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噂の的(セル+静×正)

街は噂する。街が噂する。囁き、語られ、真実と虚実が街を支配する。
これはとある噂が流れる少し前の物語。


♂♀



「おねーさん♪俺とお茶しない?」

漆黒な影、という表現がしっくり珍しい形をしたメットを被る女性。彼女は休憩にと池袋のとある公園に寄っていた時、背後から若い声が掛かった。女性…池袋の都市伝説とされる黒バイク、セルティが振り向くとそこには蒼い学生服を纏う一人の少年。彼はニコッと人懐っこい笑顔を浮かべた。

「今日和っす、セルティさん。仕事中でしたか?」
『正臣君か。大丈夫だ。丁度終わった所だ。』

掛けられる言葉にセルティは腕の裾からPDAを取り出し文字を打ち出し答える。それに違和感を覚えることはなく、正臣は話し続けた。

「それなら少し話し相手になってもらえませんか?帝人と待ち合わせしてるんっすけど早く着いちゃって…暇してたとこなんっすよ。」
『私で良ければ構わない。』
「ありがとうございます。あ、何か奢り…ってセルティさんってそういうの出来ます?」
『いや、大丈夫だ。今日は帝人と何処かいくのか?』

苦笑を浮かべ、暇を持て余していることを伝えると再び打ち出される文字列。笑みを更に深めて御礼にと自販機を指さしたところで正臣は言葉を濁す。首なしライダーとしても噂される目の前の都市伝説。正臣自身も本当に首がないのかと確かめたこともあった。事実、文字通り首のない存在に飲食行為が出来るのかと疑問を直球に伝えるとそれとなく聞かないことが正臣らしいというように、肩を揺らして笑う影。気にしなくていいことを伝えると肩を竦めた正臣は傍のベンチを指さした。

「あぁ、まぁ。…立っているのもあれですし、座りませんか?」




そして数十分。さてはて、どうしたものかと正臣はセルティに話し掛けながら思う。

『静雄、正臣のいる前ではタバコは止めろ。』
「あ…あぁ、悪い。」
「い、いや。気にしなくていいっすよ?」

あれから直ぐに静雄と正臣、セルティは出会った。正臣とセルティと言う珍しい組み合わせに声を掛けてきたらしい。そして静雄も休憩中で暇をしていると、正臣の隣へ腰掛けたのだった。正臣と静雄も面識がないわけではない。しかし反応が薄く、どうしたらいいのか分からない、その気持ちが大きいのだ。
そうしている内にタバコを持ち出した静雄に気付いたセルティはその有害性を知ってか、正臣が未成年だからか止めるように打ち出した文字を静雄に見せた。指図されることが嫌いそうな静雄だが、納得するように正臣を見て頷いた後、取り出したタバコをしまう。

「気にすんな。」

そう言って向けられる笑みに正臣は少なからずキョトンとしてしまう。正臣の記憶上、静雄の柔らかな表情を見掛けた覚えがないからだ。こういう表情のほうが好きだな、などと考えていると視界の端に映る機械。

『そうだぞ、タバコは怖いんだ。主流煙より副流煙の方が有害物質を含んでいてガンにもなりやすい!百害あって一理なしだ。』

タバコの有害性を説明される文面と心配されているらしい文面に噂の都市伝説はまるで人らしいと話す度に思う。
そんな二人に笑顔を作り気遣いの礼を込めてありがとうございますと言えば二人して頭を撫でられた。
こんな非日常も楽しいかもしれない。

「正臣ー!」

そんなことを正臣が考えているとやっと彼の待ち人である童顔の少年が掛けてくるのが見え、正臣は腰を上げた。

「じゃあ、少しでしたがありがとうございます。また話し相手、お願いします。」

今度は時間潰しとかではなく、と言葉を付け足して正臣は帝人と合流した。


それから、街ではとある噂が広がる。

―なぁなぁ、あの平和島静雄と首なしライダーを手なずけているすげーやつがいるらしいぞ?
―聞いた、聞いた。この前南池袋公園で見たってやつもいるらしい。


それが正臣だと彼自身が知るのは、もう少し後の話になる。




【噂の


‐‐‐‐‐‐‐
フリリクは17つ目マイナー大好きッ子様の『静雄+セルティ×正臣。ほのぼの。』
×より+よりですがとりあえず静ちゃんからは→が出てます(笑)
とりあえず正臣がセルティナンパするのと正臣を真ん中にセルティと静ちゃんがいる風景を書きたかっただけです。…男前コンビに正臣を絡めるのは難しい!

では企画参加ありがとうございました!



あきゅろす。
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