貴方の、アイツの気持ち(静→←正←帝vs臨)
「いーざーやーくーんー?何で手前が池袋にいんのかな?」
「えーシズちゃんには関係ないけど?」
今日も静雄さんの声が響くと思ったら臨也さんと喧嘩中だ。帝人と巻き添えを食わないように避難しつつその姿を盗み見る。本当、実はあの二人仲が良いんじゃないかってくらい喧嘩している。ほら、よくいう『喧嘩するほど仲がいい』というやつだ。狩沢さんの話しじゃ『シズシズってイザイザのことボーイズにラブってるよね。』だ、すっきりしないからって会いに行く程だし…。
下手をすれば大怪我じゃ済まない常識外れの喧嘩をする二人を見つめ、溜息をついた。
どうすれば、俺もあぁいう風に、見てもらえるだろう。喧嘩するのは嫌だけど、でも静雄さんに意識はしてもらえる。
「正臣?」
「ん、あ…?」
「ボーッとしてどうしたの?悩み事?」
「あ、いや…ハハッ何でもねーよ!ほら、ナンパ行くぞー?」
「…正臣、僕はいつでも正臣の味方だから。」
「…」
溜息をまたついた所で覗き込むように見つめる帝人と目が合い首を傾げる。どうやら帝人の話を聞かず黙り込んでいたようだ、しかも真剣な顔をして。まさか恋愛事、男相手に恋をしているなど相談出来る訳もなく、帝人の首に腕を回しもたれて笑顔を作り、直ぐにパッと離れては帝人を背にナンパへと赴こうとする。いつもなら慌てる帝人だが、いつに増しても真剣な声音で言うものだからつい黙ってしまう。
こう言う時にそんなことをいうな。弱っている、そういう訳ではないが、しかし優しくされるとつい頼ってしまいそうになる。長年つるんでる帝人なら尚更…他の奴らより話が分かる。
「意味分かんねーって。そりゃ味方でいることは嬉しいっけどさ。会話になってねーぞ?」
話を切り上げるように歩き出すが、
「正臣」
真剣な声で俺を呼ぶ。
♂♀
紀田が居た。学校帰りらしく制服姿で傍らに友人を連れて。別に用はねぇ。けど声を掛けようとした時背後に感じた蟲臭さ。
「やっほー、シズちゃん?」
「臨也手前!なんで此処にいんだぁ?」
「んーシズちゃんには関係ないこと。…正臣くんに会いに来ただけだよ?」
振り返ればムカつく程満面の笑みを浮かべ挨拶、するみていに片手をあげる臨也。掛けていたサングラスを外し懐にしまいつつ尋ねて見ればコイツから聞きたくねぇ単語。まだ紀田にちょっかい出しているらしい。殴りに掛かるが簡単に避けられ擦れ違い樣にナイフで胸元を切られたらしく服に線が入る。
「ねえ、彼はシズちゃんのモノじゃないんだし、俺がどうしようと関係ないでしょ?」
「んな、知るか。俺は手前を殺してぇだけだ!」
標識を手に掴み引きちぎる。間を入れずに臨也に振り回すがこれも器用に避けられた。ちょこまかとウザってぇ奴だ!
「あ、シズちゃんが邪魔するから彼、どっか行っちゃうじゃん。」
臨也の言葉に意識が視界の端にいた紀田にいく。言葉通り紀田は竜ヶ峰の首を抱き寄せ、直ぐに離れたかと思うと歩き出している。
「本当、シズちゃんってさあ…邪魔。」
ナイフを構え直す臨也に憎たらしい笑みは消えている。面白い、今日こそ殺ってやる。
「邪魔なのは手前だ、臨也。」
標識を掴み直し、振り上げた。
「俺ね、本当に」
「正臣、僕は、」
「「好きなんだ。」だから。」
知りてぇのは
知りたいのは
手前の気持ちじゃなく
お前の気持ちじゃなく
【貴方の、アイツの、気持ち】
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臨也vs帝人じゃなくなりましたがきっと二人は二人で牽制しあってます。
フリリク11つ目は匿名様の『相互片想い。+黒帝人vs臨也』です。
久しぶりに綺麗に4人が入っていると想います、帝人が空気くさいけど←
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