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それぞれの春(帝正)

「わぁ、凄いね。紀田くん。」
「だろ?今度杏里も誘って皆で花見しようぜ?」

近くの川沿いの道、春になればそこはちょっとした桜並木道となる。
俺がこっちに来た時に見付けた住んでいれば誰でも知っているだろう名所を、今年この街に来た幼なじみに紹介した。こっちに来たら真っ先に教えてやろうと思った場所に帝人は随分感動しているようだ。

「え、あ、うん。お菓子とかジュースとか持って、」

不意に強い風が俺らの間を吹き抜ける。強い風に反射的に目をつぶり身を竦める。春一番、というやつか、などと考えていると帝人がすぐ傍にいた。
そっと伸びてきた手に何だと目を丸くしているとそれは髪を触り、何かを取った。

「さっきの風でほら、花びら。」

髪に絡まったそれを俺に見せた後小さくそれにキスをした。優しく、綺麗に微笑みながらそうするものだから、俺は思わず見取れてしまう。


あぁ、俺の春はいつ来るのだろうか。


‐‐‐‐
正帝?!帝正?!
書いている本人としては帝正なんだけどなぁ、なかなか上手くいかない。つーかこの二人は甘くて仕方がない。



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