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嘘と真の紙一重(臨正)

「臨也さん、」
「何、今にも泣きそうな顔をして…死んだとか思った?」

何日か前の朝、何時も通り点いていたTVに目を向けていた。そこから流れるのは一応恋人の名前。それから何度も電話帳に登録された『折原臨也』に電話を掛けていた。しかし繋がらない。その事実が不安へと導くだけだった。
単に病院だから電源が切れているだけだろう、その考えすら、予期せぬ自体を目の当たりにした彼には気付かせなかった。
敵を作って生きているような人間だ、恨みを買うこともしばしば。無論、少年もその一人とも言えた。
しかし今はその人物の無事を確かめ安堵し抱き着いている。回された腕から抱き着く胸から触れ合う箇所から伝わる温もりに少年は彼が生きていることを確認する。

「…冗談。ヘラヘラと生きていてトドメでも刺してやろうかと思っているとこです。」
「あー怖い怖い。俺また病院送りになるのは勘弁してほしいかな?」
「大丈夫です、送られるのは病院じゃなく火葬場なので。」

しかし口から紡がれるのは安堵とは掛け離れた言葉。行動と合わず青年は苦笑を漏らしながらも本心を紡がない少年の頭を撫でる。

「本当、素直じゃないな。」
「これ以上ないってほど素直です。」

やはり言葉とは真逆の行動を起こしながら、

「生きてて良かった。」

これ以上ない、素直な安堵を消え入るような音量で呟いた。それが青年の耳に届いたかは不明。ただ青年は愛おしそうに少年を見つめているだけだった。


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臨也が刺されたと知った時、読みながら「だから刺されるんだよ」とか思っていた(笑)



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