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後7分と20秒(臨正)


正臣がいつものようにパソコンに向かい、今は面として会えない友人とチャットで話をしている時にそれは始まった。
パソコンの横に置いていた携帯が着信音を奏でる。側面のディスプレイに映し出される文字に一度視線をやり、正臣は深く溜息をついた。それからチャット相手に『ちょっとロムりまーす』と伝えてからいつの間にか鳴り止んだ携帯を取る。

(…放っておいてもいいかな。)

今は鳴らない携帯見つめ気付かなかったことにしようと決め込んだ次の瞬間、再び携帯が同じメロディーを奏でた。このまま放って置いても携帯は鳴り続けると悟った正臣は仕方がなく通話ボタンを押す。

「この電話はつ」
「あ、正臣くん?今から鍋しない?」

こちらの言葉を聞く前に言い放たれたそれに先程までチャットで話していた内容を思い出した。
チャットの中の友人達は先日鍋を大人数で囲ったらしい。自分はその中に混じることは出来ず少し羨ましいと思いながらその風景を浮かべていたがそれは自分だけでは無かったらしい。いや、だからといって対抗するように鍋がしたいわけではないのだが。

「一人でやっていて下さい、臨也さん。」
「君だって仲間外れにされたんだし、いいでしょ?ほら、君の好きな鍋をしよう。何がいい?」

確かに仲間外れということは否定しないが帝人達のことだ連絡先が分かればきっと誘ってくれていたはずだ。それに、行きたかったわけじゃない。だから仲間外れという言葉は検討違いだと考えながら正臣はまた深く溜息をついた。

「貴方こそ自分が仲間外れにされたからって俺を巻き込まないで下さい。」
「…はぁ、分かったよ。なら一人淋しくやるとする。どうせ俺は鍋にも呼んでもらえないような淋しい人間だよ。」

もう少し、いやかなりしつこくくるかと思っていた。だが手の平を返されたようにこうもあっさりと引き下がられ正臣は少し戸惑った。確かにこの電話の向こう側の相手に友達と言える人物は少ないだろう。いや寧ろいるのだろうか。とまで思う。少し考えて正臣は口を開いた。

「…ならすき焼き。明日はしゃぶしゃぶがいいです。」
「分かった。なら10分以内に家に来てね。」

クスリ電話越しに笑った気配が聞こえ、そう告げられると一方的に電話を切られた。そして肩を竦めて思う。
少し甘いかもしれない。
そう思いながらチャットを落ちて腰を上げた。

(さぁ、暫くは臨也さんに集ろう。)

今日の夕食を考えながら正臣は淋しい独り者の恋人の家へ向かった。


【後7分と20秒】

‐‐‐‐‐‐
鍋の話を書こうとして死んだ。ない頭では文章が浮かばない。けど訂正するの面倒だからいいや。←
本当は電話しながら正臣が臨也の家の近くに来ていてなんて話を入れたかった。力尽きた。



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