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憎くて嫌いで大切な(臨正)
※9巻ネタバレ!














※設定的には本編で臨也が「爪を全部はがされる覚悟はしていた」と言っていたので剥がしてみた。





帝人のことで他のことをする余裕がない。あの人はもう知ってそうで、俺がこういいだすことも予想済みなのだろう。しかし一応仕事をさせてもらっている身分だ。
無断に休むわけにもいかず連絡を入れようと携帯に電話を掛けるが電源が入っていないのか一向につながる気配を見せない。
メールを入れるか迷ったが何となく、本当、何となく事務所に足を向けた。メモ書きでも残していこうかという感じで。

「…居ないのか…?」

予想通りと言えばそうなのだが、暗い事務所内を見渡して雇い主の姿を探した。電気を付けて明るくなった室内。しかし当然あの人の姿はない。自室で寝ているのかとも思ったが入ってきて数分、人の気配で降りてくる様子がないから本格的に留守にしているのだろう。寝ていても人の気配で起きる人だ。それで何度痛い目にあったか…。
過去にあった悪戯から痛い目にあったことを思い出し唇を噛む。
やめやめ。こんなことしてる場合じゃないっての。
思い出される屈辱や羞恥に考えることを止めた。
さっさと用事を済ませてしまおうと適当な紙とペンを取る。
簡潔に暫く休むことを書き終え臨也さんの机の上において部屋を出ていこうとすると玄関で物音が聞こえた。もう用事は済んだのでたとえ臨也さんでもさっさと帰ってしまおうと足を進めていると見えた姿に思わず足を止めた。

「あ、やぁ。正臣君。明かりがついていたから誰かいるとは思ったけどどうしたの?俺が呼び出さないのにわざわざここに…?今忙しいんでしょ?」

全てを見越している様な言い方に苛立ちを思いながらまっすぐに臨也さんを見つめる。
俺の姿をまじまじと見つめるこの人は今何を思っているのだろうか。
黄巾族に戻ったことか。帝人とのことか。ここにいる理由か。それとももう俺なんか眼中にないのか。
どうでもいいと目を閉じ大きく息を吸い、何事も無かった様に歩みだす。
そして何事も無かった様に、世間話をするように先ほどから心を掻き立てていた疑問を口にした。

「どの指、どうしたんすか?ついに怖いオニーサンに目をつけられて指でも詰められましたか?」

臨也さんの手に巻かれた白い白い包帯。前まではなかったものだ。俺が知らない間に怪我でもしたのだろうか…。もしかしたらいつも平和島静雄にちょっかい出しているからその報いでも受けたのだろうか。ざまぁ。
冗談交じりに言葉を紡ぐと臨也さんの口端が上がった。

「何、心配してくれてるの?」
「そんなんじゃ…」
「大丈夫大丈夫、仕事でね…ちょっと監禁されてきたんだよ。まぁ、こっちの手の平の上での監禁ではあるけれど。」
「ついにそんな変態な趣味を仕事にし始めたんですか?」
「酷いなぁ。」
「酷いのはその趣味に巻き込まれる人ですよ。…じゃ、俺は忙しいんで…メモありますけど、暫く仕事休ませてもらいます。」
「…そう。がんばってね、将軍さん。早く元通りになるといいねえ。」

疑問が解決した。なのでもう用はないという様に玄関に向かいながら適当な会話を続けているとすれ違いざまに紡がれた言葉に横目で臨也さんを見ればにやにやと俺を、俺の首に巻いている黄色を見て笑っていた。

「はい、なので邪魔しないでくださいね。」

またちょっかいを掛けてくるんだろうと確信しながら平静を保ち言葉を返し、部屋を出ていく。


あぁ、本当最低なやつだ。

………なのにどうして嫌いになれないんだろう。どうして好きなんだろう。







【憎くて嫌いで大切な】







「ちょい頼みごとに追加してもいいか?」
「なんすか、将軍。」
「あいつらの情報集めるついででいいんだけどさ、『アンフェスバエナ』についてなんか耳にしたらどんな小さなことでもいいわ、報告してくんね?」
「了解っす。」
「んじゃ、頼むわ。」








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9巻で臨也の監禁を全く知らない正臣だったので知ったらどうなんだろうと妄想してみたついでに臨也の爪も剥がしてみた。
目に見える監禁された証拠的なものがなかったからつまらない←


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