[携帯モード] [URL送信]
最後のリボルバー(帝正←臨)
※ボカロ楽曲「最後のリボルバー」パロ。アレンジあり。
【最期のリボルバー】臨也視点。
 





届けられた写真と指令書を見つめ、俺は楽しげに笑う。
最終的結果を下すのはさらに上だけど、思った通りにことが運ばれた。
一人の政府の人間を俺の最愛な部下が手を下す。
正臣君が愛した帝人君をその手に掛けるという最高のシナリオだ。

彼らが付き合っていることは知っていた。俺の目を盗んで行動しているつもりみたいだけど無駄だよ。すべて筒抜けだ。
それに、彼は俺のだ、奪うのは許さない。
だから君らにはバツを受けてもらうよ?

コンコンと控えめなノックが聞こえる。
きっと予め呼んでおいた彼だろう。返事をすればこれまた控えめな声で「失礼します」と入ってくる正臣君。
彼に今回の任務を伝えればうん、予想通り。顔面蒼白な顔で今にも泣きそうだ。

「出来る?」

出来ないといっても無駄だけどね。彼はもう死ぬ運命なんだ。本当は今はまだそういう対象ではなかったけど、俺が手を回したから、俺がそっちに背中を押したから。
どんな返答が返ってくるんだろう。楽しみだなぁ。
じっと彼の変化を逃さず見ていると、彼の口端が吊り上った。

「もちろん。」

それはすごくいい笑顔だった。
今までに見たことないほど愛おしく、すがすがしい笑顔で、どうして恋人を殺せという命令にそんな顔ができるのか疑問だった。
あぁ、やっぱり君はまだ俺を楽しませてくれる。
あぁ、やっぱり人間は奥深い。
だから、殺させやしないから。




♂♀




どうして愛はこんなにも強いのだろう。
どうして彼らは笑えるのだろう。
どうして命を簡単に捨てられるのだろう。

俺はすべてを見ていた。
正臣君が銃を突きつけ、帝人君はそれを受け止める。
泣いている正臣君と笑っている帝人君。はたかれ見れば加害者と被害者は逆に勘違いされるだろう。
それでも、二人は笑いあい、鳴り響く銃声。




♂♀




出会いは春。
仲を深めたのは夏。
恋人になったのは秋。
そして冬には…。



♂♀




一瞬彼らの一年を思う浮かべてみたが他のカップルと違った様子はなかった。でも、目の前の彼らは深い愛で結ばれている。

「正臣君、ご苦労様。」
「臨也…さん…」

まぁ、そんなこと俺には関係ない。
だって、もう帝人君はいないのだから。
この傷心した正臣君がいればいいのだから。
もう少しで俺に落ちるのだから。
泣いている正臣君を抱きしめ、俺は形だけ謝った。
帝人君を助けてあげられなくて。
君の幸せを守れなくて。
出来るだけ優しく、優しく…傷ついた心を癒しように、労わるように。
これからじっくり癒してあげるよ。愛してあげるよ。

そう計画していたのに、君はまた俺の考えを裏切る。
俺を突き飛ばしたかと思うと彼は自分の額に先ほど恋人を殺した拳銃をあてがった。
もしかして、いや、もしかしなくても君は…

「正臣君!」

続いて鳴り響いた銃声。
倒れていく彼の体。
舞う赤色はその場を染めていき。

俺は泣いていた。

  










− − − − − − − − −
【最期のリボルバー】の臨也視点が見たいと言われたので。
















第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!