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覗く嫉妬心は狂気の寸前(渡正)



渡草さんは

「お、ルリちゃんの新曲が発売?!」

いつもいつも

「限定版A、Bでは収録曲が違うのか。」

違う人を見ている。

「紀田、悪い。ちょっとショップ寄ってもいいか?」
「はい、構いませんよ。」

俺とのデートの時だって、あの人のことばかり。
俺とその人を比べるなんて馬鹿だと思う。好きの種類が違うんだって分かってる。

だけど、

「ルリちゃん、今日も可愛いな。」

俺といる時ぐらい、忘れたってもいいじゃないか。
こんな子供みたいな考えをする俺は何て醜く愚かなんだろう。

アイドルと平凡な高校生を比べること事態、間違っているのに。





♂♀






俺、何やってんだろ。

「キャー正臣君超似合う!これなら渡草っちもイチコロだよ!」
「これで渡草さんのハートをぐわしっと掴むんすね!」

狩沢さん達に悩んでいることを悟られたのが昨日の渡草さんとのデート後。話を聞いて貰って(言わなきゃ帰れる雰囲気じゃなかった。)今日、この時間に呼び出され、恋敵とも言える聖辺ルリのコスプレをさせられた。
確かに渡草さんが大好きな聖辺ルリの格好なら見てくれるかもしれない。しかしそれは俺ではダメなんだ、ということではないだろうか…。

「ささ、正臣君。渡草っちを落として来なさい☆」

ぽんっと肩を叩かれ勇気をくれる様に背中を押してくれる。狩沢さんは満面の笑顔で「私の作戦に抜かり無し!」と自信満々だ。
折角狩沢さん達が考えてくれたんだ。やれるだけやって見ようと俺は渡草さんのワゴン車に近づくとコンコンと控え目に窓を叩いた。

「あ、何だ…?」
「と、渡草さん、ちょっと出て来て貰えますか?」

姿を見られないように死角に入り、声を掛ける。少し訝しげだったが渡草さんが分かったとドアを開ける。そして俺の姿を見て、息を飲んだ。

「な…ル、リちゃん…?いや、紀田…だよな、どうしたんだ?」
「渡草さん…聖辺ルリ…さんが好きだから…こうすれば俺も見てもらえるかなって。」

過度な露出の多いこの服装はかなり恥ずかしい。だけどこれで渡草さんが俺を見てくれるなら、悔しいけど、この格好でいようと思う。
渡草さんを見れば驚いた表情から段々と険しい表情に変わっていくのが見えた。あ、俺なんかがこんな格好したから渡草さん…怒って

「馬鹿野郎!紀田とルリちゃんは違うだろ!ルリちゃんはルリちゃんの良さがあって紀田には紀田の良さがある!だから変に着飾るんじゃねぇよ!俺はな、そのままの紀田正臣が好きなんだよ!」

怒ってる。だけどその理由が俺の想像していたものではなく、俺は渡草さんに抱きしめられながらキョトンとしてしまった。

「す…き…?」
「あぁ、好きだぜ、紀田。」
「…でも、いつも…」
「渡草っちはねー正臣君と二人っきりに緊張してるんだよー?」
「なっ狩沢手前っ!」
「だーかーら、気を紛らわそうとぉ、ルリちゃんのこと調べてるんだよねー?」

車の影にスタンバイしていた狩沢さんが補足とばかりに教えてくれる真実。俺はどうなのかと渡草さんを見ると照れた様に顔を背けられた。

「…悪い紀田…手前がそんな風に思い詰めてるなんて知らなかった。…これからは控える。」
「…………、普通、そこは止める、っていうんじゃないんすか。」
「そうだな、紀田の前じゃやらねぇよ。」
「…はい、俺だけを見てくださいね。」

罰が悪そうに頬を掻くその姿が肯定を示していれば俺は思わず笑ってしまった。渡草さんも俺を考えて意識していたんだ。なのに俺は馬鹿な嫉妬に囚われて。

俺は本当、馬鹿だ。

「渡草さん、好きです。」




【覗く嫉妬心は狂気の寸前】







「ゆまっち、やっぱりBLは甘いのが一番よね。」
「だから俺はリアルBLには興味ないっすよ。」
「そこ!いつまでこそこそ見てるんだよ!紀田を見て良いのは俺だけだ!」
「…っ、渡草、さん…恥ずかしいです。」








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茶会中会話より…いやリクエストされた!なんかいきなり渡草×正臣の話になりルリちゃんに嫉妬な正臣はルリコスして…とこうなりました。







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