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背中合わせの待ちぼうけ(帝正)

※ある意味Gファン10月号の漫画デュラララ!!のネタバレ有






「正臣…遅いな…。」

ぽつり、青く透き渡る空を見上げて溜息混じりに呟いた。
今日は映画でも見に行こうと話していたのにその案を持ち出した本人が待ち合わせ時間の10分を過ぎても姿を現さない。
公園のどこにいても大抵は見渡せる大時計の掛かる柱に背を預けて僕は携帯を取り出した。
携帯を開いて見ても電話は疎かメールの着信もない。
映画の時間こそはまだ決めていないもののあまり遅くなるのも嫌だ。
メールか電話をしてみようかと考えながら、誰か人影を感じ南側に設けられている公園の出入口を見た。

「…違うか。」

正臣が来たのかと思ったのに通りかかったのは同じ年ぐらいの知らない人物。ただ公園に入ってきただけでそのまま僕の横を通り過ぎる。

「…またナンパでもしてるのかな。」

はぁと今日でもう何度目になるか分からない溜息を吐き出しつつ、携帯の電話帳から正臣の携帯の番号を選択して電話を掛けた。
しかし返ってきたのは電話中と言う電子音。
耳から携帯を離して待受画面に戻った画面の中の恋人を睨み、呟いた。

「来たら何か奢ってもらおう。」




♂♀





「珍しく帝人の奴…遅刻か?」

ぼーっと公園のある程度は見渡せる時計台の近くに突っ立って北側の出入口を見つめながら今日、デートしようと映画に誘った恋人を待っているが一向に姿を現さない。時間を間違えたかと携帯を取り出し現在時刻と昨日のメールのやり取りで出た待ち合わせ時間とを確認するが間違ってはいない。時間には結構律儀なあいつが何も連絡なしに遅刻している事に首を傾げながら背後からの気配に横を向いた。

「…なんだ、紛らわしい。」

紛らわしいも何もただ俺がはやとちりしただけなのだが、横を通り過ぎた同い年だろう男子を見送りつつ肩を竦める。
手の中で携帯を弄りつつ帝人が時間に遅れる場合の理由を想定し、小さく笑った。

「こっちに来てもう半年以上なるが迷子か?」

やれやれと今どうしているのか確認するべく携帯の短縮ボタンに登録した帝人の携帯番号を引き出すと電話を掛けてみることにする。
しかし耳に届くのは通話中を示す電子音。
向こうもこちらに掛けているのかとある意味タイミングが良いことを考えながら暫く待つことにした。
待受画面で肩を抱き寄せ笑う自分達の写真を見つめて、小さく呟いた。

「厄介な事に巻き込まれてなきゃいいんだけどな。」



【背中合わせの待ちぼうけ】






それから5分程してから正臣は巡る自分の中に浮かんできた不安を打ち消す為に再び帝人へと電話を掛けた。

「ん?」

すると耳に届く聞き覚えのある端的な着信音に同じような電子音を使う人間を思い出し音を追い振り向き柱の影から顔を覗かせた。
反対側に見える緑色の服と黒髪。

「『もしもし、正臣?今どこ?』」

電話口とその人物から同じ声、言葉が聞こえ、正臣は小さく自嘲した。

「もしもし、『私メリーちゃん。今貴方の後ろに居るの。』」

まさか背中合わせにお互いを待っていたとは誰が思う。
有名な怪談の台詞を言うと振り向き驚く帝人に肩を竦めて笑う。

「よう、どうやらお互いに背中合わせで待ちぼうけしてたみたいだ。」






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今月号(9/18発売)のGファンのデュラララ!!のあらすじ漫画に頭がパーッンした。
だってこれどこだろ…どっかの柱を間に背中合わせにお互いを待ってるんだもん。
「紀田くん遅いな。どこかでナンパしてるのかな。」
「おっそいな帝人。どっかで迷ってんのか?」
って君達後ろ!後ろ!後ろ見てみて!ってマジ可愛いの。
本編は本編で覚醒帝人様に頭パーッンだし。
てかこれ帝正?正帝?
まぁどっちでもいいか。




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