アイノカタチ(臨正) 臨也さんが殴る。 俺の頭を、頬を、顔を、 臨也さんが蹴る。 俺の腕を、腹を、足を、 殴る蹴るは今に始まったことじゃない。 始まりはいつだったか。もう覚えていない。 もう殴られない日はない。蹴られない日はない。ちょとした理由でも、この人は俺に暴力を奮う。 「ねぇ、なんでそんな目をしてるの?殴られてるんだし泣いたら?面白くない。あぁ、そうやって誰にでも媚び売ってるんでしょ?シズちゃんにも帝人君にも、俺の仕事相手にも誰もかも色目使ってどうするの?俺から助けてもらう?俺から逃げるっていうの?」 臨也さんの言葉はコロコロ変わる。まとまりがない。どうしてこうなってしまったのか…理由は分からない。でも分かる気がする。 この人が気が済むまで殴り終えるころには俺は意識を飛ばしていることが多い。いや、俺が気を飛ばしてこの人は正気に戻っているのかもしれない。そこは定かではないけど、俺が目を覚ますといつも俺は臨也さんの腕の中にいる。 「ごめんねごめんね痛かったよねごめんね正臣くんごめんねこんな俺でごめんねでも正臣君が好きだから君を誰にも渡したくないんだだから君がどこかにいかないように、ね?ごめんねごめんね愛してるあしてるんだ好きなんだ愛して愛して愛して 愛 し て る 」 後悔を懺悔を愛を紡ぐ口は端的で感情が篭りすぎて機械的で壊れた音楽再生機のように。 抱きしめられる力は俺に奮う暴力と同じぐらい強く、暴力の中の優しさは蜜の様に甘い毒。 臨也さんのこの感情は知ってる。 好きな人が自分以外を見るのは怖い。嫌われたんじゃないのか。捨てられるんじゃないのか。興味を失われたんじゃないのか。傍に居られないんじゃないのか。怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い。好きなのに愛しているのに見てもらえないのは辛い。 だから、俺はこの人のこの人なりの愛し方を受け入れようと思う。 だって、臨也さんに殴られ蹴られ抱きしめられる内はこの人の最大の愛が俺に注がれているということだから。 あぁ、俺も大概病んでいる。 ‐‐‐‐‐‐ 鬼畜臨正を鬼畜眼鏡と見間違えたら罰として鬼畜臨正書けと言われ、そんなの妄想したら二人との病んだ。 |