皮肉な交差点(静正?)
大丈夫。
帝人には杏里がいる。
杏里には帝人がいる。
沙樹には俺がいる。
俺には…。
大丈夫。だから大丈夫。
これからどんなことがあっても大丈夫。
―でも、少しだけ一人にしてほしくて、だから、俺は夜の池袋へ飛び出した。
池袋の適当な路地裏。余程のことがなければ誰も通らないこの人気のない場所は今の俺には丁度良かった。
天気も雨とまるで俺の気分を映したかのよう。…土砂降りじゃないだけマシかな。
壁に背中を預け体育座りして顔を埋めて今までのことを思う。
大丈夫、後悔はしてない。
「大丈夫か?」
不意にパサリと頭の上に物と声が降ってきた。緩く顔を上げて確かめるとそこには黄色。仲間かと思いながらよくみれば、池袋最強、関わったらいけないと友人に諭した人物だった。
平和島静雄。
「大丈夫、です。」
下手に刺激しないように言葉を選びながら笑顔を作る。すれば「そうか」とだけ言われ、視線を外された。
「…あの、これ……」
視界の端にちらつく黒に近い紺。よくみれば相手はいつものバーテン服だが上着がない。
「風邪引くぞ。」
そしてそれだけ言うと静雄さんは雨の闇に消えていく。
「タバコの匂い…」
鼻を擽る匂いにそっと頬を緩めた。
臨也さん(敵)でもなく帝人たち(味方)でもなく…中立でもなく。
…密かな優しさが、身に沁みた。
‐‐‐‐‐
3巻読んでる途中で思い付いた。正臣が帝人の前から姿を消すという結末だけ知っていたので妄想。
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