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Merry X'mas to MKMS



パーティーも終わり、寝るまでパソコンでもしてようかと立ち上げようとしていたが、電源ボタンを押す前に手を止めた。
逆手で携帯を取り出すと暫し迷った後、メール画面を呼び出し、一つのメールを作る。


『今から家行ってもいいか?』

簡潔に文章を作るとさっきまで一緒だった恋人にそのメールを送信した。
恋人とクリスマスを過ごす、それはこのパーティーの冒頭に呟いていた俺の理想。
確かにパーティーで賑やかに一緒に過ごしたがそれは恋人としてではなく、友人として、でだ。
仕切直しと言う訳ではなく今度は恋人として過ごしたいという意味で。
あいつからの返信は直ぐに来た。

『いいよ。僕も渡したいものあるし…おいで?』

メールを見ると俺は着替える時間も惜しいと言うようにコートだけを羽織り飛び出す様に恋人の家に向かった。



家からあいつが帰るだろう道順を想定してその通りに走って行けば予想通り、後ろ姿が見え、そのまま走る速度を緩めずに俺は文字通り飛び付いた。

「帝人!」
「うわっ!」

後ろからの飛びつきと油断していたこともあり、帝人は半分悲鳴のような驚いた声を上げて振り向いた。その表情を俺と分かるまで怯えた色を見せ、そして俺と気づくと怒気が見え隠れした。しかし、怒られることはなかった。

「正臣…。」

なんか飽きられたが。

「一緒帰ろ。」
「…正臣の場合『帰る』、んじゃないでしょ?」
「いいや、俺の帰る場所はいつだって帝人のとこだよ。」
 
隣に並び、帝人の手を握る。手袋もしていない帝人の手はすごく冷たくて、温めるようにギュッと握り直す。そして家に行こうって意味で言うと律儀に訂正され、苦笑をこぼしながら俺も律儀に訂正した。
だってそうだろ?俺の帰る場所は部屋とかそういう『場所』じゃない。居『場所』を言うならそれは帝人のところだ。
自信満々に言えば照れたのは言葉に詰まっているらしい帝人。そんな恋人に笑顔を浮かべ、再度手を握ると力強く握り返された。

「僕だって僕の居場所も帰る場所も正臣のところだから」
「くしゅん!」

帝人が言いかける途中で雰囲気をぶち壊すくしゃみ。悪ぃ…さすがにこの格好は寒かったようだ。
ちらり帝人を伺うように見つめていると呆気にとられた間抜けな顔をしている。目が合うとに同時に笑った。

「アハハ。さすが正臣、人を楽しませるのには長けてるや。」
「おい、それ褒めてるのか?けなしてるのか?」

満面の笑みでこの恋人は何を言う。それ取り方によっては褒め言葉になってないぞ?まぁ帝人のことだからけなしていることはないだろうが…褒めてもないだろう。
相変わらず酷い恋人に苦笑を零しつつ早く帰ろうと手を引いた。すると繋がれた手を離されたと思ったら体を包む温もり。

「全く…体冷えてるよ。」
「みか…」
「もしかして着替えてないの?」
「…早く会いたかったから」
「僕の部屋暖房機器ないよ?」
「なら…帝人が温めてくれよ。」

服越しでわかるのか言い当てられ素直な気持ちのまま答えた。だってクリスマスもそろそろ中盤なのに何もないままなんて淋しいじゃないか。
くるりと振り返って今日は俺からキスをした。
帝人と居たいんだ。帝人の温もりに触れて居たいんだ。だから、このくらいのわがまま見過ごせよ。
全く、そういって帝人を肩をすくめて俺を開放する。

「それなら早く帰らないと正臣が風邪ひいちゃうね。」

繋ぎ直した手を引いて帝人は歩き始める。
繋ぎ方を恋人繋ぎに変えて、歩調を合わせながら。
俺たちは幸せを噛みしめる。




‐‐‐‐‐‐‐‐
帝正ルートでした。あまあっまにする予定がどうしてこうなった。帰りにコンビニ寄ってにくまん二人でほうばって「美味しいねー」「なー」ってやる予定どこいった!?
居場所云々で見失いました。BGM間違えたなぁ。





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