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注ぐ愛は溢れる程(静帝)




数日前、仕事の休憩中に学校帰りだと言う竜ヶ峰に出会った。学校帰りなのだからもちろん竜ヶ峰は制服で、俺の後輩に当たるのだから昔俺が着ていた青い制服に、もう少し歳が近かったら同じ様に学校に通えたのにな、などと思いながら帝人の話を聞いていた。休憩時間もそろそろ終わりになろうとする頃、竜ヶ峰に一言掛けると今週末の予定を聞かれ丁度休みになっていることを伝えながら冗談混じりに『デートでもするか?』などと言うと可愛らしく顔を真っ赤にして俯いてしまった。
…今が仕事中じゃなきゃ家に誘ってたぞ。
飛びそうになる理性を何とか繋ぎ止めながら竜ヶ峰が言おうとしていた事を促す。

「えっと…買い物に付き合って欲しくて…一人でも別にいいんですけど…折角の休みなら静雄さ、んも…って…」

直前に言った言葉も影響しているのかもじもじ身をよじり、たどたどしく言葉を紡ぐ姿が愛おしく可愛らしく、思わずこちらも気恥ずかしくなる。熱が集中する顔を押さえ、飛びそうになる理性を繋ぎ止める様に座り込むと頭上から竜ヶ峰の慌てた声が聞こえた。
どうやら俺がいきなり座り込んだから機嫌を損ねたとでも思ったのだろう、ごめんなさいと何度も謝罪を言っている。違うと手を振り、見上げると潤んだ瞳と目が合い再び顔を下げた。
…なんつー破壊力。
同年代のガキよりは子供っぽい顔立ちに大きな瞳が潤んで、更には垂れ下がったうさ耳まで見えそうなぐらいしょんぼりしている姿に今まで以上にこのまま家に連れ帰りたいという衝動を覚えながら、困惑する竜ヶ峰に大丈夫だと言葉を返し、土曜日に一緒に買い物をする約束をしてから何とか無事に仕事に戻る事が出来た。
土曜日…大丈夫だろうか。
しかし一つの不安を残しながら。





そして問題の日ともなるかもしれない土曜が訪れる。
オフだと言うこともあり俺はいつものバーテン服ではなくYシャツにジーパン。その姿が珍しいのか合流した竜ヶ峰が物珍しいようにちらちらとこちらを気にしている。
…可愛い。
どこの小動物だと思いながら頭を撫でてやると嬉しそうに笑っている。

「えーっと、で、何買うんだ?」
「あ、服を…正臣に『いつもジャージってモテねぇぞ』って言われちゃって…。モテるモテないは気にしてないのですが確かにジャージばっかりはどうかなって思って。」

ジャージでも似合うぞ、と言いかけた言葉を飲み込む。どんな姿でも竜ヶ峰は似合うと思うが他の服装も見てみたいと思ったからだ。
適当な会話をしながら俺達は服屋を巡った。


しかし…時折竜ヶ峰の趣味がわからねぇ。俺に似合いそうだと見せてくれた竜のイラストがプリントされたシャツだったり、似合うかどうか聞いてきた変な文字が書かれたシャツだったり…。とりあえず無難な物を勧めながら今度、紀田とか言う友人と買い物をするように勧めておいた。
俺より色んな店を知っているだろうからな。

それから余った時間は飯食ったり適当な店に入ったりして潰す事にした。
小物品が見たいと竜ヶ峰と入った雑貨屋。そういう店に入るのはあまりなく、竜ヶ峰の後ろをついて歩きながら店内を見渡していると服の裾を引っ張られた気がして視線を落とした。視線の先に居たのは少し躊躇ったようにもじもじしている竜ヶ峰。行動に理解出来なくて首を傾げていると目の前に突き出されたモノ。

「静雄さん、僕の愛を受け取って下さい!」

竜ヶ峰にしては大きな声で言われた言葉と反射的に受け取ったモノ。それはハートの形をしたクッションで。
竜ヶ峰の行動が可愛く、不意をつかれて思わずその小さな身体を抱きしめた。

「竜ヶ峰ごと貰ってやるよ。大切にする。」







【注ぐ愛は溢れる程】







決めた、今日は帰さない。

そんなことを考えていると聞き覚えのある声が聞こえた。それは不快を通り越して耳にもしたくない声。

「うわっシズちゃんなんかのラブシーン見ちゃったよ…。正臣君さっさと帰ろ?馬鹿が移っちゃう。」
「…いぃざぁあやぁぁあ!!」

視線を向ければやっぱり居たのはノミ蟲。俺は逃げる臨也を追い掛け、店を飛び出した。










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放置期間が長くて話の繋がりが若干可笑しいが無視←
『殺伐とした世界の光』のリョウ様に贈ります相互小説、長らくお待ちしましたー!しかも遊び行った時に変更してもらって…ごめん&ありがとう!
時間があれば帝人視点も書きたいな。

にいさまのみ苦情、書き直し、お持ち帰りOK!

これからもよろしくお願いします!







あきゅろす。
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