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一寸先は鏡(臨vs静×正)

『シズちゃん、愛してるよ。』
『あぁ、俺もだ。』

人は誰しも消し去りたい記憶が存在する。過去が存在する。
それは後悔か、未練か、羞恥か、将又、全てか。

『アハハ、両想い♪』
『……死ぬ。』
『あれー、シズちゃん、照れてるの?』

だが、過去は消えるはずもなく、付き纏う。記憶、記録という形を取り、己と添い付き纏う。

『…るせー!』
『シズちゃん、』

そして、過去は記憶は時に残酷な運命へと誘う。


「臨也!」
「なぁに、シズちゃん?そろそろ死んでよ。」
「手前が死ね!」

正臣を中心として臨也と静雄はいつもの常識外れな喧嘩をおっぱじめていた。毎度顔を合わせる度に行われる喧嘩に正臣は既に諦め顔だ。

「もう少し、仲良くしてくれたらな」

自分や街への被害も減るだろうな、と正臣は思う。しかし彼らが喧嘩している理由の一つに自分が関わっていることなど露程知らない。
そして、過去に彼等が付き合っていたことも、正臣は知らない。

「臨也、今日という今日は殺す。」
『臨也、好きだ。』
「アハハ、俺も丁度そろそろ邪魔モノには消えて貰おうと思ってたんだよね。」
『俺も、だから離さないから。』

喧嘩するそれぞれの頭に時折過ぎる『消したい』記憶。思い出せば互いに同じことを思うだろう。
『『あれは、若気のいたりだった。』』
と。昔から馬が合わなかった。しかし、何故か惹かれ合う気持ち。
気持ちは大きくなり、溢れ出し繋がり合う。

「…本当、二人ともお互いに毛嫌いしてるよな、つーか、帰りたい。」

だが、正臣は知らない。臨也と静雄が過去に付き合っていたことを。そして現在は己を取り合い喧嘩していることを。正臣は知らない。
広がる被害を余所に二人の喧嘩は威力を増していく。主に静雄がそのあたりの公共物を破壊しているのだが。

「ちょこまかすんじゃねぇ!」
『臨也、』
「えーそんなのに当たったら死んじゃうじゃん。」
『シズちゃん、』

「さて、帰ろ。……人生何があるかわかんないよな。」

これ以上巻き込まれないように正臣は歩きだした。

「臨也!」
「ねぇ、シズちゃん、」

「「大っ嫌い」だ!」
『『愛してる。』』

「過去にあの二人が付き合ってんだもん。」

未だに喧嘩している騒音を背中に受けつつ、振り返る。睨み合う二人を見て小さく呟いた。

「もしかして俺がげーいん?わっ、俺って罪な男♪…なーんてな。」

小さく笑い、冗談を吐いて、真剣な顔へと戻る。

正臣は知っていた。気付いていた。
過去に二人が付き合っていたことを。向けられる好意のことを。
知り、気付き、知らぬ、気付かぬフリをしていた。

「本当は、まだ好きなんじゃねーの、あの二人。」

逢う度に、見る度に喧嘩する二人に過ぎる想い。どうせ、二人の間に入ることは出来ない。だから正臣は知らぬ、気付かぬフリを通す。

「臨也、昔から手前は気に食わなかったんだよ!」
「うわっ、こんなとこでシズちゃんと同じ気持ちなんて吐き気がする。ま、過去にも同じ気持ちになったことはあるけど」
「その話をすんじゃねーよ、気色悪い!」
「本当、なんでシズちゃんなんかを」
「手前なんかを」
「「好きになったんだろ」っちまったんだよ」

消したい記憶に過去に過ちに。

「あの二人、昔は恋人で今は恋敵とか笑えちゃうよな。けど、俺には割り込めない絆。」

人はいつまでも付き纏われる。

「俺の恋は報われないかな。」

過去に囚われては、抜け出せない。現在を生きることが出来ない。


【一寸先は




‐‐‐‐‐‐‐
という分けで茶会で話していた臨也→正臣←静雄で臨也と静雄は昔は恋人で今は恋敵な小説。
うむ、臨静感覚で書いていたのに静臨チックになってしまった。
同時にフリリク13こ目として匿名様の『24H戦争コンビ×正臣』とさせてもらいます。だって浮かばn(殴)
リク者が匿名様ですので、5/3開催、第2回お茶会に参加頂いた方限定でお持ち帰りOKとさせてもらいます。
企画と茶会参加ありがとうございました!

余談、正臣がどっちのことを好きかはご想像にお任せします。




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