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なんじゃらホイッ
6

「なぁ、なんで借り物競争にあんな真剣なんだ?」


聖に向いて、聞いてみる。
いや、だって聞かずにはいられないじゃん。


「ああ、あれはね、もしかしたら自分の好きな人や、あわよくば生徒会の人から何か借りることができるだろうって思ってるからあんなに真剣なんだよ。」


何気に自慢もできるしね、しかも、これだけは制裁紛いのやつが執行されないからね、と聖が言った。

まぁ、どんなに生徒会に興味がない奴でも、好きな人からは物借りたくなるよな。
人によるけど。

黒板へ向き直って、ざっと種目を見渡した。
んー、どれもどれだな。人数ほとんど均等。極端に少ないっていうのは………ある。

一つだけ誰も書いてない種目がある。
他のやつ均等なのに、何故にこれだけ?
よっぽど嫌われている種目なんだな。

どんな種目だろうと見てみると、これまた綺麗な字でこう書かれていた。



パン食い競争と。


ちょっとまて。
なんでこんなに人気ないんだよ。
この種目、俺が最初に通ってた小学校ではかなりの人気種目だったぞ?
あんぱんもらえてラッキーみたいな。

それが今はどうだ。
とてつもなく人気がない。
…少しせつない。

涙を浮かべながら、俺はパン食い競争の字の下に北村と書いた。

すると、後ろで数人の奴が「え"っ!?」と奇妙な声を出した。

え"!?


「…春喜、本当にそれでいいんだな?」


横で聖が悍ましい顔で言ってきた。

え?これってそこまで深刻な問題?

一応頷いたが、少し不安になってきた。


「そうか…。春喜がそこまで言うのなら、止めないよ。」


いや、そこまでってどこまで?
てか、それ以前に俺、そこまで言ってないんスけど…

てか、聖何故に涙なんか拭ってるの?
なんで涙の別れっぽくなってるの?


「…パン食い競争にそんなに深刻な問題あるの?」


まぁ、俺この学校でパン食い競争参加したことないからなんとも言えないけど。

そう言うと、よくぞ聞いてくれましたと言わんばかりに聖がガシッと肩を掴んできた。

驚きで俺の肩が震える。


「…ああ。すごく問題がある。」


かなり真剣な表情。

こちらも緊張してしまう。


「…実はな」


思わず唾を飲み込む。
ゴクリ。

気のせいか、周りがシンとなる。


「実は、このパン食い競争に使用されているパンが………





―カレーパンなんだ。」



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