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恋に落ちるまであと…(門滝)



澄んだ音が聞こえる。
柔らかな音色。優しげな曲調。
人の賑わい、利器の喧騒、それらの音をくぐりぬけて耳に届いたこの音はもしかしたら俺とあいつを引き合わせる為に聞こえていたのかもしれないとか言ったらお前は笑うだろうか。

「門田さん、どうですか。この曲。ちょっとサビがイマイチかな…って思うんですが。」
「あ…あぁ…俺は良いと思うぞ。」

出会ったきっかけを、目の前で楽譜とにらめっこしている滝口の奏でる曲を聞きながら思い出していたら話を振られ慌てて頭から追い出した。
どこのポエマーだよと自分で考えていたことを照れくさく思いながら先ほど耳に届いていた曲を思い出し素直な感想を言う。
しかめっ面をしていた滝口はそれを聞くと少しだけ柔らかくほほ笑んだ。

「そうですか?ならこのままでいこうかな…」
「あぁ、滝口みてぇに優しくて安らぐ曲だと思うぞ?」

そして嬉しそうに笑みを浮かべ、思案したかと思うと今度は真っ赤になっていた。
どうしたのかと首を傾げているともごもご口を動かす滝口。
何か変なことをいっただろうか。
少し気まずくなり、視線を逸らし頬を掻く。
すると服を裾を引っ張られ、座っている滝口に視線を落とした。

「や…それは…門田さんだから…」
「?」
「これ、実は門田さんをイメージして作ったもので…だから優しいとか安らぐとかは…門田さんなんですよ。」

俯いたまま知らされる事実に俺は思わず目を見開き、そして同じように顔を赤くした。
思わぬ不意打ちだ。
暫く何を言っていいのか分からず沈黙が続く。

「あ」
「なぁ」

滝口も沈黙が耐え切れなくなったのか俺と同じタイミングで言葉を発し、そしてまた口を閉ざした。
暫く待ってみても続きが紡がれず、俺が先に伝えようとしたことを言葉に乗せた。

「その…サンキューな。正直照れる。…お礼っつーか…どっかで飯食わね?」

驚いた様にこちらを振り返る見る滝口の顔には今まで以上の笑みが浮かんでいた。

「はい、喜んで。」





―――
某様の妄想に熱が飛び火し、押し付け送りつけようと企んでいた門滝。
どこかの少女マンガのような展開に正直恥ずかしくて悶え苦しんだ(笑)
途中門田→滝口→正臣になりかけるミステリー。
この話は付き合う前なのか付き合った初期の話なのか…私にも分からない。でもたぶん付き合う前。







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