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Merry X'mas



クリスマスは勿論、恋人と甘い一時。
映画を見たり買い物に出掛けたりちょっと奮発して洒落た店で飯を食って。あ、いや彼女の手料理も良いかもな。その後はお泊りなんかもして…スイートでラブリーナイト!

「に、な、る、ん、じゃ、な、い、の、か、な!」
「何が?」
「クリスマスだよ、クリスマス!普通クリスマスって言ったら恋人とラブラブナイトだろ?!百歩譲ってダチ同士の淋しいホーリーナイトで我慢しよう。だ、か!どうしてこうなんだよ!?杏里というエロ可愛い女の子も参加してんのにどうして俺なんだ!」
「…くじ引きだから?」
「俺はエロ可愛い杏里の手作りケーキが食べたかったっ!」
「そこは自分のくじ運の悪さを呪いなよ。」
 
本日、12月24日。俺らはダチ同士でクリスマスパーティをすることにした。それぞれ買い出し、部屋の飾りつけ、ケーキに分かれ準備に取り掛かっている。ちなみに料理類は買ってきたもののつもりなんだがケーキは手作り!という俺の意見で市販ではなく当日作ることとなった。しかしまさか自分で作るとは誰が思おう!面白そうだし、あーだーこーだって決めるよりくじですっぱと決めたらどうだ?、その時の自分の発言が恨まれる…。
そうして俺がケーキ、帝人は部屋の飾りつけ、杏里と滝口がお菓子やジュースなどの買い出しに出たわけだ。

「だが、それなら飾りつけは杏里でいいじゃねぇか。この寒空の下にか弱い杏里を放り出すなんて帝人は男がなってない!」
「僕もそのつもりだったけど、当の本人に断られたのを正臣もみたでしょ?」
「……俺も杏里と買い出しデートしたい!!」

いくら準備だからと言って男といるよりは女の子と居たい、それが男の子ってもんしょ?!
帝人からの冷たい視線と長い溜息を聞き流しつつ俺ケーキのデコレーションを終えた。

「うし、完成!」

にしても最近のお菓子つくりは簡単で助かる。難しいだろう思っていたケーキもレンジでチン☆で、あとは飾りつけ。こんな俺でもすぐに出来上がりだ。まぁ、ただ生クリームぬって、フルーツ盛り付けて、じゃ味気も面白みもねぇから、帝人たちには内緒でとあることも仕込んだわけだが。

「正臣ももうできたの?」

俺の声を聞いたんだろう、リビングで部屋を飾り付けていた帝人がキッチンへ顔を出した。
ちなみにこのクリスマスパーティは俺の部屋で行われることになっている。理由?帝人の部屋は何もねぇし女の子の家に大人数で押しかけるのもわりぃし滝口はNGっていう消去法。ま、俺は一人暮らしだし、人数的にも大丈夫だろう。そういうことで、俺の家で行われることになった。ちなみにメンバーは俺たち以外にもいる。やるなら世話になった人たちも呼ぼうってことになって、それぞれ招待状を出したんだ。
門田さんたちに静雄さんたち。新羅さんとセルティさんも呼んだけど仕事らしく今日は来れない。サイモンも露西亜寿司が忙しいとのことで。

「正臣、結局臨也さんにも招待状出したの?」

帝人の言葉を聞き無意識に俺はごみ箱を見た。その中に入っている一枚の紙切れ。このクリスマスパーティのことが書かれた紙に見える『臨也さんへ』という宛名。
臨也さんへ招待状を出そうとする帝人を引き止め、渋る俺に帝人は俺の意思で決めてと渡したのだ。
そもそもその時から静雄さんを呼ぶ話も出ていたわけで、ここで二人を引き合わせたら戦場になること間違いない。
それに俺はそれだけじゃなく、臨也さんに会いたくない、という個人的意見も含まれている。
すべてを察したわけではないだろうが長年の付き合いだけあって何か察してくれた帝人は俺に選択権を与えてくれたわけだ。まぁ、結果はごみ箱を見れば早い。

「俺はまだ死にたくない。」
「それはさすがに大袈裟じゃない?」

遠まわしに、しかしはっきりと「呼んでいない」ことを伝えると帝人は苦笑はすれど納得はしたのかそれ以上は何も言ってこなかった。
帝人の優しさに感謝しながら飾りつけ終えたケーキを冷蔵庫にしまい、キッチンを覗き込んでいた帝人と一緒にリビングに戻る。
リビングに飾り付けられたツリーを眺め、部屋を見渡す。所々クリスマスを感じさせる小物やレイアウトに年端もなく心が躍った。
きっと久しぶりに帝人とクリスマスを過ごすからだろう。みんなで大騒ぎしてすごすからだろう。

「帝人、お疲れさん」
「正臣もね。」

この部屋の飾りつけしてくれた帝人に労りの声をかけていると玄関から物音が。
自然と視線をそちらに向ければ買い物袋を携えた杏里と滝口が見えて、準備もそろそろ完了となる。買ってきた紙コップを人数分机に並べ、お菓子を紙皿に盛り、ジュースを冷やし。
準備が終わるころにはパーティ開始10分前となっていた。
もうすぐだなと思っていれば玄関のチャイムが鳴り、招待状を送った面々が顔を出す。
招待状に書いた開始時刻にはもうみんな集まってリビングでわいわいとやっていた。

「では、」
「「「「「「「「メリークリスマス!!!」」」」」」」」

全員そろったことを確認すると俺が代表となってジュースの注がれた紙コップを持ち上げみんなをみる。するとみんなもならって紙コップを持ち上げ声をそろえてクリスマス定番の言葉を掛け合った。
それがクリスマスパーティの始まりの合図。それぞれ楽しげに会話を始めた。

はじめ俺はボードゲームの輪にいたがゴールを迎えてしまえば暇になる。まだ門田さんと話していないと気が付けば俺はいつものメンバーに囲まれ話している門田さんたちに近づいて行った。

「門田さん。今日はありがとうございます。」
「いや、こっちこそありがとうな。」
「あれ、紀田君。どうしたの?向こうは?」
「もしかしてはじかれちゃったんすか?」
「いやいや、」

忙しい中来てくれたであろうことにお礼を言っていると門田さんを挟んで向かい側にいた狩沢さんがひょっこりと顔を覗かせた。続いて遊馬崎さんも視線を向けてくる。なんだか狩沢さんの目が楽しそうに輝いているのは何故だろう。ああいう目をしている時はろくな目に合わないんだよな。

「そっかぁ、ドタチンと一緒にいたくなったとかだね?恋しくなっちゃった?」

ほら。狩沢さんの頭の中では俺と門田さんは付き合ってるっぽいんだよなぁ。どうしてそうなった。
訂正しても狩沢さんは自分の世界に入ってしまって聞いてももらえない。そうするともう諦め聞き流すしかない。
門田さんも諦めモードらしく溜息をついて頭を抱えているが何も言わない。
門田さんも苦労しているな…。

「人恋しいなら俺が癒してあげましょうか?」
「え?…うわ!」
「ちょ、ゆまっち!なに、ゆまっちも??三角関係!?」

門田さんになんて声をかけようかと思っているといきなり押し倒された。
は…ちょ、どういうこと?
目の前には遊馬崎さん…と頬を赤らめて息の荒い狩沢さん。なにこれ、狩沢さんの悪戯?
抜け出そうと思えば抜け出せるけどなんかそのほうが嫌な予感がするんだよな。
例えば

「あれれ、紀田君。抵抗しないってことは俺にも脈ありっすか?」

門田さんのほうが…って、いや、抜け出さなくてもそうなるのか。

「いや、どいてくださいよ。」

どっちもどっちなようで、さすがにこの姿勢は嫌なので遊馬崎さんの胸を押して抜け出そうとする。遊馬崎さんのほうも冗句のつもりらしく(いや、そうじゃなきゃ困るが)すぐにどいてくれた。

「えーもう終わり?」

約一名残念そうだが。

「あ、そうだ!紀田君にクリスマスプレゼント!」
「え?でも俺、個々には…」

俺と遊馬崎さんのやり取りに残念そうに上がっていたテンションを一時は下げた狩沢さんだったがすぐに思い出したかのように鞄から何か取り出した。
鞄との比率が少し合わないんじゃないかなと思う紙袋。どう入っていたんだろう。
それを渡され、俺はきょとんとする。
今回全員に用意するのは大変だろうということでパーティの適当なとこで一人一品ずつ持ち寄ったプレゼントをランダムに交換する流れのため、個々に用意されているとは思わず申し訳なさそうに受け取る。拒否するのもさすがに悪いだろうし…。
しかし、狩沢さんはそんなこと気にしていないようで親指を立てて問題ないと笑う。

「大丈夫大丈夫。紀田君がそれを着てくれれば!」

なるほど、コスプレですか。
すぐに中身の検討がついてしまう自分が少しだけ嫌になった。
たまに狩沢さんの趣味に付き合わされるんだ。彼女がこういったイベントを見逃すわけがない。油断した…。

「紀田嫌なら」
「いや、いいっすよ。慣れましたから。」
「さっすが紀田君話が分かる!」

肩を落としている俺にさすがに見かねた門田さんが助け船を出してくれるが、まぁコスプレぐらいならいい。現に俺は杏里にミニスカサンタコスを頼んで帝人に却下されていたとこだしな。見たかったなぁ…杏里のミニスカサンタコス。全く、帝人はわかってないな。
ぶつぶつこのパーティ計画をしていたことを思い出し呟きながら俺は着替えるために部屋を一回出て行った。
その時滝口に声をかけられ

「俺の生まれ変わった姿を楽しみしとけ!」

と、返して。

10分もしないうちに着替えは終わったのだが…俺はやはりまだ狩沢さんを甘く見ているようだ。

「紀田君?着替え終わった?」

終わりました。しかしどうしてこうなった!
現在俺は見たいと言っていたミニスカサンタの格好をしてます、はい。しかも杏里で想像していたよりも露出高めです。俺、こんな姿みんなに見られたらお嫁にいけない!いや、はじめからいかねぇが。
はぁ…腹、くくるしかないよな。
そっとリビングの戸を開けると一斉に集まる視線。顔を覗かせ様子を伺う。
うぅ…笑え、みんなで笑えばいいだろ!
狩沢さんに半ば無理やり引きずり出され明らかになる俺の姿にみんな何も言わない。いや、約一名騒がしいほど言っているが。

「きゃぁぁ!やっぱり似合うわ!似合う!これでご飯何杯も行けちゃう!もう紀田君かわいい!早くドタチンでも帝人君でもゆまっちでもいいからお嫁になっちゃってよ!ウェデゥンドレスは任せて!」

最早どこから突っ込めばいいのか謎である。
みんなの視線が嫌で俺は逃げるように部屋の隅へ逃げようとするが誰かに腕を引かれバランスを崩して倒れこんだ。

「あぶねぇだろ!」
「わ、悪い。まさかこけるとは思わなかった。」

邪魔されたこともあり怒鳴るようにいい、顔を上げると驚いたように見つめている滝口と目が合う。
わざとじゃねぇなら…まぁいいか。

「本当に生まれ変わったみたいだな。」
「ちゃかすな。変だろ。笑えよ。」
「似合ってる。」
「……眼科行ってこい。」

本気で褒められるとさすがに照れる。似合ってる似合ってない関係なくな。
裏のない笑顔で言わればバツが悪く顔を逸らす。
すると肩に温もりを感じ背けた顔を戻して滝口を見る。

「室内だってもその恰好はさすがに寒いだろ貸してやるよ。」
「さ…サンキュ」

肩に掛けられた滝口の上着。
確かに室内で暖房が効いているからといってミニスカに加えノースリーブに腹出しは寒い。
ありがたく借りることにし、ギュッと上着を抱きしめ小さく笑った。さっきまで滝口が来ていたからあったけぇや。

「…で、狩沢さんは何をしてるんすか?」
「私のことは空気とでも思ってくれてもいいから続けて!」

カメラを構える狩沢さん。どうしよう…女の子ならだれとでも付き合える自信はあったのに狩沢さんだけは行動がついていけなさすぎて無理かもしれない。

そんなこんなでパーティも中盤。
メインディッシュのケーキの登場とプレゼント交換だ。

「紀田正臣特製、ロシアンケーキ♪」
「は!?」

小ぶりのケーキを人分、トレーに載せて持ってくる。さすがに一人では持っていけないので帝人に手伝ってもらって。
机に置きながら普通のケーキとは一味違ったことを言うと、帝人はいち早く反応した。
うん、予想通りの反応をありがとう。

「この中に3つだけ俺特製が入ってるぜ。何かは内緒。食べてみてからのお楽しみだ。」

小ぶりのケーキはイチゴやミカン、さくらんぼなど一つ一つトッピングのフルーツが違う。好き嫌いとかもあるだとうし同じだとなんか手作りの良さが薄まるっつーかな。…ぶっちゃけ俺の目印でもあったりはする。
……ふ、しかしこの俺でさえどれが当たりかわからないくなっているんだぜ。

「正臣、あれほど変なことしないでって!」
「おっと、どんなものかは食べてみねぇと分からないだろ?」
「まぁいいじゃねぇか。楽しそうだろ。こういうのもよ。」
「お、静雄さん話がわかる!」

実は話し合いの段階で普通のケーキじゃ物足りないと俺が言っていたんだ。だから帝人は俺が変なことをしないか見張っていた。信用ねぇな…ま、実際やってるからどっちもどっちか。
帝人と軽い攻防を繰り広げていると静雄さんが乗ってきてくれる。案外静雄さんこういった催し好きなんだな。ちょっとだけ心配していた分かなり安心する。心強い味方を持った。

「ロシアンケーキ、いいんじゃない?」
「面白そうっすね。」
「ま、作っちまったもんを今更食わねぇのも勿体ないだろう。」

帝人以外も乗り気のようで、俺はどうだ、と鼻を鳴らして帝人を見る。すると帝人ははぁと溜息をつき肩をすくめた。諦めたようだ。

「では、選んだらせーの、でOK?」

反論者もいなくなったとこで場を進める。
それぞれみんなが好みのケーキを取る姿を眺め、残ったケーキを帝人が渡してくれ、受け取る。
全員にケーキが行き渡った事を確認すればフォークで一口分取ると皆を見る。各々準備OKを確認して俺は口を開いた。

「じゃ、せーの」

俺の掛け声でケーキを口に含む面々。
口内に広がる生クリーム以外の甘みにラッキーと頬を緩めた。つまりこれがあたりである。
しかし他の人達はあれ?っと目を丸くしている。
ふむ、やっぱり皆、罰ゲーム的なロシアンケーキだと思っているな。残念だったな。
苦笑を堪えつつ俺は種明かしをし始めた。

「ロシアンケーキっても当たりが激まずケーキとは限らない。当たりにはカスタードクリームがサンドされた甘さを追求したケーキなんだ。生クリームと合わさった甘みをお楽しみあれ!」
「正臣…それは甘すぎない?」
「おいしそうですね。」
「ってことは俺のは当たりか。」
「成る程。生クリーム×カスタードクリームってことね。あ、でもカスタードクリーム×生クリーム?んー迷うなぁ。」
「俺もだな。」
「紀田君にいっぱい食わされたって感じっすね。」
「紀田一口ー。」

種明かしを聞いた皆は様々な反応をする。その反応を聞き当たりはどうやら俺と静雄さんと門田さんになったみたいだ。なんとも反応しがたいメンバーだ。
ま、でも反応をみるかぎり喜んでもらえて良かった。
滝口が一口とケーキを要求してくるので一口大にケーキをフォークに乗せて食べさせてやりながら俺は自分が作ったものを美味しそうに食べる姿に小さく笑みを零した。




そしてそのあとのプレゼント交換も何事もなく終え、21時を回る頃には明日仕事や子供はそろそろ帰れと言う大人達の声に解散となる。
そんな皆を俺は玄関まで見送り終わると




ベッドに寝転び寝るまでどう暇を潰すか考える。

携帯を取り出しメールを作ると送信する。

携帯を取り出し電話を掛ける。







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今回の小説はゲーム風にエンドが3種類。選んだ選択肢によりCPルートが変わります。
どのCPがあるかは察しの通り帝正、静正、臨正の当サイトメインCPです。分岐はここだけなので地雷CPありましたらすぐバックお願いします。






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