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貴方に包まれて(静正+帝)




「あれ、正臣…煙草でも吸ってるの?ダメだよ、まだ僕ら未成年なんだから。」
「…は?いや、待て待て。まだこの俺でもスモーキングデビューは果たしてないぞ?」

暇だと外に出掛けたら帝人とあった。お互いに暇してるらしく遊びに行くかと言うことになり今度は何処に遊びに行くかと言うことになる。お互いに金欠らしく仕方がなく公園で適当に喋っているといきなり帝人が俺の服の匂いを嗅いでくる。
帝人の言葉になんで俺から煙草の匂いがするのかと袖をクンクンと嗅ぐと言う通り微かだが煙草の匂い。
あれ、これ何処かで嗅いだことあるぞ。

「なら何で…?正臣、今一人暮らしだからお父さんが吸ってるからっていうのでもないでしょ?」

確かに家に居るときはたまに親父が吸っていたこともあるけどヘビースモーカーでもないし、喫煙者ならではの肩身の狭い思いして家の外で吸っていたから一緒に暮らしていてもそれはないだろう。
何でだろう、と思案顔を作る帝人を他所に俺は一つだけ可能性を知っている。
帝人と会うちょっと前のことだ。

『よう、紀田。』
『あ、静雄さん。お仕事中ですか?』
『あぁ、トムさん待ちだ。』

帝人と会う前に街をぶらついていた時に出会った恋人。煙草こそ吸ってはいなかったが微かに鼻孔につく煙草の香り先ほどまで吸っていたのかなと考え、あまり吸い過ぎは体に良くないから控えて欲しいなと思っているといきなり抱き着かれた。

『…えーっと静雄、さん?』
『紀田補充中。最近中々時間合わねぇだろ。』

まるで腕の中に閉じ込められる様に抱きしめられ身動きさえ取れない。確かに最近静雄さんが仕事か俺が学校かで中々ゆっくり会えない。だからって人通りの多いこんな場所で抱き着かなくたっていいんじゃないか。嬉しいけど恥ずかしい。
だけど俺も久しぶりの静雄さんに会えたこともあり大人しく抱き着いていると田中さんが戻ってきて静雄さんと別れた。その直後に帝人と出会ったのだ。


思い出しながら帝人を見ると本当に煙草吸ってないの?と未だに帝人の視線が言っているのを見て思わず笑ってしまう。

「よし、ヒントだ!」
「は、何いきなり、」
「この煙草の香りは移り香です。」
「いや、もう答え言ってるよね?!」
「さて、誰からのでしょう?」
「ヒントじゃなく問題?!」




【貴方に包まれて】




それからひとしきり帝人をからかった後、家に帰り風呂を済ませるとベッドに寝そべった。今日来ていた服を握り締め、まだ微かに香る煙草の匂いに小さく笑みを零した。

「…静雄さんの匂い」





‐‐‐‐‐
リハビリで書いていた小話のはずが小説テイストになったのでもう小説でいいかとこうなった。
ありきたりネター。某様と帝人の香水の話してて「もう帝人は煙草の匂いでよくね?(静ちゃんの移り香的な)」って話してて、あー静正の小話に使うかーで、こうなった。やる気が迷子。







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