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大人が馬鹿になるととんでもない馬鹿!(臨→正←静)

※正臣&帝人=ショタ(5歳くらい?)
 臨也&静雄=近所のお兄ちゃん(23歳)
 もろくそ捏造+俺設定。





「しずにぃ、いざにぃ、早く早く!」

とあるデパート。その出入口に元気よく書けていく小さな陰。
白いパーカーに黒の短パン。生まれ付きなのか茶色掛かった髪を揺らしながら自分の後ろからついて来る大きな陰に振り返り急かしている。

「正臣、あんま走ると転ぶぞ。」
「いやあ、子供は元気だね。シズちゃん。」
「なんで俺を見て言うんだぁ、臨也くんよぉ?」

正臣の視線の先にはまるで一触即発な雰囲気の臨也と静雄がいた。今にも喧嘩に発展しそうな雰囲気だった、目先の正臣がコケたことでその雰囲気は一掃された。

「ぅ…」
「正臣!」
「正臣君!」

道の真ん中にへたり込み涙を浮かべ始めた正臣に、二人は喧嘩所ではない。慌てて近付き、屈むと静雄は正臣を立たせてやり怪我がないか確かめ、臨也は服に付いた埃を払うと宥める様に頭を撫でる。
それで泣き止む、かと思ったら正臣はベーと舌を出して笑う。

「いざにぃもしずにぃも喧嘩はダメですよ!仲良しが一番です!」

人差し指を立ててまるで子供に叱るように正臣はめっと叱る姿に本気で心配していた二人は呆然。つまりは先程のは演技と言うことだ。
ころっと元気になった正臣は早くと再び急かしながらデパート内に入っていった。それを数秒遅れで我に返った二人は小さな陰を追うのだった。


そしておもちゃコーナー。今日の買い物の目的である。普段、正臣の親は家を空ける事が多く、大人しく留守番をしている彼の為に二人はご褒美を買いに行きたのだ。時間が出来れば臨也も静雄も遊んでやるのだがやはり仕事をしている以上頻繁とはいかない。しかし正臣はそれに何も不満を言うことなく留守番をしている姿に静雄も臨也も少しでも淋しくないようにという配慮なのだ。
おもちゃコーナーに入るなり正臣は何から見るか迷う様に辺りをキョロキョロ見渡した後臨也と静雄を見た。

「好きなものを買ってあげるよ。ほら、選んでおいで。」
「ガキが遠慮するんじゃねぇぞ。」
「……ありがとうございます!」

一度キョトンとしてから正臣は満面の笑顔を浮かべるととてとてと走り出した。
どれにしようか迷っているらしく色々なおもちゃを手に取れば棚に戻し、おもちゃコーナーからゲームコーナーに行けば同じ事を繰り返し、選んでいることすらも楽しんでいるようだった。
笑顔でおもちゃ選びをしている正臣を見ながら臨也と静雄は少しだけ眉を潜めた。

「本当…正臣君っていい子だよね。」
「だな…我が儘言っていい歳だっつーのに。」

正臣が先程から選んでいるのはどれも一人で遊べるものばかりだった。つまり、誰かと一緒に遊ぶおもちゃやゲームは避けていると言うことだ。
それは忙しい両親、一緒に遊べる事などないに等しく2人以上のおもちゃやゲームを買っても意味がないということで、始めから一緒に遊ぶという選択肢を希望を捨てていると言うことになる。
そのことに気付いた二人は肩を竦め、正臣に近付いた。

「正臣君。これなんてどう?」

臨也が差し出したのは二人以上でやるボードゲーム。
正臣はそれに気付くと躊躇う様な表情をして臨也を見つめた。

「一緒にシズちゃんを負かそうよ?シズちゃん頭弱いし楽勝だって。」
「あ…で、も…」
「正臣、これなんか一緒にやらねぇか?」

次に静雄が差し出したのはバドミントン。
臨也の時と同じ様に正臣は困惑した表情で静雄を見た。

「これで臨也の野郎をぶっつぶそうぜ。」
「ぁ……」

二人とも仕事で忙しいことを知っている正臣。一緒に遊ぼうなどと誘える筈もなく、答えれずに臨也と静雄を交互に見つめた。
何か言いたげで、何も言わない正臣に何を言いたいのか分かる二人はそれぞれ笑顔で正臣の頭を撫でた。

「ガキは我が儘言うのが仕事だ。だからもうちょっと甘えていいんだぜ?」
「そうそう。あ、でもシズちゃんとバドミントンなんかしたら相手にならないから遊ぶなら俺を呼んでね?電話一本で飛んで来ちゃうからさ。」
「な、手前だってガキ相手に本気なるだろ?!この前正臣に負けて本気で悔しがってたくせによ?」
「はぁ、シズちゃんは冗談抜きで馬鹿力だからか弱い正臣君が相手したら正臣君が死んじゃうじゃん。だからシズちゃんは仲間ハズレー。」

あーだ、こーだと言い争い始める保護者で大人である子供みたいな臨也と静雄を見て正臣はクスクスと笑い始める。一人で留守番出来るのも暇があればちょこちょこ自分の様子を見に来てくれるこの二人の存在があるからこそ。正臣は二人にぎゅっと抱き着く様に飛び付いた。

「ならいざにぃとしずにぃが選んでくれたおもちゃも買います!だからちゃんと遊んで下さいね?」
「おう。」
「当たり前でしょ。」


♂♀


そしておもちゃ選びも終え、フードコートで何か食べるかと言うことになるのだが臨也が正臣に何が食べたいかを尋ねるために視線を落とした時だった。
先程まで一緒にいた筈の小さな陰が何処にも見当たらないのだ。

「まさ…おみ、く、ん?」
「いねぇ…だと?」

臨也の珍しく動揺する声に遅れて正臣が居ない事に気付く静雄。慌てて辺りを見渡すが小さい陰は見えどどれも正臣ではない。視線が届く範囲に見渡すが正臣らしき姿は見えずに静雄は苦虫を噛み潰したような顔でその場に佇んだ。
するといきなりガシリと両肩を掴まれびっくりした顔で静雄は視線を落とすとうなだれた臨也が視界に入る。

「……ちゃん……しょう…」
「は…んだよ?」
「シズちゃん!どうしょう!きっと正臣君が可愛いから誘拐にでもあったんだ!正臣君はどこに出しても文句ないくらい、いい子でプリティーだからきっと変なオジサンに無理矢理連れていかれちゃったんだ!きっとそこでは口に出して言うには憚れるようなイケナイことをされてるに違いない!正臣君の貞操とか処女とか純潔とか色々危ないよ、シズちゃん!早く見付けないと正臣君がド汚いオヤジに汚されちゃう!」
「んだと?!本当か臨也?!くっそ…手分けして探すぞ!」
「待って、シズちゃん。こう闇雲に探したって見付かりっこないよ。」
「だったらどう」
「お互いの得意な面を最大に生かそうじゃないか。そして正臣君を連れ去った奴に地獄を見せてあげよう。」

明らかに混乱している臨也、そしてやはり心配から冷静な判断を失う静雄。かくしてプチ正臣捜索部隊がデパートの一角に設置された。



一方正臣はというと…。

「あ、帝人!帝人も来てたのか!」
「あ、正臣…。正臣も買い物?」
「おう!今からしずにぃといざにぃで飯なんだ!」
「でも…いざやさんもしずおさんも居ないよ?」
「なんだと?!…まぁいいか。帝人ー一緒ゲーセン行こうぜー。」

歩いている途中、幼なじみの帝人と出会い声を掛けていた。会話をしている内に正臣は臨也と静雄と逸れてしまったのだが本人は差ほど気にも止める様子なく、帝人をデパート内のゲーセンへと連れ出していた。




そして我を失った大人達はと言うと…

『臨也、まだかよ。』
「もう少しだからシズちゃんはとりあえずデパート内に正臣君が居ないか探しててよ。」
『ったく…早くしろよ。』
「言われなくても分かってるさ。」

臨也は休憩スペースの一角に普段持ち歩いているパソコンを取り出しこのデパートの警備システムへハッキング。
静雄は臨也の準備が整うまで近くに正臣らしき人物が居ないかを見渡し探していた。
そんな面倒な事をしなくても正臣に持たせてある携帯で連絡を取ったりデパート内の迷子アナウンスで正臣を呼び出せば良いのだが冷静さを失った大人には思い付かない。加え誘拐と決め付けてしまっているから尚更だ。
ハッキングが終えた臨也は携帯から繋がるイアホンマイクを引き寄せ静雄を呼び掛ける。

「シズちゃん?聞こえる?どうやら正臣君はまだこのデパート内にいるよ。」
『何処か分かるか?』
「これは…3階の紳士服コーナーだね。」
『分かった。』
「奴さんの姿は見えないけど…上手く写らないようにしているのか…」

画面に映し出されるデパート内の至るところに設置してある防犯カメラ。その映像をハッキングして自身のパソコンを映し出し正臣の姿と手掛かりを探す。ビンゴというように頬を釣り上げ居場所を静雄に告げた。移動して仕舞わないように画面を見張りつつ臨也は正臣の近くに他に誰も居ないかを確かめるが見当たらず苦々しい表情を浮かべたがそれも一瞬。獲物を追い詰める愉しさが出来たとでも言うように画像の分析などを並行して進め始めた。





「正臣…いざやさんとしずおさん、本当に良いの?」
「平気、平ー気。いざとなったら呼び出して貰うし。よし、買い物は済んだしゲーセンで遊ぶか!」
「あ、正臣、待ってよ。」

レジでプレゼント用にラッピングされた買った物を受け取ると正臣はさぁ、ゲーセンに急ぐぞ、というように帝人の腕を引っ張り走り出した。
普段から臨也と静雄の正臣への可愛がり方を見ている帝人は正臣が単独行動をしてから暫く経つのに何の音沙汰がないことが少し気になった。しかしそれを口にするには正臣が何処か強がっているような雰囲気が読み取れ阻まれた。
仕方がなく帝人は何も言わずに正臣に振り回されることを選んだのだった。






「あ、シズちゃん。正臣君が移動を始めた…あれ、これは…」
『あ、どうした?』
「いや、帝人君も一緒みたいなんだ。…奴さん、正臣君だけじゃ飽きたらず帝人君まで手を出したみたいだよ。」
『ほーぅ、で場所は?』
「待ってまだ移動してる…日用品コーナー…本屋…?いや、通り過ぎた。この先は…シズちゃん、ゲームセンターだよ。」
『ゲーセンだな、』
「あぁ、シズちゃん。…簡単に殺しちゃダメだからね。生きてる事が地獄だってこと思い知らせなきゃ…さ?」
『相変わらずえげつねぇな。』
「じゃ、正臣君の保護を第一に奴さんの確保は任せたよ。暫く逃げないようにパソコンから見張ってるからさ。」

正臣が移動したと時を同じくして臨也も気付き新たな情報を静雄に提供する。相変わらず見えない犯人に臨也は軽く苛立ちながらも正臣が無事な事にそれが静雄への八つ当たりになることはなかった。そもそも始めから犯人などいないのだが臨也は尚も画像解析や他の防犯カメラに映っていないかなどヤキになって探す。
静雄も臨也の言われた階に辿り着くとデパートの案内図を見てゲーセンへと急いだ。一分一秒でも早く正臣の無事な姿を確認する為に。


そしてゲーセン内。声が聞き取り難いほど騒がしく動いているゲーム機に苛立ちながら辺りを隈なく見渡し目当ての姿を探す。

「臨也、どの辺りだ?」

デパートのゲーセンだとは言えど中は広く相手も動いているならば無闇に探すより防犯カメラから店内を見ている筈の臨也に聞いた方が早いだろうと携帯で呼び掛けるが先程までウザいくらいに聞こえていた臨也の声が聞こえない。おかしいと耳に当てていた携帯を離しみてみれば充電切れの文字。軽く青筋を立て携帯を握り潰しかけたそのとき声が聞こえた。

「帝人!次はあれやろうぜ!」
「いいけど正臣お金あるの?」
「大丈夫、大丈夫。小遣いいっぱい持ってきたからさ。」

周りに掻き消されてしまいそうな小さな声を頼りに歩くとそこには元気よく帝人を連れ回す正臣の姿。安心したように静雄は駆け寄り正臣を抱きしめた。

「正臣!」
「し、しずにぃ?」
「しずおさん。」
「無事か?変なことされてねぇか?ったく知らねぇ奴にはついていくなって…」
「しずにぃ…何の話ですか?」
「…は、何って」
「正臣は僕と遊んでいただけですよ?」

ぎゅうっと小さな身体を抱きしめつつ周りを見渡す。しかしそこにはゲームで遊ぶ輩しか見当たらず、逃げたかと舌打ちをするが正臣が無事ならば一先ずいいと思い直す静雄。しかし帝人の口から知らされる真実に静雄はポカンとした。
正臣は誰かに連れさらわれたわけではなく友達と遊んでいただけなのだと。つまり盛大な勘違いをしていたことを気付かされる。

「…もしかして今まで探しててくれたんすか?」

己を抱きしめる温もりにしがみつくように抱き着く正臣。実は正臣は自分が離れてからずっと連絡も呼び出しもないことに不安を覚えていた。本当は自分の世話など面倒なのではないか。本当は自分などどうでもいいのではないのか。

「当たり前だろ…」

しかし目の前の人物は心底心配していたことを身体全身で表していて、正臣はぎゅっと抱き着き小さく「心配掛けてごめんなさい」と謝った。もう気にするなと静雄がその頭を撫でてやりふと臨也の存在を思い出す。

「んなら、あいつと合流…って電池切れたっけな。」

いつもは気に食わない奴だが今回ばかりは一緒に正臣を探した仲だ。仕方がなく臨也も安心させてやらないとと携帯を取り出すと電池が切れた事を思い出す。暫く静雄は考えた後、正臣を肩に担いで歩きだした。その足元に帝人もついていく。





「あぁ、シズちゃんの馬鹿。電池切れてるじゃん。充電ぐらい満タンにしとけっての!…カメラに正臣君映らなくなったし…どうなったのさ。」
『迷子の呼び出しをします。新宿からお越しの折原臨也君。お連れ様が1階総合サービスセンターにてお待ちです。』
「……」
『ファー付きコート、全体的に黒い服装で…』
「シズちゃん…殺す」

静雄と連絡が途絶え、正臣の姿も確認出来ず苛立ちを覚え始めた頃聞こえたアナウンス。周りのざわめきを受けながら臨也はハッキングを止め静かにパソコンを閉じると歩き出した。
もちろん、一緒にいるであろう正臣と合流するために。
もちろん、今恥ずかしい呼び出しをしてくれた静雄を殺すために。






【大人が鹿になると
とんでもない馬鹿!】




「あ、しずにぃ、いざにぃ来たましたよ!」
「よぅ、悪い、携帯の電池き」
「シズちゃん、死んでよ!」






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伏線拾い損ねた!
正臣が紳士服コーナーにいたのは臨也と静雄のプレゼントを買うためです。
それを渡すシーン、小話辺りで入れたいですね…。
さてはて、ちゃれ様のリクエスト、『臨→正←静。ショタ正』でした。
ショタ正臣にあれこれしてあげる臨也と静雄ということでしたが…なぜ前半で止めなかった!かなりのキャラ壊しすみませんでした、書いてて楽しかったです(笑)
ちゃれ様のみお持ち帰り、書き直し、苦情等受付てます!企画参加ありがとうございました!




あきゅろす。
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