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侵略者は突然にU



「ぁ゛!―――っ!!!」

背中から床に叩き突けられ更には胸に思いっ切り足を乗せられ掛かる体重に肺が圧迫されて苦しい。
相変わらず無表情で津軽は冷めた目で俺を見てくる。
早く…早く、サイケ…!
足を退けようと両手で掴んでいるがびくともしない。俺なんかが敵うわけないってか!
苦しみと苛立ちが混じった笑みを浮かべ尚も引き剥がせないか手に力を入れる。

「無駄だ。」
「かっ!」

それを嘲笑う様に更に加わる重さに本格的に呼吸が苦しい。酸素が行き渡らないせいなのか頭が痛いわ意識が飛びそうになるわ…ヤバい、死ぬかも。
絶望的な力量の差に諦め始めていると頬に何か落ちてきた。
歪む視界でそれを確認するとそれは津軽から落ちきたものだった。

「り…ん……」
「…が……る!」

涙だ。津軽は泣いている。そうだ、これは津軽が望んだ結果じゃない。正常に戻った時、彼はきっと自分を責め続ける。
まだ死ぬ(壊れる)訳にはいかない。

「安心…し、ろ…つが…る。愛のパ、ワーで……俺が……」

何とかするから。
目の前にエラーメッセージが飛び交う。
そろそろマジにヤバい…か。
チャンスがあるなら一度だけだろう。しかしどうする?
きっと原因があるはずだ。それが判れば…。

「だ…りん、だ……俺を…こわ」





♂♀




「アハハハハッ愉快だ!なあデリック。恋人同士で争うなんて滑稽な茶番劇だと思いません?」
「…そうっすね。」
「次はどうしようか…あ、君と彼、元は同じデザインですから君に彼の格好をさせて助けたフリをして……っていうのもいいかな。それとも新しく手に入れた駒が原因ってことにしようか。」

遠巻き、と言ってもこいつの力(スペック)で俺達の姿は見えていないが目の前で狂わされる友情愛情を眺めぼんやり思う。
どうしてこんなことになったのか。
覚えていないが、インストールされた過去の記憶の中の日々也はこんなことする奴じゃ無かった。もっともっと優しい奴だった。そうインプットされている。
しかし俺が知る日々也はその優しさなどカケラも見当たらない。
人の嫌がること困ることを平気でやりのける下衆野郎だ。

「日々也…」

声を掛けると蹴り倒され、馬から降り俺を足蹴にする。

「日、々、也、さ、ま。でしょ?デリック。」
「…日々也…様」
「で、何ですか?」
「どうしてこんなことを…?」
「………。面白いからに決まっているじゃないか。」

一瞬の間の後、当たり前だと言わんばかりの心底楽しげな笑みで言われた。
あぁ、本当に最低野郎だ。
あぁ、なんて下衆野郎なんだ。

だが、そんなこいつを止めず、付き合い、愛してしまっている俺は更に最低で下衆なんだろう。

「うん、デリック。さっき言った方法にしましょうか。」
「…?」
「さあ、着替えて?…この駒が全部責任を背負ってくれますから。」

日々也の横に従う侵された存在。
サイケデリック臨也。俺と同タイプモデル。
そいつは日々也と同じ様にニッコリと微笑んだ。






‐‐‐‐‐‐
何故か続いちゃったよ、おかしいな。
日々也とデリックの関係性は以前朔くん宅に投下してきたネタ。
日々也とデリックは以前付き合っていたけど一度デリックがバグってから日々也が病みました。それから自分をデリックに刻みつける様に日々也は悪逆非道の王子様となったのでした。めでたしめでたし。めでたくねーよ!
時かけや学天、ツパチンにダイ羅も出してみたいが…続かないよ。多分。




あきゅろす。
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