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小さな狐の冬事情(静正)



冬も深まり森や街は白一色、雪景色となっていた。寒くもなり静雄も仕事以外では中々外にも出掛けず家に引きこもっていたのだが毎日の様に遊びに来ていた子狐の姿が最近めっきり見なくなっていたことが気になり防寒対策をして森へと出掛けた。

「正臣…?」

森は街よりも雪景色は深く、シンッと静まり返っている。人はおろか動物の気配すら感じられず地面に積もる雪にも足跡といった汚れも見当たらない。まさしく白銀の世界。
吐き出す息が直ぐさま白く染まり寒さを感じさせながら静雄は子狐の名前を呼んだ。普段ならその一言で大方は姿を現すのだが今日は動く影すらない。
森の奥まで遊んでいるのかそれとも狐も冬眠するのかと考えながら足を少し森の奥まで進めた。

「正臣?正臣…?」

蜂蜜色を探しながら声を掛けて歩くが返ってくるものはない。前回あったのはいつだっただろうか。正臣に冬眠のことを聞いてもするとは言ってはいなかったはずだと思い出しもう少し探して見ることにする。
暫く森の中を当てもなく歩き回っていると木々の合間に色が落ちているのに気が付いた。真っ白の地面にポツンと存在する金色。それが見慣れた色だと認識すると静雄は駆け寄った。

「正臣!」

雪の上に俯せで倒れている小さな命。静雄は嫌な予感しかせずにもっと早く探しに来ていればと後悔が浮かぶ。
静雄が正臣を抱き上げようとした瞬間。金色の尻尾が動いた。

「ぷはっ!あ、静雄さん。」

起き上がる子狐は傍に居た人間の姿に気付くと笑顔を見せる。いつもと変わらない元気いっぱいの笑顔。顔に雪を乗せて静雄に会えて嬉しいのかふわふわの尻尾を揺らしている。
一方静雄は最悪正臣が、と考えてしまっていた為何の変わりのない正臣に呆然としてしまう。抱き抱えようとした形のまま停止。
無反応な静雄に正臣は小首を傾げた。

「静雄さん?」
「まさ…おみ?」
「はい?」
「最近姿見なかったがどうしたんだ?」
「えっと最近寒かったから巣穴に引きこもっていたんですけど今日外見たら雪が積もってて遊んでまし、うわっ!」

静雄の質問にんーっと、とここ何日かの行動を振り返る正臣。静雄の家に遊びに行こうかと考えながらも冷え込む気温に動きたくない、体力温存という本能が勝り巣穴に引きこもっていた。しかしそれが何日も続き流石に静雄が心配するだろうと顔を見せるだけでもと巣穴から顔を出すと変わる景色。白銀の世界にその考えを忘れ遊びまくっていたという。本当は帝人も誘いたかったのだが生憎冬眠中だと正臣は苦笑していると静雄に抱きしめられる。静雄は正臣に何かあったのではないか、悪い予想が的中したのではないかと心配していたのだ。雪の中遊んでいた正臣の身体はかなり冷えてそこに居る正臣が幻なのではないかと思わせる。正臣はそんな静雄の様子に尻尾を揺らめかせ何かを思い付いた様に静雄にキスをした。

「野生動物は簡単には死にませんよ?」
「………」
「え、あ、静雄、さん?!」
「よし決めた。家に来い。」
「え、静雄さん?!」

にっこり笑う正臣に静雄も小さく笑いかえせばその小さな身体を抱き抱えて一緒に暮らす事を決めた。静雄の行動が理解出来ない正臣は頭にはてなを浮かべながらも嬉しそうに尻尾を揺らした。







【小さな狐の冬事情】








「正臣、そのままじゃ寒いだろ?」
「嫌です!」

多少厚着だと言えど雪の降る日には寒いだろうという服装に静雄は街で子供用の帽子や手袋、上着などを買い正臣に着せようとするのだがその肌触りが嫌なのか逃げ惑う。

「そのままだと風邪…ッ!」
「ふにゃっ!」

正臣はそれらを着るぐらいならと静雄の懐に飛び込んだのだが、冷気の塊となりつつある正臣の身体が静雄の素肌に触れると静雄はビクッと身体を跳ねさせ正臣はそれに驚いて声を上げた。懐から顔を覗かせる正臣に静雄は溜息を付き、

「潰れても知らねぇからな。」
「♪」

頭を撫でてやった。











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マイブーム、子狐シリーズw
11/5の茶会でなーちゃんと話していたものになります。心配性な静雄、親馬鹿な静雄、正臣馬鹿な静雄とかうまうま^p^





あきゅろす。
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