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街に蠢く黄色(正帝)

※9巻ネタバレ…………?
















ゆらり。池袋の街に浮かぶ色。

ふらり。意思(目的)をもってうごめく色。

ぽつり。誰かが囁く。

「将軍。いつでも構いません。」

にやり。誰かが笑う。

「いつでもダラーズにいるブルースクエアを潰せます(ご友人を助けにいけます)」

ばさり。揺らめくチームカラー。


集う黄色い子らは親を見た。


「んじゃいっちょ行きますか。」

親は限りなく笑顔で笑顔でしかし瞳に篭められた覚悟が軽いノリなどを感じさせない。

黄色(紀田正臣)に集う黄色(黄巾賊)
一口に黄色と言っても様々な色がある。
濃い薄いもあれば赤が混じっていたり半年前は青が混じっていたこともあった。
しかしこの黄色に共通していえることは
原色に忠実に従っていると言うことだ。

原色の彼は様々な黄色を見て笑う。儚いくもあり懐かしむ様に淡く淡く優しげに。

「俺、我が儘ばかりだな。」
「その我が儘に付き合い騒ぐのが俺らっしょ?だから将軍は我が儘という俺達(黄巾賊)の波を起こして下さいよ。俺達はいつまでも貴方様の元に。」
「よせやい…俺はただの紀田正臣だ……将軍でも偉いさんでもねぇ、ただの軟派な高校生…でもねえか。ただの軟派な17歳…。ま、お前らに甘えてばかりだけどな。」

困ったように嬉しそうに哀しそうに淋しそうに
笑う笑う笑う笑う。
笑った。
様々な黄色も嬉しそうに、楽しそうに喜ぶように励ますように
笑い笑い笑い笑い。
笑う。

「なら俺らも将軍に甘えてばかりなんでノープロブレム!」

原色の彼の口癖を真似する様に様々な黄色の少年の一人が悪戯に笑う。

「…今なら間に合う。引き返してぇやつは…」
「そんなこと言う奴はここにゃ居ません。居るのは貴方の望みを…俺達の願いを叶えたい者だけっすよ。」

揺らぐ彼らを利用していいのかという心。自分の目的のためだけに彼らを危険に晒してしまう不安。自分が原因で数年前の様に誰かを傷付けるのではないかという恐怖。
今度は起こされた波に蝕(の)まれるのではない。もしかしたらすでに起きている波に蝕まれているのかもしれないが明確に言えるのは更に大きな波を起こすと言うこと。
様々な思いがうごめく少年の心を読むように利用される少年は問題ないと彼の背中を押した。
原色の彼が自分の為に彼らを利用するように、黄色の彼らもまた自分達の為に彼を利用する。

「願い?」
「そ、将軍がまた昔みたいに笑ってくれること。そのためなら」
「おい、谷田部!」
「お前それは内緒だって」
「恥ずかしげもなくいうな!」
「同じ思いだけど俺らが恥ずいだろ」

口を滑らせた谷田部という黄色は他の黄色に様々に責められる。しかし思いは共通していることだけは分かり将軍と言う黄色はここにきて昔に近い笑顔わ浮かべた。

「お前ら高校生になっても変わらねえな。」
「変わりませんよ。」「色褪せもしません。」「変色もしてませんよ?」
「……ったく…サンキュー。」

心はいつまでも貴方のもとに。
記憶と変わらない無邪気な彼らに肩を竦め、彼はずっと言おうとして言い出せなかった言葉を呟いた。
自分の望みの為にありがとう。
利用されることにありがとう。
我が儘を聞いてくれることにありがとう。
昔と変わらない姿にありがとう。

一瞬浮かぶ無色の青色に居る昔と変わらぬ笑顔を浮かべた幼馴染の顔。

揺らぐ意思が一気に堅い意思に変わる。

「…だよな…そう、だよな、帝人………お前だけ行かせない。」
「……」

「さぁ、ここが誰かの手の平の上だと言うなら盛大に踊ってやろうぜ!ただし、俺らの振り付けでな!」




この盤上は一体誰のものか。
自分の物か将又神様気取りの情報屋の物か将又青色の友人に寄生する少年の物か将又全く知らない誰かの物か。
黄色い彼ら関係ないと言うように池袋という小さく大きな街(世界)で自分達の波を起こしに消えていく。





残る黄色の親は小さく小さく呟いた。

「…帝人…一人で行かせねえから…」

どこまでも一緒だから。
お前が堕ちるならそれでも一緒に…。




‐‐‐‐‐‐‐‐
9巻のあのシーンに萌え滾った結果、どうみても8巻以降の話が出来上がった。
門田さんあたりの会話に繋げる、そのあたりの正臣の心境を書こうとしたのだがどうしてこうなった。
これはネタバレ…?
とりあえず10巻は再び来良組のターンってことで待機全開中。




あきゅろす。
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