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小さな狐との恋事情(静正)


※子狐正臣と静雄のお話。



足元で背伸びをする小さな生き物。俺の身長の何分の1だ?って程小さな小さな命は何やら一生懸命に俺によじ登ろうとしている。
登り損ねて怪我をしたらいけないと思いつつ必死な姿が可愛くてついつい意地悪したくなる。しかしやはり可哀相なので腰を折り屈んで正臣を見つめた。

「どうしたんだ?」
「あ、静雄さん、静雄さん、ちゅーしましょ?」

屈んでも幾分小さな体は目線が合わない。仕方がなく抱き抱えて正臣に何を伝えたかったのかと尋ねれば返ってきた答えに一瞬固まる。小首を傾げ、尻尾を揺らし早く早くと急かす姿はすげぇ可愛くてすぐにOK出しそうになる思いを無理矢理押し込めた。正臣はきっと意味が分かってないんだ、だから早まるな俺!
自分を自制していると正臣の顔が近づいてくるのに気付くとペイッと襟首を掴んで引き離した。すると不満そうに頬を膨らませ尻尾を揺らしている。そんな姿すら可愛いと思いながら詳細を聞くことにした。

「待て、正臣。いきなりどうしたんだ?」
「臨也さんが好きなもの同士はちゅーするんだって言っていたんです。だから俺静雄さんが好きだから…」

話しながらしゅんとしてしまう正臣を抱きしめ柔らかな髪を撫でてやる。不安そうに見つめてくる正臣に微笑んでやり、手で前髪を掻き分けて覗く額にキスを贈る。

「俺も好きだ。だがこの先はもう少し後でな。正臣が大きくなってからだ。」
「静雄さんも好き?ずっと?」
「あぁ、好きだ、ずっとずっと…正臣が大きくなってもずっと好きだ。」

上目遣いで見つめてくる正臣にもっと触れたくなりキスしたくなる。だが、多分それだけでは済まなくもなるだろうと思いぐっと我慢した。まだこの小さな体には酷だし…きっとこいつはまだ『好き』の意味を履き間違えている。
だからもう少し正臣が大きくなったら…『好き』の意味をちゃんと理解したら沢山好きだと伝えよう。愛していると伝えよう。
それまでずっと傍に居て、守ってやる。


【小さな狐との恋事情】




「ところで正臣、臨也はどこ行ったか知ってるか?」
「はい、街にいくって」
「そうか、ならちょっと用事思い出したから行ってくるな。いい子にしてるんだぞ?」
「はい、行ってらっしゃい!」

とりあえず一番始めにすることは正臣に悪影響を及ぼすノミ蟲の駆除だな。










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茶会中に静雄と子狐正臣のイラストを描いていたならなーちゃんにリクエストされたからシチュ聞いて書いてみた。





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