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侵略者は突然に[



「る…ルージュさ、ん?」
「ルージュ、デリックッ!」

学天くんとサイケの視線を受けながら私は首を捻った。
……どうして助けちゃったかなぁ?どう見てもあの王子様っぽい子が悪役だろうしサイケも何か一枚噛んでるっぽいし…加勢するなら学天くんだよね、普通。
でも、なぜかそうしなければと思った。ここで助けなければ悔いてしまうと思った。理由は…わからないけど。

「ルージュさん…」
『あぁ…えっと…ここは私に任せて学天くんはリンダくんたちの方に行ってくれるかな?津軽の様子がおかしいみたいなんだ。もしかしたらバグかもしれない。そういうのは学天くんの方が得意分野でしょ?』

学天くんに声を掛けられ慌てて答えた。とりあえず善悪を見定める時間が必要っぽいし…ここに居たら学天くんも危ないだろうからリンダくんたちの方に行くように促した。こっちに掛けつけるときに時かけちゃんに聞いたことも交えて。
それに…あの津軽に似た子…相当ヤバい。サイケで押されていた学天くんには敵わないというより、攻撃分野が違う。
めり込んだステレオを見て息を飲む。攻撃はしてこないけど、油断ならない…。
サイケもあれ以降動かないところを見ると、相当ヤバいのだろう。

『学天くん…』
「…分かりました。すぐにルージュさんも来てくださいね!」
『うん、必ず。』

暫く様子を見ていた学天くんだったけど納得してくれたようだ。リンダくんたちの方へ駆け出す彼を見送りながら、サイケと王子様と津軽に似た子を見た。
誰も動こうとしない。
さて…どしようかな…。
サイケもああ見えて何かを企んでるけど何を企んでいるか分からないような奴だし他二人に関しては今が初めて会うわけだから性格はおろか名前もわからない。何が起きてるか…も時かけちゃんに聞いて知ってる程度だし…。

「ねぇ、る」
『!?』

危ない!
サイケが何か話しかけたのを発端に場が動き始めた。
津軽に似た奴が力任せにサイケに殴りかかる。私の介入も間に合わず、サイケはこっちに吹き飛ばされてきた。

『大丈夫か?』
「いてて…デリックの奴…」

私の文字は見えていないようで、デリックと呼んだ津軽似の子を睨み付けた。そのあと思い出したかのようにこちらに振り向くとにやりと笑う。
あ…これはまたろくでもないことを考えている目だ。

「ねぇ、ルージュ?力を貸してくれる?俺が日々也をアンインストールするまでデリックの相手をしてほしいんだ。どこまで知ってるかは疑問だけど…今回の原因はあの日々也なんだ。彼さえいなくなればまた平穏が訪れるからさ?」
『それは…本当にアンインストールしなければいけないことなのか?他に方法はないのか?』
「ないね。アンインストールも時間が限られてる。ウィルスが効いている間じゃないときっと出来ない。」
『そうか…しかし断らせてもらうよ。』

サイケの言うことは理解出来た。しかし何故か納得できないことがあるんだ。こいつがいうのはまるで気に食わないからこの世界から消してしまおうと言っているみたいだ。それをはいそうですかと言うほど私は馬鹿じゃない。
って、言っても…どうしようかな…。
王子様…日々也を抱きしめているデリックを見る。彼らは私たちと同じモノじゃないのか?
その姿はまるで愛し合う恋人たちのようで、私は彼らも含めなんとかしたいと思う。

「あいつらはリンダと津軽を苦しめたんだよ。生きてる価値は」
『やはりそれが理由か。サイケ。…なら今そのリンダが津軽が動かないと泣いている。どうにかしてやれ。』
「あいつらがいる限りまた二人は泣かされる!」
『わかった。お前少し黙れ。』

サイケの本心を聞き確信する。こいつの言うことだけは聞いてはダメだと。これ以上の会話も無理なようなのでしばらくおとなしくしてもらうことにした。影の縄を作るとサイケを簀巻きにする。
この方法も、多分サイケとなんら変わりないだろう。…しかし、今は急いだ方がよさそうな気がするので考えないことにした。サイケだしな、うん。
サイケを放置して日々也達の方に向かう。途中投げた鎌を拾いしまって二人を見た。日々也はどこか苦しそうで、デリックは私が来たことで、彼を守る様に抱きしめ警戒している。

『大丈夫だ、私は君たちに危害を加える気はない。』

無害だと証明するように両手を広げる。
デリックの警戒は解けぬまま、日々也が私を見た。

「なんですか…君も俺を消しに来たのですか?」
「!」

皮肉に笑って、その笑みはサイケの様だけどどこか寂しげだった。

『いいや、私は…うん、君たちと友達になりに来たんだ。』
「は…?」
「日々也…こいつどうする?」
 
あー…ちょっと友達は突発過ぎたかな…。
日々也は呆れた表情の後盛大に吹き込んだ。

「アハハ、君。俺のことサイケから聞いてるんでしょう?そんな俺と友達に?」
『あぁ、最低なやつだろうとは何となくな。けど、君以外にも最低な奴はいるからな。あそこで簀巻きにされてるやつとか。』
「…本当、君はおかしいなやつですね。」
「おい…?大丈夫な」

大笑いの後彼は立ち上がり私に手をかざす。
どうやらサイケが言っていたウィルスが切れたようで今までに見た表情のどれよりも楽しそうに笑っている。

「自分から駒にしてくれと頼ん出来たのは君が初めてです。」
「日々也!」
『!』

あぁ…もう、またややこしくなってきた…。
日々也の言葉とこれからの行動を予想して鎌をすぐさまインストールする。

「ばいばい、」
「そうはさせないよ?」

鎌でふり払い間合いを取ろうとした刹那、彼らの後ろから伸びてきた手に、私は目を疑った。

『だ…ダイ羅』







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[終わりがログアウトしました]
状態でマジどうしよう…ごめんなさい、まじぐだぐだに長くなってる!
でもルージュ書いてて楽しかった。


あきゅろす。
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