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四面楚歌とはこのことか(臨正帝)



暗く密閉された空間。荒い息遣いだけが木霊する。俺達は身体を寄せ合い冷え切る身体を温め合う。

「正…臣…」
「ン…みか…ど?」
「正臣君、愛してる。」
「臨也さ…ん…」

俺と帝人と臨也さんだけしかいない空間。寄り添わなくても寝転べるぐらいの広いスペースはあるのだが俺は帝人に体を寄せ、臨也さんは俺に抱き着いていた。

「正臣…くん…」
「ァ…っ……臨也、さん…」
「正臣、もっとこっち」
「んン…帝人ォ」

臨也さんが俺の身体を撫でる。それに俺は擽ったくて身をよじっていると帝人が庇うように肩を抱き寄せてくれる。いきなりだったのでバランスを崩してそのまま帝人の胸へもたれ掛かる。すると臨也さんがこっちにおいでというように引き寄せられた。

「正臣君、おいで?」
「正臣、こっち。」
「正臣君、帝人君とばっかり狡いよ。」
「正臣、臨也さんの言うことなんて聞かなくていいから。」
「正臣君」
「正臣」

帝人に抱きしめられ臨也さんに腰を引かれる。正面は帝人、背後は臨也さん。サンドされる形に抱きしめられ、

「だぁあー!暑苦しい!」

俺はその暑苦しさから叫びを上げた。つか何でこうなっているんだよ。別にくっつかなくても良くね?確かに普段よりは肌寒いけど寄り添う程でもねぇし。
二人を振りほどき離れると二人から(特に臨也さんから)ブーイングが巻き起こる。

「えーいいでしょ、正臣君。密室に二人っきり。救助が来るまですることないんだしエッチ」
「臨也さん、それ以上言うと刺しますよ?だから正臣、こっちおいで?一人だとこの変態也さんにナニされるかわからないから。」
「二人っきりじゃねーし!確かに帝人の言う通りだが帝人すら危ないんだよ!自分の身は自分で守る!」

臨也さんは勿論、帝人、お前もどさくさに紛れて俺の尻撫でて来たよな?二人の俺に対する気持ちを知っているからソウイウコトをしたいんだってのは分かってるけど…どっちかに決めれない俺も悪いとは分かっているけど…だからってここでおっぱじめようとするのはおかしいだろ?!


現在俺達は臨也さんの住むマンションのエレベーターに閉じ込められている。臨也さんに呼び出され帝人も一緒に来たいということで連れてきて臨也さんの部屋に向かおうとしたら臨也さんが迎えに来てくれていた。帝人を見て臨也さんが嫌な顔をしたが放っておいて三人でエレベーターに乗ること数分、いきなりエレベーターが停止し照明も落ちた。所謂エレベーターの故障で閉じ込められてしまったということだ。

「…何処の漫画だよ。」
「何が?」
「平然と寄って来ないで下さい!」
「正臣、大丈夫?」
「…帝人ぉ」

ポツリ呟いていると臨也さんがさも当然に自然を装い近付いてきた。帝人の言う通り一人で居ると危険かもしれない。仕方がなく帝人に抱き着き身の安全を確保することにする。
それにやはり少し肌寒い。身震いしているとふと視界の端が動く。何だろうと反射的に視線を動かすと目の前にはジャケットを広げ「さぁ飛び込んでおいで」という表情で待ち構えている臨也さんと目が合った。何事もなく視線を逸らして無視を決め込みながら暖を求めて帝人に寄り添った。

「…正臣、誘っ」
「変な気起こしたら親友の縁切るからな。」
「冗談。早く動くか救助が来るといいね。」
「ねぇ、正臣君。流石に無視は辛いな。」
「一応セキュリティ会社には電話したし1時間もすれば来るだろ。」
「無視?!」

いつ動くだろうなと帝人と話していると臨也さんが何か言っている。煩ぇ、構って欲しいのかよ。いつもぼっちでも平気なくせに。
無視を続けて帝人と話しているとついには隅っこで体育座りをしている23歳に気付き肩を竦めた。

「何もしないっつーならこっち来ませんか?」

さすがにうざ…痛々しくなって来たので声を掛けると立ち上がる。来るのかと様子を見ていると目の前が暗くなる。いや、元から照明が落ちて暗くなっていたが闇に慣れた目が更に黒くなったのだ。
よく見ると頭から何か被せられたみたいで目の前には臨也さんの足元。上を向くとさっきまで臨也さんが来ていたジャケットが見当たらない。それと同時に頭から被せられているのが臨也さんのジャケットなんだと気付く。

「アハハ、ありがとう。でも君のボディーガードが牙を向いているからそれ貸してあげる。」
「…あ…り、がとう…ござい、ます。」

それだと臨也さんも寒くないだろうか。珍しく俺は臨也さんの心配をしていると漏れる明かり。
臨也さんが振り向き、俺と帝人も視線をエレベーターの扉にやるとそこから漏れていた。開いたのだと気付くには少し時間が掛かり、俺は暫く臨也さんのジャケットを握り締めていた。

案外優しいところもあるんだよな、この人。





【四面楚歌とはこのことか】






その後は普通に場所を臨也さんの部屋に移して臨也さんvs帝人の俺争奪が勃発されていたけど気にしない。

「何、またやっているの?」
「あ、波江さん。そうなんすよ。収まるまで一緒にご飯でもどうっすか?」
「あら、いいわね。」
「「?!」」







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お友達記念ーということで当時はこんなにも遅くなるとは思わなかったリクエスト品、白雪様に捧げます。
密室で帝正、臨正を絡め絡めなお話。なぜギャグ。
密室に帝人と臨也と正臣なら普通エロだろ?当初は臨也の隠し部屋に連れ込まれた正臣を帝人が…。の予定だったはずなのに…おかしいなぁ。






あきゅろす。
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