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他人を見るな!(静正)


犬猿の仲ってよく言うけどさ、この二人は典型的な犬猿の仲、てか見本みたいなものだよな、と俺は目の前に繰り広げられる壮大な喧嘩を見ながら呑気に考える。始めは巻き添え食わないように離れたり逃げたりしていたけれどデ…静雄さんと会う度にこう喧嘩を繰り広げられれば流石に慣れる。
ポストを投げたり、自販機を投げたり、標識を振り回したり、周りに被害がありそうな事ばかりしているけど基本臨也さんの近くにいなければ余程のことがない限りは巻き添えを食わない。変な事を学習してしまったと思いながら今日も変わらず常識離れをした喧嘩をする静雄さんを見つめた。

「臨也ー!今日と言う今日は殺す!」
「シズちゃーん、俺も暇じゃないわけ。いい加減見逃してよ?」
「だったらさっさと殺られろ!」
「痛いのは嫌ー。」

何処からいつの間にか引っこ抜いた標識を臨也さん目掛けて振り回す静雄さん。臨也さんは困った顔と焦った顔と笑った顔を同時に作って軽々しく避ける。臨也さんも静雄さんに絡まれたくなかったら池袋に来なければいいのに。静雄さんも臨也さんが嫌いなら存在から無視してやればいいのに。

「…。」

面白くない、つまらない。
落ちている小石を拾い上げて巻き込まれない範囲まで近付く。標識を投げた静雄さん、投げられた標識を避ける臨也さんを見つめ、俺は手の平の中の小石を投げた。

「あ?」
「ん?」

石は静雄さんの頭を控えめに当たり落ちる。一瞬喧嘩が止み、二人は俺を見た。気が削がれた瞬間に二人の間に割り込む様に近付いて静雄さんの胸倉を掴んで引き寄せ口付けた。そして驚きながら面白いものを見たと笑みを浮かべながら近付いてくる臨也さんの腹にはエルボーを。

「!?」
「あ、れ。俺の方が酷くない…?」
「…。」

臨也さんは無視して静雄さんを見た。どういう状況なのか分からない静雄さんはキョトンとしている。それもそうだ、だってこれは俺の我が儘。

「…喧嘩するなら二人の時にごゆっくり。だけど、俺がいるときは俺だけを見て下さい。」

ぐいっと頭を引き寄せ両頬に手を沿え、真っ直ぐ静雄さんを見る。うわっ最悪、涙出て来た。放っておかれる事なんか慣れているはずなのに。
キョトンとしていた静雄さんは次第に笑みを浮かべ頭を撫でてくれた。この大きな手の平で撫でられるのは嫌な気がしない、というか心地好い。

「分かった。手前だけしか見ねぇ。」
「…ん、」

自分で言い出したことだけど、こう言い返されると恥ずかしいものがある。引き寄せていた静雄さんを離して顔を逸らした。

「おー熱いね、お二人さん。もうラブラブ過ぎて見てるこっちが恥ずかしいなあ。」

表情を見られないように俯いていると耳に届く臨也さんの言葉。そういえばここは人通りの多い大通り…。臨也さんだけでなく他の人にも見聞きされたというわけで、

「なぁ、紀田。悪い。今だけはあのノミ蟲を殺らせろ。」
「…分かりました、お願いします。」

更に羞恥に頬を染めていると静雄さんの怒りを抑えるような震えた声。さっきから茶化す臨也さんの声に俺も何とかして欲しかった所なのでお願いした。此処で一人にされるのも恥ずかしいが臨也さんもどうにかして欲しい。幸い知り合いは居ないだろうから臨也さんをなんとかすれば茶化す人も居なくなるだろう。
というか俺、何してんだろ。
頭に血が上っていたからとはいえ今更恥ずかしいことをしたと静雄さんが臨也さんを追い掛けに行くとすぐにその場を離れた。

てか次ちゃんと静雄さんの顔、見られるだろうか…。

【他人を見るな!】


けど、静雄さんには俺だけを見てほしかった。


‐‐‐‐
きっと臨也が皆様の気持ちをうざさ2割増しで代弁してくれたことでしょう。
始めは正臣くんは静雄さんにビンタしてました。けどリク内容を確認したら『喧嘩を止める方法=キス』との文字…やっちまった☆感が拭えず訂正、けどビンタをキスに変えただけで後は殆ど変わらず…うん、大丈夫、大丈夫だよ湊。
それでは9つめのフリリクは匿名様リクエスト、『臨也vs静雄×正臣。喧嘩を止める正臣。』…ん、そういえば臨也→正臣が出ていたよう、な?
グダグダ感満載!リクエスト下さった匿名様、もし「ちげーよバカ」ということでしたらもう地面と友達になった後喜んで書き直させて頂きます!
ではリクエストありがとうございます!



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