[携帯モード] [URL送信]
棚から牡丹餅(トム正)



今日は臨也さんの仕事もなく、ゆっくり出来る休日。沙樹は臨也さんの用で居ないのが淋しいがそれを除けば最高の休日にするつもりだった。
今日は昼まで寝るぞと意気込み気持ち良く寝ているとけたたましい怒声とドアを叩く音に起こされる。
朝っぱらから何だよと思いながら無視して寝ようと思っても一向に止むことのない雑音に遂に俺はキレた。

「だぁっ!うるせぇよ!今まだ朝の7時だぞ?!何の用だ!」

朝の7時から一体何の用だ!怒鳴り返しながら俺はドアを開けて固まった。




♂♀





朝一の回収を済ませるべく静雄を離れた所で待機させ、とある部屋をノックする。
しかしまぁ…学生で何十万も使いやがって…親が聞いたら泣くぞぉ?健全な使用ならともかく…なぁ。
最近の若いもんはとじじくせぇ事を考えながら中々応答がなく、ノックは次第にドアを力任せに殴るものへと変わる。
ありゃこりゃ居留守か?まぁそうしたくなる理由もわかっけど…こっちも仕事だからな。
叩くのを止め、蹴り開けようと足を上げた所でドアが開いた。

「だぁっ!うるせぇよ!今まだ朝の7時だぞ?!何の用だ!」
「…へ?」

そこから出て来た少年に、俺は目を丸くするしか無かった。





♂♀




ドアを開けた先にいた姿に眠気も一気に吹き飛んでしまった。
俺の運がまだまだ残っていると言わんばかりの人物に空笑いが自然と浮かぶ。

「た…田中……さ、ん?」
「あーっと紀田…だったか。」

し、静雄じゃなくて良かったぁぁあああ!
まっ先に浮かんだ安堵。これが平和島静雄なら今頃俺は此処に居なかっただろう。
平和な日常でどうして死の危険を味合わねぇといけねぇんだ!
と思うが流石に言うことは出来ず、突然の訪問者に首を傾げた。





♂♀




開いたドアの先から現れたのは先日静雄に謝りに来た、確か…

「あーっと紀田だったか?」

そうそう黄巾賊の紀田だ。
少ししか会話した覚えが無かった為曖昧に言えば肯定するように返事をされた。
にしてもおっかしいな。此処には確か『原口』っつー奴が住んでる筈なんだけど。
どうして紀田が?ダチとかそういうか?

「あの…それで何の用っすか?」
「あー悪ぃ悪ぃ。ちっと聞くがここ、原口辰也って高校生の部屋か?」
「…へ?いや、ここは俺の部屋っすけど……」

あー嫌な予感的中。間違えたってことかぁこりゃ。しかし契約書の住所はここで間違えない筈なんだが…。
折角静雄を宥めて新宿まで来たのにむだ足ってか。
いや、まず朝から睡眠の邪魔したこいつに謝るべきか。

「悪ぃ、こっちの手違いで部屋間違えたみたいだ。」



♂♀





訪問の理由を問えば返ってきた答えに思わず怒鳴り掛ける。いや、ここは怒鳴ってもいいのか?しかし視界の端に見えた平和島静雄の姿に思い留まる。
そうしているとパンッと両手を合わせて頭を下げる田中さんに怒る気も失せた。
非を認めてる奴にこれ以上どう怒れっていうんだよ。

「ったーっ………あーもう良いっすわ。原口辰也っつーと多分俺の前に借りてた奴だと思うんすけど……詳しくは知らないんで。」
「あぁ、サンキュー。詫びと礼を兼ねて今から朝メシ行かね?」
「…奢りっすか?」
「詫びだしな。オニーサン何でも奢っちゃうよ?」
「マジっすか!行きます行きます!今日友人が旅行中でメシに困ってたんよ。」

さっさと帰って貰って寝直そうかと思ったら突然の誘い。これは棚ぼたって奴か♪
苛立っていた気分もどこへやら。現金だなと自分で思いながらも奢りには弱い年頃で、準備する為に少し待ってもらった後俺は揚々と出掛けた。







【棚から牡丹餅】





「何処行きて?」
「んーそうっすねー」
「モス。」
「いやいや、静雄。今日はこいつの意見聞こうな?」
「うす。」
「あ、田中さんの手料理とか。」
「たまには良いこというな。」
「いやいや、静雄も紀田も頭冷やそうな?」
「ごちになりまーす。」
「ごちっす。」
「あれ、これオニーサンの手料理の方向?」







‐‐‐‐‐
昨日の個人茶内での自分の発言「アニデュラ2クール目のOPのドアをノックするトムさん見て正臣の部屋をノックしてると思った俺乙」をふと思い出してカッとなってやった。反省も後悔もしてない。
突然のトムさんの訪問に目を丸くする正臣が書きたかっただけなんだ。
トム正ってほどはない。きっと馴れ初めなんだよね。これから進展していくんだよきっと。




第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!