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ダラーズを統べる者(帝+黄巾賊)






襟首を掴まれ無理矢理床へと叩き付けるように抑え込まれた。後ろ手に手を掴まれて身動きすら満足にとれない。ジロリと睨みつけるようにこの連中のリーダー格であろう年上の男を見る。

「私に何の様ですか?」

分かりきっていること、自分でも間抜けな質問だと思いながら問い掛けるとブヒャヒャヒャと変な笑い方をされ、顎を持ち上げられた。

「手前、ダラーズだろ?しかも創始者。となりゃ決まってんだろ。」

あぁ、やっぱり。危機的な状況にも関わらず何故か頭は冷静だった。理由は絶対的な自信。
黄巾賊とダラーズが先日の斬り裂き魔事件以降険悪な仲なのは一目瞭然。そんな中、街で黄色い服装、装飾物に彩られた人物に声を掛けられれば自ずと答えは一つしかない。加え黄巾賊によるダラーズ狩りも盛んに行われていたんだ。何の策も無しについて行くのは無防備に近い。
だから僕は開いていた携帯から電話帳を呼び出すと一つの番号へと掛け、ポケットにしまい放置した。時間は掛かるだろうが電話相手が異変に気付き場所を特定して助けに来てくれると信じて。

「違います…と言っても信じてもらえないんでしょうね。貴方達は僕が誰かを知って声を掛けてきた。」
「あぁ、あるツテからの情報でな。ほら、携帯出しな。」

街で声を掛けてきた時、確かに僕の事を名指しで呼んだ。僕は知らない人物なのに。そして名前の前に付けられた敬称。

『手前、ダラーズの創始者、竜ヶ峰帝人だろう?』

僕がダラーズだと知っているのは一部ではあるが数人知っている。そしてその中で創始者だと知っているのはあの時…半年前のあの瞬間に居た、協力を願った二人だけ。片方はそう簡単に言うとは思えないし、そもそもダラーズの広告塔のような存在からの情報を黄巾賊が信じる筈がない。消去法で考えれば一人しか居ないのだが、あの人は売らないでおくと約束している。信頼出来る人物でもないが疑いきることも出来ない。
ならば誰から?そんなことを考えていると頭を思いっ切り踏み付けられた。無言、しかも無視していた事が男を逆撫でしたのかもしれない。

「おら!言わねぇってんならこっちも考えがあんぞ?!」

暴力で吐かせる?
恐怖心がないわけではないが殴られたりして易々と携帯を渡す自分が想像出来ず嘲笑う様に目の前の男を見ていると押さえ込む力が弱まった。
決して解放された訳ではなく、そのまま床に座る状態でまた拘束された。男に顎を掴まれ嫌な笑みが浮かんだ。

「野郎の癖に可愛い顔してるよな?」
「――っ!」

その言葉にまさかと思いながら最悪な答えしか導き出せず、僕は目を見開いた。
まさか、まさか…僕は男だ。そんな筈はない。
浮かぶ考えを否定し続け振りほどけないかと暴れてみるが僕の力ではどうしようもない。
視界の端には携帯を構えている男。

「お互いに楽しい時間にしようぜ?たっぷり時間はあるんだからよ。それとも…ダラーズを渡す気にでもなったか?」

目の前の男は本気だ。
それを回避する方法はただ一つだけ。

ダラーズを渡せばいい。

だけど、ダラーズは僕のものだ。他の3人が逃げても投げ出さなかった。何よりダラーズは僕が欲しいものを与えてくれる。手放してたまるか。

「貴方如きが私を楽しませてくれる?出来るんですか?」
「…っ!」

男の顔が見る見る怒りに歪んでいく。
服を掴まれ僕は目を閉じた。







【ダラーズを統べる者】







…ごめん、正臣。

浮かんだのは友人の…恋人の笑顔と泣き顔だった。









‐‐‐‐‐‐
誰得☆俺得☆
ゲームで黄巾賊に襲われてる帝人に遭遇しました。襲われてました、帝人が。
そこから妄想が爆発☆(なぜダラーズ×正臣にしなかったw)
まさかのモブ帝。詳しく言うなら法螺田×帝人。
そして続きます。帝人様は正臣よりダラーズを取っちゃいました…。





あきゅろす。
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