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侵略者は突然にα
※]、直後の話。



寄り添う二つの影。蒼と黄色い影は仲よく唄を奏でる。名前の由来となる持ち歌ではなく彼らの持ち主(マスター)に因って生み出された恋の歌。
持ち主の性格がよく出ている甘い甘い歌声を聴きながら俺は背もたれに体重を預け天井を仰いだ。
あぁ、終わった。多少の手助けはしたけれど、全て自分たちで解決してしまった。人を模したプログラムが。
あぁ、なんて楽しいのだろう。

『臨也…』
「あぁ。デリックどうしたの?」

くつくつと今までの展開を思い出しながら小さく笑っていると今回の中心人物の片割れに話掛けられ画面に視線を戻した。すると日々也がデリックの隣で俺を睨みながら並んで立っている。

『日々也はもう大丈夫なのか?』
『…デリック、行くよ。』
「大丈夫だよ。元々ウィルスには強いモデルだしね。彼が蝕まれなければ被害は出ないよ。まぁ…彼自身がウィルスに対抗し進化をしてを自在に操れるようになってしまったけれど。」
『日々也…。臨也…サンキュー。』

余程サイケに言われ日々也の作ったプログラムを改良して自分に使われたのを根に持っているのだろう。俺をかなり警戒している。そういう学習も、進化も出来る。本当に人の様なプログラムだ。
踵を返した日々也を追いかけるデリックを見ながら俺は再び笑う。
面白い、実に面白い。単なる娯楽だと思いながらサイケを作り遊んでいたがこれは思わぬ収穫だ。
電子の中で作られる関係、絆、繋がり。持ち主を通さずとも勝手に人間社会を築きあげるその様。
これは目が離せない。
新しく加わったすばらしい日々とサイケデリック静雄は今後どんな物語を紡いでいってくれるのだろうか。

それぞれ電子の世界で思い思いに過ごす彼らを見つめ俺はこれからを楽しみにする。

「あぁ…この世は退屈と面白さに満ちている。」

だから俺は『人間』が好きで愛している。想像通りで想定外な『人間』が。
俺を楽しませてくれるモノすべて。

「しかし…彼らを送り込んできたのは一体誰なんだろうね?」

画面の端で寄り添う俺のPCに住むことになった彼らを見つめ口端を上げる。
一体何のつもりで送り込んで来たのか…少し調べてみる必要があるな。






♂♀





すばらしい日々との回線が途切れた。
失敗か…?
回線はサイケデリック臨也と学園天国が戦っている当たりで切れてしまったからどうなのか分からない。しかし、彼が戻って来ないということは失敗なのだろう。
まぁ、いい。拾いものだから俺が送り込んだものだとはバレはしないだろう。しかし相手はあの折原臨也だ。油断は禁物だ。対策を練ろうとしていると一通のメールが届いた。
捨てアドなのだろう見覚えのないアドレスと題名に相手は一目瞭然だった。

「『すばらしい日々の持ち主へ』って…隠す気あるのか?」

ウィルスチェックをして開けば思っていた相手からでその内容に唇を噛む。

『君のお陰でまた新しい発見が出来た事に御礼を言おう、ありがとう。実に楽しく面白い余興だったよ。
PS.あんなウィルスを仕込んだロイドでは俺にはまだまだ敵わないよ。精々今後も俺を楽しませてね。……青葉君?』

……全く、相変わらずムカつくやつだ。さっさと死ねよ。
あー今度はどんな手を使おうかな。







‐‐‐‐‐‐
早速登場、後日談。実はここまで書くつもりだったけど話数的に10話でリンダたちのことが解決してキリがよかったのとマスター側の話だということで後日談になりました…後日談?
日々也の持ち主というなのマスターを考えたらこうなった。




あきゅろす。
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