[携帯モード] [URL送信]
最期のリボルバー(帝正←臨)
※ボカロ楽曲、悪/ノPの「最/後のリ/ボ/ルバー」パロ。アレンジあります。




思い出の場所で、出会ったこの場所で、俺は愛しい人に拳銃を突きつける。
俺は『悪』側の人間で、あいつは『正義』側の人間なんだ。
だから、仕方がないんだ。俺らの敵なんだ。敵だから、命令ならば、どんな人でも、家族でも兄弟でも恋人でも殺さなきゃいけないんだ。
はじめからわかっていたこと。
いつかこんな日が来るんだと。
それでも俺はこいつを好きになったんだ。



♂♀





「正臣君、次の標的だよ。」
「え…」

呼び出された上司である臨也さんの部屋。それを意味するのは次の仕事の話ということ。
机に広げられた資料に目を落として自分の目を疑った。
いや、わかっていたことだ。いつかこの日が来るということを。
資料を手に内容を頭に入れて、紙と一緒に置かれていた6発の実弾と拳銃に気づいて目を細める。

「出来る?」

きっとこの人はわかっている。気づいている。
今回のターゲットと俺との関係。
それでも俺に頼むのは、俺を試しているんだ。
じゃなきゃ、こんな楽しそうな顔をしない。
俺は臨也さんを憎むわけでも恨むわけでもなく、笑顔で元気にうなずいた。

「もちろんですよ。」



♂♀





そして決行日、俺は春に出会ったあの桜の木の下にそいつを呼び出した。

「正臣、用事って何?」
「…ごめん、帝人。」

そっと手に持っていた拳銃を俺は恋人、帝人に向けた。
帝人も、わかっていたんだろう、覚悟はしていたんだろう、一瞬は驚いた顔をしたがすぐにいつもの優しい表情に戻った。
どうして、どうしてなんだ。どうしてそんな優しい顔が出来るんだ。
今から殺されるというのに。どうして、俺を責めない、泣かないんだ。
ぽつぽつ俺の頬からすべり地面に落ちていく涙。

「正臣」

頬に触れる帝人のぬくもり。
拳銃にかかる力。
目の前の帝人の笑顔。
何かを紡ぐ為に動く唇。


俺は撃鉄を起こし、指を引き金にかけて・・・




♂♀




春にこの桜の木の下で出会って
夏に祭りや海にいったり遊びまくった。
秋に帝人に告白されて恋人同士になった。
そしてこの冬に俺は…



♂♀





「正臣君、ご苦労様。」
「臨也…さん…」

帝人を前に立ち尽くしている俺の元に臨也さんが声をかけてくれる。
傷心している俺を抱きしめ臨也さんは何度も謝った。こんなことになってごめんと、俺の幸せを守れなくてごめんと。優しく、強く、俺を抱きしめてくれて、その優しさに俺は揺らぎそうになった。
でも帝人を約束したんだ。
ずっと一緒にいようねって。

臨也さんを突き飛ばし、まだ5発残っている拳銃を自分の額に当てた。

「正臣君!」

そして俺は引き金を引いた。




♂♀





いつかこんな日が来ることはわかっていた。だから約束したんだ。
ずっとずっと、一緒にいたいねって。一緒にいようねって。
これで、もう誰にも邪魔されることはない。

ずっとずっと一緒だ、帝人。









‐‐‐‐‐
THE雰囲気小説。元ネタ分からないと分からないであろう…。
でも書きたかったんだ。





第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!