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耳と尻尾と怪しい薬!(正臣総受け)


※ケモノパロ。連載とは異なります。





「なんじゃこりゃぁあ!?」
「…正臣、それ古、」

池袋、とある歩行者天国。午前で学校が終えた帝人と正臣は他の学生に例漏れず午後の自由時間を遊び歩く、ということに使っていた。しかしふと正臣は違和感を感じ、窓ガラスに反射する自分の姿を見て叫ぶのであった。また何かのギャグだろうかと呆れた声で帝人がツッコミを入れようとして息を飲んだ。彼らの目に映る姿は耳に尻尾。普通なら到底有り得ないものが正臣の頭とお尻に生えていた。

「え、正臣。何それ新しいコスプレ?」
「な、わけあるか!どういうことだよ…いっ。」

珍しくボケる帝人を一喝して正臣は生えてきた尻尾を引っ張ってみるものの神経まで繋がっているらしく抜ける所か痛みすら感じ手を離す。

「え、なら何で…にしてもふさふさ。」
「俺が聞きたい。つーか触るな、擽ったい。」

どうしたものかと思案する正臣の心理に反応するかのようにふさふさとした毛に覆われた尻尾が揺れる。非日常を好む帝人も興奮を隠せないのか尻尾に触れその柔らかさと心地良さを堪能していた。
そこに新たに声が降る。

「あ、やっと効果が現れたんだ?」

ひょっこりと言って良いほど突如現れた黒い影。二人して振り返れば折原臨也の姿。正臣は明らかに嫌な表情を浮かべ、帝人が何か知っているのかと首を傾げた。

「やっぱりというかなんというか、アンタの仕業ですか、臨也さん。」
「俺のせいって決め付けはよくないよ。正臣くん?」
「アンタ以外こんな悪趣味なことしないでしょう。どうしたら戻るんですか。」
「はぁ、俺も信頼ないなぁ。」
「なら一度死んで下さい。そうしたら信頼してあげます。」

早口に攻防を繰り返す二人に仲が悪いと分かっていても帝人はあまり良いがせず少し睨むように臨也を見つめた。何気に正臣の肩を抱き寄せながら。

「それで臨也さん、正臣のこの状況に心当たりはあるんですか?」
「ん、教えて欲しいならそれなりのものを、ね?」
「情報料、ってことですか?学生からたかるなんて最低ですよ。」
「だけどそれなりの対価は必要だと思わないか?だから別にお金じゃなくてもいい。」
「なっ!」

ぐいっと帝人から正臣を奪う様に臨也は体を抱き寄せそして顎に手を掛ける。自然な動きで顔を上向かせ、唇を寄せた。が、それ以上は何もなく、正臣は焦点が合わない程近くにある臨也の顔にどうすればよいのか戸惑う表情を浮かべた。
それ以上何も無かったのは臨也の顎を掴む手に痛みが走ったからだ。深くはないものの、ボールペンが一本そこには宛がわれていた。

「正臣にそれ以上手を出すことは私が許しませんよ。」
「なら君は彼が一生このままでもいいっていうんだ?」
「臨也さんとキスするくらいならこのままの姿で構いません。」
「アハハッ本当君は酷いなあ。」

パッと正臣を解放して僅かに血が滲む手の甲を舐めて帝人を見遣る。そして企むように小さく笑っては

「なら君の化けの皮を剥いであげよう。」
「?」

帝人を指差し宣言した。当然意味が分からない二人は揃って首を傾げる。

「確かにソレは俺の仕業だ。認めよう。治す方法も知っている。」

知りたい?と勿体振るように艶かしく二人を見る。

「簡単だよ、正臣くんの唇を奪えばいい。勿論彼を愛する人がっていう限定条件がある。」
「はぁ?!」

呆ける正臣に再び顔を近付ける臨也。それにいち早く気付いた帝人は正臣を抱き寄せた。
そこで我に返った正臣は小さく帝人に礼を言いながら事態を整理していく。
この姿になった張本人は予想通り臨也でそれを解決するには誰かとキスをしなければいけない。しかもそれは自分のことを好いている人に限られ…。

「…俺、臨也さんとするくらいなら一生このままでいい。」

現段階で正臣に好意を寄せている人間など限られている。というより正臣は目の前の張本人以外に心当たりがなかった。
正臣は帝人も同じ様に好意を寄せていることに気付いていない。
希望が断たれたというように落ち込む正臣に帝人はどうすればいいか分からない。ここで思い切って言うのもありかもしれない。しかし確実に今後の仲に何らかの影響をおぼよすことは明白。だからこそ迷いが生じる。
そんな二人の心境が手に取るように分かるのか臨也は楽しげに笑い、観察している。勿論隙あらば正臣の唇を奪う気でもいる。

「正臣、」
「帝人…?」

何かを決意したように帝人は真剣な眼差しで正臣を見る。それに違和感を感じたのか正臣は戸惑う様に反応を伺った。
臨也も何かを感じては目を細め、これから訪れるであろう『面白いこと。』に集中した。しようとした。しかしそれは飛んで来たごみ箱により遮られる。

「臨也手前!また池袋に来やがったか!新宿に帰れ!」

怒鳴り声と共に現れたのは止まれの標識を肩に担いだ喧嘩人形こと平和島静雄。臨也を見掛けて今日こそは、と殺りに来たらしい。

「シズちゃんKYー。これから面白いって所なのにさ?」

軽く間延びした様に言葉を紡いでいくも最後はニィっと笑いナイフを静雄へ向ける臨也。二人の一触即発な雰囲気にもう自分がどうのこうのと言っていられなくなった正臣は帝人の手を掴んだ。

「行くぞ、帝人!ここにいたら巻き添い食う!」
「え、正臣?!」

無防備だった故にそのまま引っ張られる形で帝人は正臣の後を追う。少し良かったと思う反面残念だと思う気持ちを押し殺しながら。

「あーあ。シズちゃんのせいで逃げられちゃったじゃん。」
「つーか紀田の格好…。」
「あー…あれ?知りたい?」
「どうせ手前のせいだろ。」
「なんで皆して俺のせいにするかな。まぁ間違ってないけどさ。……シズちゃん、彼の姿治してあげたかったらキスしてきなよ。そうすれば治るから。」
「はぁ?!」

この後再びごみ箱が自販機が舞い飛び臨也の笑い声が響く。


「…まさ、お…ごめっちょっ…」
「あ、わる……?!」

一方、正臣たちと言えば正臣の走る早さについていけなくなった帝人が根を上げ制止を促しそれに気付いた正臣が振り返っていた。だがそれが良くなかった。前方不注意となり人にぶつかり、走っていた勢いもありそのまま倒れ込んでしまったのだ。

「正臣!大丈…」
「いたた…すみま、」
「大丈夫…」

助け起こそうと駆け寄る帝人。ぶつかった相手に謝罪を口にしようとした正臣。ぶつかり倒れた相手。三者一瞬時が止まったように硬直した。
正臣の唇に触れる柔らかい感触、至近距離に見える過去から現在何度か世話になった知人の驚いた顔。
正臣が顔を上げた瞬間ぶつかった相手、門田京平の唇と今度は接触事故を起こしたのだった。
門田の後ろには遊馬崎や狩沢がおり「ドタチン、大胆!」などとはしゃぎ立てている。
それに我に返る当事者はパッと離れ、傍観者はまだ固まったままだ。

「え、あ…すみません!」
「いや、こっちこそ…」

正臣、門田双方謝罪を口にした瞬間ポンッと大きな音と煙が立ち正臣を包みこんだ。そこでやっと遅れて正気に戻った帝人が友人の名を叫ぶが何の制止抑にもならない。だが数分もしない内に煙は晴れ、正臣が姿を現した。

「正臣、大丈夫?!」
「…あぁ、…えっと何が…」
「正臣…耳と尻尾、が…」

事態を把握出来ていない正臣。心配から驚きへと表情を返る帝人。全く話が飲み込めな門田ら三人。
正臣の頭と尻から獣のそれが綺麗さっぱりなくなっていた。当然何故、と帝人は考え、そして一つの間違った答えへと辿り着く。

(門田さんも正臣が…?)





そんな彼らを影から観察する黒い影。

「あぁ、もう効力切れちゃったか…波江に言ってまた改良してもらわないとなあ。」

影は怪しく笑うと街に溶け込む様に消えていった。







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なーがーい!
登場人物もいつもの倍以上だから仕方がないとは言えど長い!もう少し短く纏められるように精進します。
今回は2000ヒットアンケの中にあったケモノパロです。連載にもありますがどうしても正臣をケモノにしたかったんです!てかケモノ耳尻尾を生やしたかったんです!まだまだ文才なく記述出来ませんでしたが正臣は狐だと思うんですよね。ツンッと柔らかく尖った耳にふさふさなボリュームたっぷりな尻尾。…可愛いと思いません?!
誰かイラスト描いてくれないかな…←
とりあえず正臣総受け、臨也vs帝人のドタチン落ち、vsが楽しかったのでまた書きたい…てかあとがきが長くなったのでここで終了!



あきゅろす。
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