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謎 溶き(臨正)

※ボカロ楽曲、『ナゾトキ』、『ナゾカケ』の自己解釈+アレンジ有りのパロディです。



「一つ目のナゾは何故彼が毒入りのワインを飲まなければいけなかったのか。」

『探偵』が語り出す。この事件の全貌を、結末を。流暢な口ぶりで、まるで見ていたかの様に。この場に居合わせた『容疑者』全員を一カ所に集め、彼等に語り聞かせる。

ゆっくりと集めた『容疑者』の前を歩きながら『探偵』は一人の『少年容疑者』の前で足を止めた。

「理由は簡単。『彼』はあの時死ぬべき運命と決まっていたのだから。」

『蜂蜜色の容疑者』に『探偵』は顔を近付けながら笑いかける。爽やかな柔らかくも裏に意味を隠し持ったような笑顔で。

「さぁ、『犯人』は誰?『君』は答えを知っているだろう。だって『君』の目の前で全て起こったのだから。」

『探偵』の言葉に周りはざわめき、『少年』は一瞬表情を歪めた。しかし『探偵』は笑みを深めただけで何も追求しない。

『探偵』は語る。事件の行く末を、あるべき方向へ導き始める。

再び歩き始めた『探偵』は『容疑者』全員を撫でる様に見つめた後、再び『少年』の前で足を止めた。

「さぁ、『犯人』は誰?『君』が答えを言わずとも『俺』が教えてあげよう、この事件の終わりをね。」

『探偵』は尚も語る。『少年』の顔色が険しくなって行く様を楽しげに見つめながら。

『少年』は睨む様に『探偵』を見つめ、こっそり隠し持っていたナイフの感触をポケット越しに確かめた。彼の持つ最後の手段。出来れば使いたく無かったと考えながら、何も気付かない『探偵』のスキを伺い続けた。

「二つ目のナゾは何故『犯人』は大勢の目の前で殺しを行ったのか。」

流暢に推理を披露する『探偵』は一度『容疑者』達に背を向けた。油断とも思えるその瞬間に、『少年』はポケットに仕込んだナイフを取り出し切り掛かる。『犯人』としか思えない『少年』の行動に他の『容疑者』が悲鳴を上げる中、『探偵』は『少年』の手から事もなげに叩き落とす、彼の最後の手段を。

「さて、話を続けようか。」

そして何事も無かったかのように『探偵』は話し続けている。

「さぁ、『犯人』は誰?ほら、『君』のすぐ目の前に居る。その名前を言ってご覧!」

いとも簡単に最後の手段を奪われ、睨む事しか許されない『少年』は『探偵』の言葉に今度は驚きを見せた。どうしてそんなわざとらしい真似をするのか。どうして自分が『犯人』だと名指し捕まえないのか。『少年』は『探偵』の意図が解らない。

「『君』はまだ『犯人』が解らないのかな。ならば事件を整理してみよう。」

呆然とする『少年』に『探偵』はニッコリと笑いかけた。自白を自首を促しているのか、『少年』は唇を噛み締めた。あんな死んで当然の奴の為に名乗り出るものか。

『少年』の心に気付かないまま『探偵』は話し始める。この事件の内容を。

「『被害者』はこの場に居る全員の目の前で殺された。死因は『毒殺』。毒物は彼の飲んでいたワインに仕込まれていた。そして、そのワインは直前までこの『少年』が持っていた。彼が被害者に手渡したのだからね。」

当時を思い出し懐かしむ様に『探偵』は詰まることなく話し続けた。ソコにある疑問に誰も気付かないまま。『探偵』に襲い掛かった『少年』すらも何の疑問に思わず『探偵』の話に聴き入っている。

「毒入りワインを飲んだ直後に死んだ。さぁ、簡単な公式だろう?」

『探偵』はニッコリと笑みを浮かべながら『少年』の顎を掬うように上向かせ、目を合わせた。
『探偵』の赤と錯覚してしまいそうな焦げ茶の瞳に『少年』は魅入られる。

「三つ目のナゾは何故『警察』も到着していないこの孤島の様な屋敷で死因が断定されたのか。」

『少年』から離れると『探偵』は『容疑者』達に見えるように指を三本立てた。ニヤリと先程まで爽やかさと柔らかさも持ち合わせていた『探偵』の笑みがこの場に居合わせる全員を嘲笑う笑みに変わる。
『探偵』の言いたい意味をいち早く理解した『少年』は目を見開いた。その様子に気付くと『探偵』は『少年』に再度問い掛ける。

「さぁ、『犯人』は誰?答えは一つとは限らない。だけどそれを確認する術はもうじき消えて無くなってしまう。
さぁ、『犯人』は誰?『君』はもう答えを知っているね。だって『君』の目の前で全て起こったのだから。
さぁ、『犯人』は誰?ほら『君』のすぐ目の前にいる。その名前を言ってご覧。
この『俺』の名前を!」




【謎 溶き】







「臨也さん、どうしてですか?」

『探偵』はその場にいた『容疑者』達に捉えられ、警察が訪れるまでとある一室に隔離された。『少年』はその部屋をこっそり訪れたのだ。

本当の事件の『真相』を知るために。

「何がかな?」


『探偵』のたった一つだけ狂った計画。
それはその場に居合わせた『紀田正臣と言う犯人役の一人の少年』の存在。









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歌人形、リンレンの『ナゾトキ』、『ナゾカケ』からの妄想と自己解釈したら臨正で書いてみたくなった探偵パロ。
自己解釈としては真犯人リンちゃんを探偵役レンくんが庇ってレンが犯人という形になったのかなと思ったのだが…多分違う、てか真相がかなり解ら無くなった。
まぁそこから犯人正臣を臨也が庇ったら萌えるなと思いこの話が出来たんだけど実はまだまだ裏があります。きっとそれは【謎 賭け】で明らかになるんじゃないかな。ちなみに漢字はミスじゃなく仕様。







あきゅろす。
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