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青い青い春(杏正)

「帝人くんとはどういう関係なんですか?」

その一言が今までの日常をガラリと変えた。

放課後、帝人が別の用事があるからと先に帰ってと言われ、珍しく杏里と正臣という組み合わせで帰路に着くこととなった。正臣はこれはチャンスと言うように杏里を放課後デートに誘う。杏里の性格上、ゲーセンやカラオケなどでワイワイ騒ぐタイプではなく、それを分かっているからこそ正臣は公園へと赴いた。杏里にアイスを奢り適当なベンチへ座る。そして正臣のたわいのない話に杏里が苦笑を浮かべながら耳を傾ける、といった風景が出来上がる。
たわいもなく、何気ない話だったが突然杏里が口にした疑問に正臣は言葉を失う。

「は…えーっと帝人というとあの帝人?俺の幼なじみで親友で奥手くんなあの帝人?」
「はい。」
「帝人とは今言ったようにただの幼なじみ、腐れ縁、親友、昔馴染み…だな。いきなりどうしたー杏里。まさか帝人と俺の仲を熱々でラブラブな恋人仲と間違えたのか?」
「…はい。とても仲が良くて。狩沢さんが『出来てる』って。」

冗談で言ったことをまさか肯定されるとは思っていなかった正臣は続けられた言葉には食べかけのアイスを吹き込んだ。少し咳込みながら杏里の様子を伺うといつも通りのあどけない表情で冗談やからかっていると言うようには見られなかった。だからこそ、正臣は困った表情を浮かべる。

「いやいやいや、杏里。よーく考えてみよう。俺は男だ。でもって帝人も男。つまり、そこに友人関係は築けても恋人関係は築かない。オーケー?」
「でも狩沢さんは男の子同士でもいけるって。」
「うん、そこは否定しない。が、俺は健全なる男子であって好きなのは女の子だからな?」

どうしてそうなっているのだろうかと杏里の純粋さと信じやすさに少しだけ正臣は呆気に取られる。しかしその後の「良かった」と言葉を紡ぎながら微笑む杏里に正臣は見とれてしまった。だからか、気付かなかった。杏里が顔を近付けていたことに。

「つまり、私にもまだチャンスがあると言うことですね。」

チュッと軽いリップ音がして悪戯が成功したように杏里は笑う。状況が理解出来ない正臣が呆然としているうちに杏里はアイスのお礼を述べた後、そろそろ帰ると一人公園を後にした。

「え…あっ…?!」

そこでやっと我に返った正臣は触れた唇を押さえ、キスされたことに気付くと耳まで顔を赤くして俯いた。

(明日、杏里にどんな顔をすればいいんだ…?)

直接的ではないが杏里の想いを知ってしまった正臣。嫌ではなく、ただ恥ずかしいという思いでどう接していいか分からない。
だが、決意した表情で顔を上げると立ち上がり公園を後にする。頭に明日の事をシミュレーションしながら。
そして次の日、正臣は杏里を再びデートへと誘った。





【青い青い春】


‐‐‐‐‐‐
『ゆらゆら』の要 神楽様に相互お礼として押し付けゲホゲホ…捧げる杏正です。
おんにゃの子攻めは流石に初めて書きました。…攻め?
とりあえず杏里ちゃんからのキスで正臣が顔を真っ赤にするところが書きたかっただけです。
要ちゃん、ごめんなさい。
要ちゃんのみお持ち帰り、書き直し、苦情受け付けます!


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