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家庭円満(新セル×正)



ひょんなことから都市伝説と謳われた黒バイクと友達になった俺。ただの平凡な高校生がまさか都市伝説というビックネームとお友達になろう日が来るとは。
それから更に色々あり、何故か今日はその都市伝説の家にお邪魔している。

「あ、セルティさん、それは砂糖じゃなく塩ですよ!」
『え、そうなのか?』

そして何故か都市伝説…セルティさんに料理を手伝っている。
今日は休みらしく同居人であり恋人であるらしい新羅さんに何か手料理を振る舞いたいということらしく、スーパーの前で入店拒否されてるセルティさんを見つけナンパしたのが発端。それから詳しく話を聞いていると味見が出来ないので上手く味付けが出来ずいつもそこで失敗してしまうとのこと。それなら簡単なものなら手伝えるし味見もしようかと言うと是非という流れで現在セルティさんと一緒にキッチンに並んでいたりする。
しかしまぁ典型的というか、砂糖と塩を間違えるドジっぷりに可愛いと思いながら必要な調味料を並べて行く。

「煮物なら砂糖、醤油、味醂ですね。あとは出汁はどうします?手軽に市販品、出汁の素で済ませるかちょっと手間を掛けて鰹節で取ります?一番出汁でおすましも一品に加えることも出来ますし。」
『???一番出汁????おすまし????』
「あ、えーっとなら今日は手軽に出市販品でいきましょう。」

今日のメニューは和風で揃えその中の煮物についてどうするか尋ねた。煮物なら出汁を用意しなければいけなくその出汁を市販品にするか取るかを尋ねるが意味をあまり理解していないらしい。はてなマークが多いPDA画面を見せられ結構初心者なんだなと肩を竦めた。
出汁を取るのに特別難しい訳ではないが手軽にと市販品を使うことにしそれも作業台に並べる。
あとは調理器具だなと鍋や包丁、まな板、計量カップ、スプーンと場所を聞き並べていく。
始めに全部用意しておいた方が楽だからな。

「ならセルティさんは野菜切るのをお願いしてもいいですか?俺は洗ったり皮剥いたりするので。」
『承知した!』

拳を作り意気揚々と返事をするとセルティさんは徐にいつも纏っている影を一点に集中させた。
何をするのだろうかと野菜を水で洗いながら見ていると影は見覚えのある形を作り出す。
小振りの鎌に似たもの。
よく街中で振っている姿を見掛ける大鎌の手の平サイズのそれを見て目を見開いた。

「ちょ、ストップストップ!それをどうするんですか!」
『え、野菜を切ろうかと…』
「包丁ならこれ使って下さい!」
『それだと正臣君が皮剥き出来ないだろ?』
「いや、ピーラーをさっき引き出しに見付けたので大丈夫ですから!」

まず鎌で野菜をどう切るんだ!
そこまでツッコミたかったが口を閉ざし、引き出しに先程見付けたピーラーを見せると納得と関心した雰囲気で影で作り出した鎌を霧散させた。
セルティさん…料理が上手い下手以前の問題なんじゃ…。
早くも一抹な不安を覚えながら料理を再開した。





♂♀






キッチンで賑わう正臣君の声。いいなぁ、僕もあそこに混じりたい。だけどセルティから『新羅に食べさせたいのだから一緒に作ってたら意味ないだろ。リビングで待っていてくれ。』と言われちゃったから私だけ仲間外れなんだよね。
きゃっきゃっと可愛らしい声が聞こえる度に僕はそわそわとキッチンを見るがここからじゃあまり中の様子が伺えない。
早く出来上がらないかな…。
母親と娘が仲良く料理を作っている間、役立たずな父親が待ちぼうけしているみたいだと例えながら耳を澄ませ、聞こえてくる声に胸を踊らせた。




♂♀





そして出来上がったのは丁度一時間後。
正臣君にサポートされながらなんとか出来上がった煮物とみそ汁、後焼き魚。
今回は和風にしてみたけど新羅の口に合うだろうか…。
新羅なら私が作ったものなら何でも美味しいと言って食べてくれるから複雑だ。
気を使ってくれているとはまた違うその言葉。きっと本心から言ってくれているので嬉しいと言えば嬉しいのだけれど、でも私は新羅の口にちゃんと合う料理を食べさせてやりたいわけで。
だけど首もなく味覚もない私が味見も出来ない…だからそこを重点的に正臣君にサポートしてもらう形で今回料理を作ってみた。
にしても味付けというのは簡単そうに見えて奥が深い。ちょっと量を間違えるだけで『美味しい』から掛け離れていく。
そこに四苦八苦して出来た煮物に手を付ける新羅を息を飲む様に見つめる。

「美味しい!」

高らかに両手を広げ体全体で感想を言い表す新羅。
率直な感想に私は顔があったら笑顔になっていただろう。
いつもみたいな『私が作ったものならなんでも美味しい』という『美味しい』とはまた一味違う感想だったからだ。

私はちらりと正臣君を見てありがとうと礼をPDAに打ち込んで見せようとする前に彼は小声で「良かったですね、セルティさんの愛と言う調味料のおかげっすね。」と笑い言われ照れる様に顔を背けた。






【家庭円満】







『今回は正臣君に色々世話になったありがとう。』
「いや、いいっすよ。これぐらい。暇でしたし俺も良く世話になってますから。」
「そういえば正臣君、料理出来るんだね。これはいつでも嫁に言っても安心だね。」
「は?」
『正臣君は嫁には出さないぞ!ずっと家の子だ!』
「まだ家族設定続いていたんすか?!つか嫁って、せめて婿で!」
「『いや正臣君は可愛いお嫁さんだろ』でしょ」
「俺、男ー!」




‐‐‐‐‐
久しぶりのフリリク、前11月に更新した切りとか…放置し過ぎである、すみませんorz
今回は白亜様の新羅+セルティ×正臣でほのぼの、以前書いた【吉凶禍福】みたいな雰囲気の、と言うことで丸っきり続きというつもりではないですが同じ設定での話としました。
【吉凶禍福】を書いたのが半年以上前でどんな雰囲気で書いていたのか軽く忘却してますが…仲良し三人のほのぼの、というこんな感じで如何でしょうか?
大分お待たせして申し訳ありません!
それではリクエストありがとうございました!





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