点。」
「Σ?!」

半歩前を歩いていた正臣。思い出したというように話題は巡り回って始めの方に話していたテレビ番組へと戻る。軽く振り返り二人を見る正臣にいきなりだなぁと笑う帝人とキョトンとした杏里、紡がれた企画の名前にも分からず繰り返し呟いていると帝人が心当たりがあるのか番組名を言うとビシッと正臣は正解!というように指を差す。
どうして番組名を言わないのだと思いながら企画名だけで分かる自分もどうなんだろうと帝人が考えているとまた変な事を言っている正臣に帝人は冷たく返す。そうしながら正臣の上げた企画がどんなものだったかを思い出していた。
『堕落せし愚民共』と言う番組は平たくいえば若手お笑い芸人が色々な企画に嵌まると言うバラエティー番組だ。その中の『落とせ!有名人の人気!』は様々な芸能人を嘘の企画に嵌めて素顔を見ようという悪戯企画だ。昨日のその企画はパーティーを開き様々なドッキリを仕掛け試聴者の笑いを誘うものだった。

「ただ騙すだけであんな豪勢なパーティー開くとか凄いよな。」
「確か誕生日パーティーだったよね。」
「そうそう、誕生日に騙されるとか更に笑いを生むって言う!」
「あ、園原さんも今度見てみるといいよ。」
「あ、…はい。分かりました。」

昨日の番組を見てなければ入れない話題。杏里は見ていないために聞き役に回っていたのを気付いた帝人が正臣の話を無視して話し掛けた。自分も正臣も良く見る番組故に杏里にも勧める帝人。
その風景に話しながら正臣は小さく笑みを零すと帝人の肩を叩いた。何事かと帝人は正臣を見るが当の本人は顎に手を当ててふむふむと頷いている。
―あぁ、また何か勘違いしている。
と帝人が思うと同時に正臣がそれを肯定した。

「そうかそうか帝人よ。」
「何がか説明が欲しいな。」
「頑張れ、ラブハンター!俺はナンパに勤しむとしよう。じゃあなぁぁあ!」
「は…ちょっと正臣?!」

やっぱりと思うと同時に走り出してしまう正臣に帝人は止める為に手を伸ばすが既に駆け出した後、その手が届くことはなく帝人は肩を落とした。

「あ…あの…。」
「あー…正臣が勝手に言ってるだけだから気にしない方がいいよ。」
「あ…、はい。」

隣の杏里も正臣の言った事にどう反応していいか分からない様子で困った表情で帝人を見る。帝人も杏里の気持ちを察し、気にしないことが一番と言いながら話題に上がった番組を思い出す。
誕生日パーティー。今となっては気恥ずかしさが勝る行事だが小さい頃は嬉しかった。特に帝人の誕生日は微妙に春休みに入るか入らないかと言うところで、直接祝われることが少なくはない。それを正臣は毎年色々な方法で驚かせてくれた、良い意味でも悪い意味でも。思い出しながら帝人は苦笑を零す。

「あの、園原さん」
「?」

そして杏里に向かいとある提案をした。






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