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幸せのその先は(静正)


※裏です。ゲロ甘です。



「今日、泊まってけ。」

久しぶりに会えた静雄さんは、暗くなる空に気付き「帰ります。」と言う俺の腕を掴んで引き止めた。思わず合う目はいつもよりどこか真剣で、少しだけ優しさが欠けていた。

「ぇ、あ、…え?」

静雄さんの家に遊びに行くことは何度もあった。現に今もそうだ。けれど、泊まることなど一度もなかった。こうやって遅い時間に帰る時はいつも送ってもらうことしばしば。つまりこれは、

「嫌か?」
「嫌じゃっ!」

そういうことなんだろうか。否定の言葉を紡ぐより前に抱きしめられて、耳元で「嫌っても帰さねーけど。」と囁かれれば予想と期待が高まる。ついでに心拍数と顔に集中する体温も。

「   ?」
「ーっ!」

更に紡がれた言葉で予想も期待も事実となり、恥ずかしさで静雄さんの胸に顔を埋めた。ギュウッと服を掴んで小さく頷いて、承諾を示す。言葉にするのは恥ずかし過ぎる。
俺の承諾に静雄さんは直ぐさま俺を抱き上げた。姫抱き、というやつで。絡まる静雄さんとの視線に、更に顔が赤くなるのがわかる。
あぁ、もう、そこで口端釣り上げるように笑うのは反則だ。凄くかっこよくて、ドキドキしてしまう。もう心臓が張り裂けるんじゃないかってくらいドキドキしてしまい、静雄さんの顔が見てられなくなって、俺は静雄さんの首に抱き着いた。
その間にも静雄さんは寝室に向かっていて、開かれたドアにチラリと緩く振り向いた。部屋に広々と置かれるベッド。朝、起きたままなのか所々、シーツに皺が寄っている。

「紀田、」
「っ…は、ぃ」

そっと優しくベッドに寝かされて呼ばれる声に一々反応してしまい、静雄さんを見る。視線が絡むと直ぐに静雄さんの顔がアップになって唇に触れた感触にキスをされたんだとようやく気付く。上に覆い被さる静雄さんの首に腕を絡めて、更に深くなる口付けを受け止める。荒々しく、優しく口内を攻めたてる静雄さんの舌に精一杯答えるように絡めると強くその舌を吸われて、離れていく。二人を繋ぐ銀糸が切れ、酸素を求める様に荒く息を繰り返していると静雄さんの手がパーカーに触れる。ただ触れただけ、しかもまだ服越しなのにこれから始まる行為に期待するように体が跳ねてしまう。

「敏感だな。」
「く、擽ったぃ、だけで、ひゃ!」

意地悪く笑う静雄さんに、珍しく睨んでしまう。でも服に侵入してきた手にビクリと反応しながら思わず高い声が出てしまい、「擽ったいだけねぇ?」と更に笑みを深める気配がした。
少しだけ頬を膨らませていたが次に起こされるアクションに思わず静雄さんの手を掴んでしまう。

「んだよ?」
「ぇ…ぁ、そ、の……」

何故、という顔で見られて言葉につまる。
静雄さんの気持ちは分かる、分かるけど、でもいきなりズボンのベルトを外してくるのは恥ずかしい、いやもうこの行為すら全て恥ずかしくて、幸せだけど!

「いゃだから…」

尚も言葉に詰まらせていれば静雄さんの顔が近付き、またキスされるのかと目を閉じる。しかし待っていた感触はなく、代わりに耳を擽るねっとりとした感触。

「ひゃっぁ…、ちょ…しず…ぉ、さん…」
「んー?」

舌が耳の形を確かめるように動き、それがとても擽ったくて、静雄さんを引き離そうと肩を押すけどびくともしない。そしてその隙をついて静雄さんはズボンのベルトを引き抜いてしまい、そのまま前を寛げた。下着越しに大事な所を揉み上げられ、俺は再び普段よりも高い声を上げた。乱暴だけど優しいその手つきは、俺の快楽を引き出すのが早く、阻止しようと伸ばしたても、最早添えるだけとなってしまう。
耳から離れていく唇はそのまま下降していき、次の狙いを首筋に決めたようだ。下から上へと舐められ、ビクビクと反応してしまうのは勿論、女の子みたいな声も上がる。舐めるだけだったそれは軽く吸い上げるものに変わり、そして強く吸い上げられる。

「ぁっ…ちょ、見え…る、ところは…ダメ…」
「見せ付けてやれよ。」

想像以上に独占欲が高いんだ、なんて意外に思っているといつの間にか直接下を扱かれていた手が早くなる。

「ぅあ…ン…しずぉ…さ、ん…激…しぃ」

体をよじらせ逃げようとしてみたけど静雄さんには意味ない。後ろから抱きしめられ、そのまま起こされた。足をM字に開かされ後ろから回される手で扱かれ自身のやらしい姿が嫌でも目に入ってしまい、ギュッと目を閉じる。そうすれば次に鮮明に聞こえる水音。何、なんてこの場合愚問だ。自らの先走りが扱かれる静雄さんの手で音を奏で、俺の声でハーモニーを作る。

「ゃ…音、…たて、ぁンっ…ダぁ…メぇ…ッ」
「別にいいじゃねーかよ。聞かせろ。」
「ャ、だァ…」

音も声も恥ずかしくて首を横に振るけど静雄さんは聞いてくれない。耳を啣えられ、愛撫され、いよいよ限界も近い。静雄さんもそれが分かるのか指の動きが変わる。自身を上下に扱くそれに先端を弄る行動を加えてきてもうイきたい、そう思った時だった。何処からかこの場に不釣り合いな音楽。

「…?…ぁ」
「んだ?」
「ぉ、れの、です」

聞き覚えのある音楽とその出所に直ぐに自分の携帯だと分かった。辛うじて足にまだ引っ掛かっているズボンに手を伸ばすと先に静雄さんの手が伸びる。

「無視しろよ。」
「だ、から…電源…また邪魔、されたく…ないですから、」

仕方がないと言うかのように、ポケットから携帯を取り出した静雄さんは俺にそれを手渡した。てか、その手、…俺の扱いてませんでした?
快楽を欲しがる体の疼きに堪えながら未だ煩い携帯を開いて電源ボタンを押そうとした。そこで着信者の名前を見て後で電話帳から削除しておこうと決めてからボタンを押し枕の方へ投げた。二つ折になる携帯がきちんと閉まらず枕の横に転がったが、どうせ電源は切れているんだ、と気にしないことを決める前に静雄さんの行動が再開された。

「ぁン…!ちょ…ぉ…ぃきなり…」
「体辛ーだろ?」
「んっァ!も、もぅ」

優しいかと思えば激しく、激しいと思えば更に急性に、静雄さんは俺のを扱いていく。イく直前だったのだ、俺は我慢出来ずに欲を吐き出した。

「ぁ…ぁぁああン!」

前に放たれた欲はシーツを汚し、俺は独特の怠さに静雄さんにもたれ掛かる。当然これで終わるはずもなく、欲で濡れた静雄さんの指が後ろへと伸びた。行為は初めてじゃない。けれど慣れることのないソコを使う行為。少し身じろぎ体勢を変えた。正面から静雄さんに抱き着き腰を上げる。慣れた様子で静雄さんはソコに指を当てると先程俺が吐き出した欲を塗り付けるように指を動かし始める。気持ちいいとかそんなんじゃなく、でも無意識に体が揺れ、声が出てしまう。多分、きっと、俺は待ち望んでいるんだ。

「んァ…しず、ぉさァん…」

彼を、乱暴で優しい静雄さんを。きっと静雄さんも辛いだろうと手をこの人の中心へと這わせると予想以上に存在主張していた。いつもそれが入って来ているのだと思い出して顔に熱が集中した。

「入れるぞ。」
「ぇ…ァ…ちょ、まぁァアン!」

制止よりも早く静雄さんの太い指が1本入ってくる。指でもかなりの圧迫感に体をのけ反らせ微かに走る痛みに顔を歪めた。悪い、と静雄さんの謝る声が聞こえて大丈夫だと言うように頭を抱きしめる。それが合図だと言うように静雄さんの指が動き始めて指がイイところを掠めて快楽が走る。

「ふァ…ァン、しず…ぉ…さ、ん……」
「ここ、好きだろ?」
「ャ…言わ…なぃでェ…」

掠めるだけで決定的の刺激は与えられず思わず揺れる腰。静雄さんも気持ち良くなって欲しくて手を動かして静雄さんのを摩っていると静雄さんの小さな呻き声。
もう、どちらも限界だ。

「悪い、紀田。」
「がま…んァ…し…なァ…ぃで…」

我慢して欲しくないのもあったが自分が限界なのも大きい。静雄さんに押し倒され、見上げていれば持ち上げ開かされる足。指が引き抜かれ代わりに宛がわれた静雄さんのの大きさにビクリと震えた。

「入れるぞ。」
「き、てぇ…?」

返答と共にナカへ侵入してくるそれの質量に声にならない悲鳴が上がった。あまり慣らされていなかったからだろう。未だに狭い入口を無理矢理入ってくる静雄さん。でも、嫌じゃないし凄く嬉しく幸せだ。
だって好きな人と一つになれるのだから。

「しず…ぉ、さァんッ!」
「紀、田ァ」

ギュウッと静雄さんに抱き着き、そうすれば深まる挿入。熱くて、大きくて、ちょっとだけ辛い。でも、それよりも静雄さんに気持ちよくなって欲しくてよくなりたくて、動いて、と諭せば気遣いながら動いてくれる静雄さん。

「ぁア…ずぉ、さん。静雄さん!」

抜かれ、挿れられ、突き上げられ、イイところを突かれて、抜かれる度に締まるナカ。
静雄さんも限界なのか二人して愛おしげに名前を呼び合い愛を囁き合う。

行為は俺の意識が飛ぶまで行われた。その日俺は、凄く幸せで、また静雄さんを好きになった。


♂♀


そうして疲れた体は休息をとり続け起きたのは昼過ぎだった。体を動かせば痛む腰に、幸せを感じながら、ベッドの上にいない恋人に少し淋しいと感じた。隣がまだ温かいからさっきまで傍にいたことはわかり、早く戻ってこないかなと心待ちにしていると行為の最中枕へ放り投げた携帯を見付けた。電源を入れ直そうか、同じ屋根の下にいる静雄さんに電話しようか、そんなことを考えながら携帯を開くとディスプレイに映し出される待受。あれ?、と昨夜電源を切ったはずなのにと思いながら着信メールがあったので開いてみた。

「ー?!」
「紀田、起きてたか。メシ、持ってくるか?」

表示される文面に顔を赤く、そして怒りが込み上げていると静雄さんが入ってきた。

「静雄さん!」
「な、なんだ?!」

辛い体を無視して静雄さんに抱き着けば驚きながらも受け止めてくれた。

「臨也さんを殴りにいきましょう!」

何故ここで臨也さんの名前が出て来るか分からない、といった顔で見つめられたが視線が開いたままの携帯画面へ移り、そして納得したように口元を歪めた。

「寧ろ殺す。今すぐ殺す!」

映し出された画面には

『いやあ、君とシズちゃんって思ったより激しいんだね。あんなにやらしく喘いじゃって。ねえ、今度俺ともしようよ?あ、シズちゃんに飽きたらいつでも俺のところおいでよ。楽しませてあげるからさ。』

という文面。
昨夜電源を切ったはずが通話ボタンを押したんだと自分のミスとあれが聞かれたんだと恥ずかしさやら、やり切れない思いやらでそのままベッドにダイブし直して殺すを連発する静雄さんを見送った。

「…死にたい。」

恥ずかしさで、もう死んでしまえそうだ。
ポツリ呟いて、枕に顔を埋めた。


【幸せのその先は】


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フリリク16つめ、多分静正祭ラストの小説、匿名様の『裏。部外者出演臨也さん』です。
読み直すのも恥ずかしいので誤字脱字、文体おかしかったら言って頂けると嬉しいです。
静正ってどうしてこんなに無意識に甘くなるんですかね!デレ臣がいるからか?正臣がデレデレだからなのか?!
とりあえず企画さんかありがとうございました!

や、やっと裏一つ消化…。


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