[携帯モード] [URL送信]
笑ってまた会いたい。(帝→←正+沙+杏)

池袋駅地下。
広告が載せられた柱の前で少年と少女は待ち人を待つ。少年は何度も携帯画面を見つめては時刻を確認している。待ち合わせ時間、場所、間違えていないかと何度も先日、自分の前から姿を消した友人との電話内容をリプレイする。

(もうすぐだ。もうすぐ正臣に会える。)

何処か逸る気持ちを抑えながら1年前を思い出す。4年振りに再会した友人は髪を染めていて声も低く、記憶の友人と変わっていた。だが相変わらずギャグは寒くノリは軽く、そんな懐かしい再会場面思い出し自然と頬が緩み、そして泣きたい気持ちとなった。多分以前のようには戻れない。何処かそう核心めいていた。
道行く人に視線を向けながら、竜ヶ峰帝人は友人を待った。

その少し離れた所、帝人の視界に入らないよう注意しつつ彼を呼び出した本人は大きく溜息を付いていた。
電話をしたこと事態自分でも頑張ったと思っている。自分から逃げ出した手前、どんな顔をして彼らに会っていいのかわからないのだ。

「正臣、ここまできて逃げ出すのは許さないよ?」
「分かってる。てかなんで沙樹までいるんだよ…。」
「正臣が怖じけついたら背中を押してあげようって思って。」

背後から掛かる声に正臣は緩く振り返り付いてくると一点張りだった少女を見つめ更に溜息を深くついた。しかし、少女の存在は確かに正臣の支えとなっている。今一人だったらきっとまた逃げ出していただろう。もしここで会うことが出来たとしても、その後また用事とか言って逃げ出してしまうだろう。自分は弱い、と正臣は自覚して自嘲した。そして腹を括った。一歩、また一歩と歩み友人の元へと歩み寄る。

「ミーカド!」

何時かと同じように友人の横から声を掛け、肩を叩いた。振り返る少年は目を大きく開き声を上げた。

「正臣、本当に正臣?!」
「よーし、そんなお前に三択でヒントをやる。1、紀田正臣。2、紀田正臣。3、紀田正臣!!」
「なら4、竜ヶ峰正臣で。」
「なんだそりゃ。それならお前は紀田帝人か?…語呂悪っ!」

1年前の再会を再現したかのようにふざける正臣と、それに珍しく乗る帝人。正臣は帝人の肩に抱き着く形で笑顔を作った。釣られるように帝人も。
ふと正臣の視界に少女が映る。目が合えば正臣は優しく、そして困った様に微笑んだ。

「お帰りなさい。正臣くん。」
「ただいま、杏里。」

一度は崩れた関係。しかし完璧に崩れ去った訳ではない。少年は少女は始めから受け入れている。少年の事を。

「お帰り、正臣。」
「………ただいま、帝人。」

三人は久しく笑い合った。

「だから大丈夫って言ったでしょ?」

少女もまた、三人の姿を見て小さく微笑んだ。



‐‐‐‐‐‐‐‐
入り切らなかった…!この後ダブルデートを書きたい。否、書く!
とりあえず【近くて遠い距離】→【弱いから逃げようとした。だけど、】の続きにあったりします。
正臣と帝人、杏里ちゃんとの再会…絶対泣く!




第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!