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厄を払うなら豆で退治(しょた臣)



時折、世の中には不公平だと思うことがある。
時折、世の中はどうしようもなく自分に酷い仕打ちをしてくるときがある。
時折、自分は世の中から嫌われているのかと疑う時がある。

俺…折原臨也にもその『時折』が今まさに訪れている。

「鬼はー外!」
「痛い!痛いよ正臣君!?」

容赦なく投げつけられる豆豆豆豆!
今日が何の日か身を以て思い知らされる。

「よーし、正臣。あいつの弱点は目だ。そこ目がけて…」
「ちょ、シズちゃん!?よい子に何物騒なこと囁いてるの…って正臣君も間に受けないで!痛いから!地味に痛いってか豆が凶器になってるからね!?」
「だから鬼を追い払えるってわけだ。」
「なるほど!」
「つまり俺は鬼!?正臣君にとっては鬼!?」

2月3日、世の中では節分と言われる行事がある。クリスマスやバレンタインと言った行事には興味がある俺だが節分はさほど興味がなかった俺はすっかり今日がその日だということを忘れていた。
正臣君に家に呼ばれ、遊び相手になってほしいのかと家に踏み込めば玄関でこれだ。しかもシズちゃんもいたようで正臣君にかなりの悪影響を及ぼしている。寧ろ俺に多大なる被害が被っている。
投げつけられる凶器、基豆。
2人で示し合わせていたように交互に投げてくる。正臣君が投げ終わり豆を掴む間にシズちゃんが投げてくる。シズちゃんが投げ終わったらと妙に隙のない連携プレイ。しかもシズちゃんの投げてくる豆はもう『当たる』ではなく『食い込む』という方がしっくりくるほど威力のあるもので、俺は家に入り数分で瀕死だ。
死因が節分の豆まきって…どんなけかっこ悪いのさ。
それに加え正臣君の『鬼』発言だろ?彼が普段から俺をおちょくって遊んでいるだろうとは思ってはいたけどこう面と向かって言われるのは結構傷つくもので、豆の攻撃も相まって俺は床に俯せに倒れた。

「静にぃ!鬼やっつけました??」
「あぁ、正臣やったな。」
「はい!」

あぁ、無邪気な声が聞こえる。もういいよ、正臣君が喜んでくれるならどうでもいいや。
軽く酷い扱いに涙が出そうになり、うつむいたまま動かないでいると頭上に気配が。

「臨にぃ!これで臨にぃの鬼は逃げていきましたよ!」
「は?」

きゃっきゃと喜ぶ声にどういう意味だと顔を上げた。
俺の鬼?正臣君は俺に投げていたのではなく俺の鬼に投げていたということか?意味がよく分からない。

「正臣君、どういうこと?」
「臨にぃの鬼ですよ?臨にぃに鬼が付いたままだと臨にぃが危ないですからね!」
「んーつまり俺に鬼がついてて正臣君がはらってくれったってこと?」
「そうですよ!」

………え、なにそれ嬉しい。
俺を思っての行動に俺は起き上がると正臣君を力強く抱きしめた。
俺を思ってくれるなんてなんて優しい子なんだ。
シズちゃんは確実に日頃の恨みからなんだろうけど。

「ありがとう。正臣君のお陰だね。俺も君を何があっても守ってあげるからね。」

大好きな君だから、俺は体を張って守ってあげる。君がそうしてくれたように。





【厄を払うなら豆で退治】






「でも力いっぱいぶつけるのはやめようね?危ないから。」
「でもでも、手加減したら鬼は逃げないって、鬼に舐められるって…」
「誰から聞いたの?」
「リンダにぃが言ってました!」

彼にはかなり嫌われているみたいだなぁ。

「ちなみにシズちゃんの鬼も追っ払ってあげたの?」
「静にぃは自分でやっつけったって言ってました。」

成る程、その手があったか。





‐‐‐‐‐
ふともうすぐ節分だなって考えたらしょた臣が臨也に豆をぶつけていたものでつい…。
日記で軽くシリーズ化してたしょた臣シリーズ(?)の節分ver。
しょた臣シリーズの正臣はかなり臨也で遊んでるので臨也の残念度が他のより比ではないw書くのも楽し。




あきゅろす。
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