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幸せ三分割(幽→正←静)


この日、正臣はウキウキしていた。上機嫌であることに帝人に気持ち悪がれ、杏里に何か良いことでもあったのかと聞かれ、正臣は満面の笑みで答えた。

「聞いて驚け!実は今日の放課後、今度オープンするケーキ屋のプレオープンに呼ばれたんだ!」

事の始まりは数日前、静雄を通じて知り合う事となった彼の弟、羽島幽平こと平和島幽に駅前に新しくオープンするケーキ屋のプレオープンに呼ばれているのだが一緒にどうかと誘われたのだ。甘いが好きである正臣は二つ返事をすると場所と日時を知らされ、それが今日の放課後ということだ。
良かったね、と帝人からは飽きれられ、杏里から心から祝われ正臣はおう!と元気な返事で放課後を待つ。


そして放課後、正臣は指定された場所へと訪れれば深めに帽子を被った幽とその隣に見慣れた姿を見付け小さく目を見開いた。

「静雄さん!静雄さんも呼ばれたんですね。」
「あぁ、こいつからな。」
「兄さん、こう見えても甘いもの好きだから。」

静雄と甘味はあまりイコールで結び付かずどうしてと思っていた正臣だが幽の言うことに成る程と納得した。甘いものが好きならばこの場に居ても可笑しくはない。寧ろ喜ばしいことだろう、自分と同じように。
幽に案内されるように二人は店に入っていった。中にはマスコミや著名人がちらほら見える中、女子高生やOLらしき姿も見えた。色々なジャンル、職業、年代から幅広く集められたらしいことが分かる。男も正臣や静雄だけでなく、一般客の中にもちらほら見られ浮き彫りにならないことに正臣は小さく安堵した。
案内されたテーブルで今回のプレオープンの簡単な内容を聞かされる。バイキング形式で食べたデザート類には必ず感想を一言書き残していけなければいけない。率直な意見が欲しいらしく駄目な点も書いて欲しいと幽に説明され正臣と静雄は頷いた。それを見た幽は席に座っているからと二人でケーキを取りに行くように促し、正臣は連れ添いの自分達が先に良いのかと疑問を浮かべていたがさっさと行ってしまう静雄に仕方がなく追い掛けるようについていった。


「んまい!」

そして数種類ケーキを持って来て席に着く正臣。静雄とも相談して幽の分も持ってこれば幽は静雄曰く驚いた表情を作った後微笑んだ。
そして試食となるのだがシンプルなショートケーキを一口口に運ぶと正臣は何とも言えない表情でその美味しさを表し言葉にする。過剰とまで言える反応に幽は誘って良かったと小さく笑いながら無表情で正臣と静雄が選んだガトーショコラを食べた。

「本当美味しいね。」
「はい、幽さん、ありがとうございます!」

色々な種類が食べられるようにと今回は比較的小さめに作られたケーキ。直ぐに食べ終えていれば正臣はフルーツをふんだんに使ったケーキを突きながら改めて幽に礼を言うのだった。

「紀田、こっちも美味いぞ。」
「え、本当すか?」
「ほれ、」

どういたしまして、と幽が呟いているとプリンアラモードを食べていた静雄が口を挟み、一口掬ったプリンを正臣に差し出すと正臣は躊躇い無く食いつき口の中に広がるカラメルとプリンの美味しさに頬を緩めた。
そして美味しいすね、と同意するとお返しというようにフルーツケーキを静雄に差し出す。

「サンキュー」

正臣と同じように差し出されたケーキを食べる静雄を見て幽は二人とも可愛いなと思いながら自分が食べているケーキを見た。

「これも美味しいよ。」
「え、ならあーん、」

同じように感想を言うと正臣が一口下さいというようにあーん、と口を開ける姿に愛おしさを覚えつつ、幽は一口切り分け正臣に差し出した。

同じ様な風景がケーキの種類毎に繰り返され、結局三人は一口ずつとは言え店の全種デザートを制覇したことになるのだった。



【幸せ三分割】



「幽さん、静雄さん。今日はありがとうございます!また三人で来ましょう?」
「そうだね。」
「あぁ。」




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どうも詰めが最近甘い気がしてなりませんが匿名様の『平和島兄弟×正臣。可愛がられてる正臣。』でした!
こんな甘い日常もどうでしょう?
企画参加ありがとうございました!




あきゅろす。
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