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午前3時の葛藤(静正)


夢を見た。どんな夢だったか覚えていないけれど、それはとても嫌な夢で、それはとても淋しい夢だった。
悪夢から目を覚まし、緩く上体を起こして携帯を取った。待受に示される時間は3時を過ぎたところ。中途半端な時間に起きてしまったとぼんやり考えながら足を折り、俗に体育座りになって膝を抱えた。

(淋しい。)

それが今の俺の一番適する言葉。あんな夢を見たのもきっと、彼が関係しているだろう。
彼とは俗に言えば恋人に当たる。だけど仕事が忙しいのか最近は中々会うことは勿論電話もしていない。メールも、元から不精も手伝ってなのか返信なんて来ない。
だから、より一層淋しさが増す。
こんな、嫌な夢を見た時は誰かに傍にいてほしい。なんて小さな子供見たいだと思い、携帯を操作して電話帳から『平和島静雄』を選んで、そして電源ボタンを二回押した。

(ダメだ。こんな時間に電話なんかしたら迷惑だ。…それに、今声を聞いたら泣いてしまう。)

携帯を放り投げると近くに置いてあったウサギの縫いぐるみが目に入る。


『静雄さん、ムキになりすぎですよ。』
『ムキになんかなってねぇ…よし、取れた。ほら。』
『ん?』
『手前はこう言うのが似合う。』
『それってガキって言いたいんですか?』
『違ぇよ。手前はウサギみたいだって。だから俺が居ない時に』


この縫いぐるみを貰った時のことを思い出してギュッと抱きしめた。

「分かってるなら、そんな思いさせないで下さい。」

ウサギを抱えたまま、顔を埋めた。溢れる涙がウサギを濡らしていく。
分かっている、ここで電話を掛けたら困らせてしまうことも。縋ってしまうことも。泣いてしまうことも。
だから俺は電話なんてしない。
ただただ淋しさに埋まるだけ。
ただただ夜が明けるのを待つだけ。
夜が明ければ学校が始まれば、俺はきっと、いつもの俺に戻れるから。

そして、携帯の着信音に俺は顔を上げた。
表示される着信者は、『     』



【午前3時の藤】


それもそろそろ終わりそうだ。


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フリリク初っ端は妃月なち様の『淋しくて縫いぐるみきゅーな正臣。茶会会話ネタ』となりました。
茶会ではプライドが云々でしたけど…臨也ならありそうですが静ちゃんはこうかなとこうなりました。
続きは想像にお任せします。
壱萬打企画参加有難うございました。妃月様のみお持ち帰り書き直し等受け付けております。




あきゅろす。
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