なんじゃらホイッ 20 -side 拓也- 鈴琉の紹介で出会った少年『北村 春喜』の第一印象は、どこにでもいそうな平凡な子だった。 けれど、とても親しみ安かった。 先月にも編入生が来た。名前は 『斎 朝夏』。 朝夏は元気で、活発、そして、初対面の俺にも、とても親身にしてくれた。 だが、そんな朝夏とはまた別の親しみ安さが春喜にはあった。 何と言うか…まさに「親しき仲にも礼儀あり」ってやつを心得てるみたいな感じだ。 それをうまい具合に使っているから、また少し違うのだと思う。 食堂では、少し嫌そうな雰囲気を出していたが、結局は皆の分の食事を注文してきてくれた。 以外と面倒見がいいのだろう。 しかし、その後、とてつもない事が起きた。 春喜と鈴琉が注文した料理を取りに行こうとしたが、二人でこの人数分の量を運ぶのは無理だろう、と思い、俺も行く、と申し出た。 「…拓也、ありがとっ! お前ってホントにいい奴だな。」 いや、当然の事だよ、と言おうとしたが、それはある人物の言葉に遮られた。 「…待て、俺も行ってやろう。」 『えぇぇぇぇぇぇぇっっ!!?』 俺は、叫びはしなかったものの、とてつもなく驚いていた。 何せ、あの会長の口から、こんな言葉が出たのだ。 そんな事、前代未聞だ…。 あの会長に好かれている朝夏にもこんな言葉は言わなかった。 …春喜は一体、何者なんだ? ←→ [戻る] |