なんじゃらホイッ 10 -俊樹side- 今日は初っ端から体育だ。 数週間前の俺なら面倒で、間違いなくサボっていただろう。 しかし、これからは違う! サボるどころか、率先して体育に挑むだろう。 何故かって? フッ、そんなの、校庭から春喜の姿が見られるからに決まっているじゃないか! 本当は、普通に授業をサボって春喜に会いに行きたいが、それでは春喜の成績等に影響が出てしまう。 かといって、授業の合間にある10分休みに会いに行ってもたかが知れている。なにより、俺のせいで春喜に視線が集まるのは、かなり不快だ。 なので、必然的に会える時間は少なくなる。 クッ、イライラする。 これでも三年という長い間我慢したのだが… やはり、一度会ってしまうと少し離れるだけでも我慢できないものだな。 とまあ、そんなことだ。 春喜は都合のいいことに一番窓側の席。 現在は前を向いて先生の話しを聞いている。 …例えこちらを見てくれなくとも、俺は春喜の姿が見られるだけで満足だ。 だが、あえて欲を言うなら、こちらを一目でも向いてほしい。 ピーッと集合の合図の笛が鳴ったので、渋々そちらへ向かう。 くそっ、木の影で見えなくなったじゃねーか。早く話しすませて、春喜を見たいのだが。 ようやく終わったと思いきや、次はサッカーの試合をするらしい。 チームは出席番号の奇数と偶数で分かれ選手を決めるらしい。 俺は4番なので偶数チームだ。 選手決めは勝手にしてくれ、ということで、偶数チームのベンチに腰掛ける。 ここなら視線の妨げになる物がないので春喜が見やすい。 だが、見てるのもつかの間、何でかは知らないが、俺はサッカーの選手となっていた。 …春喜がゆっくりと見られないじゃないか。 ゲーム開始とともに、コートの端に寄り、春喜の見やすい位置に移動する。 よし、ここならいい感じで見れる。 本当はカメラを持ってきたいところだが、色々なものでそれを抑え、なんとか見るだけに留まらせる。ああ、可愛いな。 ←→ [戻る] |