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貴方から貰うもの(静正)


どうすれば、無くしてしまわないだろうか。失わずに済むだろうか。
どうすれば、此処に居られるだろうか。此処に居てもいいのだろうか。
どうすれば、この時間が続くのだろうか。この時間を失わなくて済むだろうか。

「今度は何を考えてるんだ?」
「え、いや、何も考えてないっすよ?」

無限ループの様に頭を巡る思いを見透かされたように、目の前に座りシェイクを飲む静雄さんに問い掛けられた。
何時からか続くようになった静雄さんとの奇妙な関係。街で会って、時間潰しに話をする。友達とも呼べそうだがそれでは何処かしっくりとくるわけでもなく、言葉にしにくい関係だ。敢えて言うなら話し相手か相談相手、だろうか。
そんな静雄さんからの言葉に素直に答えられる訳でもなく慌て否定した。けれど、静雄さんは妙に勘が良くて鋭いところを突く。多分、静雄さんは納得していない。訝しげに俺を見つめてきて、ついつい視線が逸れてしまう。

「手前が言いたくねぇなら追求はしねーけど、前も言った様に一人で抱え込むな。」

そして、静雄さんは優しい。俺から無理矢理に聞こうとしない。だけど、ついつい逃げ込みたくなるような事を、俺が欲しい言葉を言ってくれる。

「誰かが近くにいるのに、頼ろうとしねーのは馬鹿だ。迷惑掛けたくねーとか思ってる時点で馬鹿だ。」

あぁ、まるで俺のことだ。

「一人でどうにも出来ないから悩むんだろう。誰かのために悩むんだろう。人間独りでは生きられねーやつが大抵だ。なら、手前も手前の傍に居るやつに頼っても良いんだ。」

本当、静雄さんはどうしてこうも優しいのだろう。
本当、静雄さんはどうしてこうも強いんだろう。

「静雄さん。」
「なんだ?」
「好きです。」
「…それが結論か。」
「はい、」

本当の強さに憧れる。
本当の優しさに憧れる。
どうやって傍にいるかじゃない。失わないようにするかじゃない。

「静雄さんの強さも優しさも好きです。だから、ずっと隣に居させて下さい。」

論点がズレているとかは関係ない。大切なのは周りに在る大切な人、関係。

「俺、帝人と連絡、取ってみます。」

それと、踏み出す勇気。

「どんな結果になっても傍に居るさ。」




【貴方からうもの】


それは沢山の愛情。



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【小さな優しさで恋は始まる】⇒【触れる温もりの温かさ】の続編っぽいものになります。特に続く、続かないの括りはないですが、アニメを見ているとこの続編の方が書きやすいという理由で続いてたりします。だからこの続編があるかは不明。
とりあえず正臣の中の静ちゃんは大きい存在になっていくばかりということが書きたいだけです、頼れるお兄ちゃん。
余談ですが、正臣の「好き」発言は友愛、恋愛、どちらでもなく、どちらでもあります。つまり曖昧。





あきゅろす。
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