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つくづく甘い僕(正帝)



はぁ、涼しい。けど、暑い。
現在、正臣の家に強制的に連れて来られ部屋の冷房で涼みながら後ろから抱き着いてくる正臣の暑さにどうしてこうなったのかと溜息をついた。
事の始まりはお昼過ぎ。いきなり訪問してきた正臣が満面の笑みを携えながら

『みーかど♪』

と理由も告げずに僕を連れ出したのだ。まぁ休日だし何処かに遊びに行くのかなと思いながらついて行くと着いた場所は正臣が借りているアパート。何故?と首を傾げている内に部屋へと連れ込まれ現在に至る。
特別何かをするわけでもなく、僕が携帯を弄る様子を後ろから抱き着いて見ている。…一体何だというんだろ。構えって言って来ないのもおかしい。
携帯を閉じて体を捻らせ真っ正面から正臣を見る。別に顔色が悪いと言う訳でも熱があると言う訳でもなさそうだ。
じぃっと見ているといきなり正臣にキスされた。唇に触れる程度だったけど顔に熱が集中する。

「な、何するの?!」
「いやー帝人がキスして欲しそうな顔して」
「ないから!バカ臣!」

馬鹿な事を言われ思わず頭を叩く。心配して損した!
プイッと顔を背け正臣を無視して再び携帯を開く。別にメールが来ているとかそんなんじゃないけど暇つぶしには丁度いいんだ。臨也さんが管理人しているチャットも携帯で見れるみたいだからログを掘っている。するとこつんっと肩に重みと温もりを感じる。ちらりと横目で見れば正臣が顔を埋めている。やっぱり何か様子がおかしい。
犬を構う様にヨシヨシと頭を撫でているとお腹に回されていた抱きしめる腕の力が強まる。

「なぁ、帝人。」
「何?」
「涼しいか?」
「正臣が居なきゃもっと涼しい。」
「ん゙」
「けど、まぁ、僕の部屋に居るのに比べれば凄い涼しいよ。どうして?」
「…最近熱中症でぶっ倒れる奴が多いだろ?下手したら死ぬ奴もいるし…帝人の部屋、クーラーねーじゃん。」

成る程、熱中症の心配をしてくれていた訳か。確かに最近寝苦しくて寝付きが悪かった。それを正臣に気取られていたのか。
理由が分かれば邪険にするのもな、という気持ちが生まれ携帯の電源ボタンを2度押して待受に戻してから振り向くとこつんっと額をくっつけて正臣を見る。

「心配してくれてありがとう。大丈夫だよ、って言いたいけどこの暑さじゃどうなるか分からないから正臣に甘えさせてもらうね。」
「お礼は帝人でお」
「正臣?」
「スミマセンチョウシノリマシタ」
「…まぁご飯ぐらいならいいよ。」
「え、マジで?!」

こうやって軽い事を言うから正臣の誠意が伝わり難いんだよね。まぁ、押し付けがましくない所は好きだったりするけど。そんな訳で今日の僕は少し甘いかもしれない。…仕方がない、嬉しいんだから。
だから前から煩い様に「帝人の手料理が食べたい」と言っていた正臣のお願い叶えてあげることにした。でも、そんな大層なものは作れないんだけどな…。何が食べたいだろう。

「一応心配してくれたお礼。何が食べたい?」
「んー帝人が作るものならなんでも食べたい。」
「…この世の食べ物じゃなくても?」
「おう!愛の力で完食してやるぜ!」
「―っ…バカ臣!」
「何で?!」

正臣の事だから僕が食べたいとか馬鹿な事を言ってくると思ったから不意を突かれた。顔に熱が集中するのをバレない様に頭を叩いて離れる。軽い身支度をして頭を押さえる正臣に振り返り手を差し出した。

「どうせ冷蔵庫空っぽでしょ?夕飯の買い出し行こう?」
「…おう!」

一瞬状況が理解出来ていなかったのか呆然と僕を見ていた正臣だけれど、ニッコリと満面の笑みを向けられると手を握られ、そのまま僕たちは近くのスーパーへと出掛ける事にした。




♂♀




「美味い!正に至福の絶頂!俺、幸せ過ぎてこのまま空も飛べる!」
「なら窓から飛び降りる?」
「帝人がまたツン期?!」

まぁ冗談なのだがたかがオムライスを作ってあげただけでそんなにも喜ばれると凄い恥ずかしい訳で、どうしてそんなにもこっ恥ずかしいことを飄々と言えるのだろう。
はぁと溜息を付いていると何処の子供だと言うように正臣の口端にご飯粒が着いているのが見えた。

「あぁもう、お弁当付けてるよ。」

ハンカチを取り出して腰をあげて机の向かい側に居る正臣の口元を拭ってやる。僕はお母さんじゃないんだけどな。ご飯粒を拭い取り終えれば元の位置に戻ろうとすると腕を掴まれた。何?と見つめているとペロリと頬を舐められる。

「なっ?!」
「帝人も付いてた。」

まるでしてやったり、と言うように笑顔で見つめてくる正臣。あぁもう、甘い顔をすればすぐこうなんだから!

「今日は正臣床で寝てね!」

食べかけの皿を抱えればプイッと正臣に背を向けた。
背後で帝人のツンデレ!とか聞こえるけど無視だ、もう相手仕切れない!

でもまぁ、帰らろうと思わないのは、こういう時間が好きだからなんだろうな。


【つくづく甘い僕】




「なぁ帝人。一緒に風呂」
「一人で入れ!」





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甘い…甘い正帝?正、帝?
ちょっとした疑問が残りますが『宙変地異の前触れか』のそら様へのサイト1万Hitお祝いになります。ノロマのせいで2万Hit過ぎてますが…どちらもおめでとうございます!これからもstkさせてもらいます!




あきゅろす。
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