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いつもと違う風景(帝正)




『お掛けになった番号は電源が入っていないか電波が届かないところに』

耳に届くアナウンスが先程から変わらないことを確認すると俺は電源ボタンを押して電源を切った。

今朝、今日の放課後に委員会があるから先に帰って良いと帝人に話したがその委員会が急遽無くなった。だから一緒に帰ろうかと始めはメールで伝えたのだが何分経っても返信が来ない。気付かないのかと電話をしてみたが機械的なアナウンスが流れるだけで一向に繋がる気配が見えず俺は電池が切れているのかと帝人にしては珍しいことがあるもんだと思いながら電話を切った。教室にも迎えに行ったのだがやはり帝人は帰った後で、一緒に帰っているだろう杏里にも電話をしたが今日は別々に帰ったらしいということで…胸の中に何故か溜まっていく不安。
一度不安になると負の連鎖と言うものが出来上がり、考えること考えること嫌な予想ばかりだ。
帝人に何かあったのか、帝人が事故に遭ったんじゃないか、もしかしたら最近勢いづいているダラーズに出くわしたんじゃないのか…考えれば考えるほど不安は増して行き、俺はいつの間にか帝人を探して池袋の街を走り回っていた。

だけど帝人が行きそうな場所を探しても見付からない。途中で誰かが襲われていると噂を耳にして駆け付けるが誰もいない。
不安だけが膨れ上がる一方で、電話を掛けても繋がらなくて、俺はその場に立ちすくんだ。
あの時と似ている。臨也さんに電話が繋がらなくて、沙樹が危ない状況で、でも自分は何も出来なかったあの時に。
また繰り返すのか、歪む世界に俯き声を殺す。
帝人に何か遭ったと決まったわけじゃないんだ。絶望するのは後悔するのはまだ早い。
目元を擦り顔を上げて帝人を探そうと足を踏み出した時、背後から陽気な声が聞こえた。

「あれ、正臣?」
「……、みか、どっ!」

振り向けばまさに今探していた人物で、何事もないいつも通りの姿に自分の予想は考えは外れていたことに喜びが沸き上がり、勢いよく抱き着いた。
バランスを崩しかけながらも帝人は俺を受け止めてくれ、しっかり抱きしめてくれる。

「わっ正臣?!どうしたの?!」
「帝人が悪い…帝人がメールも返さねぇし電話にも出ねぇしどこ探しても居ねぇし。」

安心したら泣けてきた…それが帝人にもバレてんだろ。慌てた声に俺はぐりぐりと肩口に頭を擦り付けて文句を垂れる。メールを返さないのも電話に出ないのも帝人なりの理由があるのはわかっている。勝手に不安がっていたんだってのも自覚している。でも不安だったんだ、いつも一緒にいる帝人に何かあったんじゃないかって、居なくなるかもしれないって怖かったんだ。

「えーっとゴメンね?昨日充電し忘れて途中で切れちゃったみたいで…」
「馬鹿帝人馬鹿馬鹿馬鹿………………………何もなくて良かった。」

ポンポンと背中を叩いて慰めてくれる帝人の温もりが本当に安心して、俺はここが往来のど真ん中だということも忘れて帝人に抱き着いて落ち着くまで泣き続けた。






【いつもと違う風景】







「…帝人今日泊めろ」
「え?」
「今日泊まるからな!」
「…はいはい。一緒に寝ようね。」
「じゃないと怒る。」

今日は存分に甘えさせてほしい。今日はずっと一緒にいたい。
胸の中に燻る不安が消え去るまでずっと…。



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茶会中に出て来た話題(寧ろふった話題)に萌えた。だがしかしログが流れてラスト忘れたというww
茶会差し入れ第2弾。





あきゅろす。
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