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言い付けは守りましょう(静正)



ダメ…俺も…む、り……
体が熱い…意識がと、びそ……

「し…ずお…さ、ん…も…俺だめ…」
「まだダメだ、いかせねぇよ。」
「で、でも……」

俺もう限界なんです。
これ以上待ってたら俺絶対にいっちゃいますって。
だから出させて下さい。

「ダメだっつってるだろ?」
「もう無理です!このまま浸かってたら絶対逆上せます!」
「紀田!」

ザバァと俺は引き止める静雄さんを無視して湯舟から上がった。
久しぶりのお泊り。片時も離れたくない俺はお風呂も一緒に入りたいとおねだりして一緒に入る事となったのだが、静雄さんは江戸っ子さながら熱いお風呂を好むようだ。
お陰で入浴10分もならないうちに俺の茹でたこが出来上がった。
完全に逆上せきる前に上がってしまおうと立ち上がると腰を引かれて座らされる。なんだと視線を巡らせればそこには眉間に皺を寄せた静雄さんと目が合い冒頭のやり取りへ戻る。
いや、今もまた静雄さんに抱き止められましたとも。今度は厳重に後ろから抱き着くと言う形で。

「静雄さ、ん。離して下さい。このままじゃマジで逝きます。」
「駄目だ。まだ1000数えてねぇだろ。1000数えて出ねぇと風邪引くぞ。」
「1000?!100じゃなく1000?!有り得ぇ!確実逝くって!」
「紀田なら大丈夫だ。」
「何処にそんな根拠があるんすか!」
「1日5回ヤってもま」
「わーわー!何言ってるんすか!」

身をよじり方向転換して静雄さんと向き合う形で座り直す。
こうなったら直談判だと言葉を紡ぐと平和島家の言い付けらしい事を言われて俺は死を覚悟した。
誰だよ、純心無垢な静雄さんに間違ったこと教えたのは。いや、そのくらい身体が温まるまで入れって意味なんだろうがこの様子じゃガチで1000まで数えてるぞ?
そんな体力ないっつーとあっち方面の話題出してくるし、なんだ、このガキのような親父な大人は?!
俺の手に負えねぇ!

「なら少し水入れてもいいっすか?」

仮に1000数えるとしよう。今のままでは死ぬ。
妥協案として提案すると渋い顔をする静雄さんに俺はじっと見つめた。
すると仕方がないと言うように肩を竦めたと思ったら強く強く抱きしめられる。

「ならこのまま1000な。」
「……は、い。」

ちょ、耳元で囁くなっ!
これはこれで逆上せるかも…。

何のプレイだよ!







【言い付けは守りましょう】







そして水を足し、丁度いい温度になったところで。

「いーち」
「にー」
「さーん」

交互に数を数える。こんなの小さな頃以来だな。

「じゅー」
「いーち」
「?!」

戻った?!え、これ終わりあるのか?!


ちゃんと終わりました。それを100回繰り返したら。
突っ込んだら負けですか。




‐‐‐‐‐
昨日(12/15)の茶会で話していた静雄とのお風呂話。ご飯やるとき暇だったから…。
差し入れということで。







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